|
●● レビュー "Football doesn't build character. Football reveals character"テネシー州メンフィスの北にあるマナーサス高校は、予算もなく、アメリカの人気スポーツであるフットボールチームでさえ、予算が集まらずに、万年負けチームだった。そこのコーチとしてやってきたのが、ボランティアのビル・コートニー。彼は自分の生活を切り詰めて、そして家族を犠牲にしてまで、マナーサス高校のフットボールチームに愛情を捧げるのだった... 「フットボールは性格を作り上げる物ではない。本性を現すのがフットボールなんだ」と、コーチのビル・コートニーは大きな体の選手達に語りかける。スポーツは健全な精神を育むなどといわれているが、そうではない。元々、個々が持っている健全な精神が明らかになるのが、スポーツなのだ。と、選手達の性格を否定しない。選手達は様々な問題を抱えている。アンガーマネージメントが出来ずに、いつも喧嘩ばかりでトラブルになるチャービス、体に恵まれ、そして才能にも恵まれ、多くの大学が奨学金を用意して待っているも、学業がイマイチなO.C.、そして体には恵まれなかったけれど、勉強が出来て、そしてみんなよりもちょっとだけ繊細な心を持つマネー。そんな彼等をビル・コートニーは、優しく、そして時には厳しい目で見守る。彼が教えているのは、もはやフットボールだけではない。父親的存在なのだ。しかし、彼はそこをわざと狙っている訳でもない。素晴らしいバランスで彼等を見守っているのだ。 大切なのはフットボールだけじゃないという事を、全身全霊で高校生達に教えようとしている。そして、それらを高校生達は見事に受け取っている事が容易に分かる、感動的なドキュメンタリー作品。 (Reviewed >> 2/25/13:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 今年のアカデミー賞のドキュメンタリー部門を受賞したのが日本でも公開が決まっている「Searching for Sugar Man / シュガーマン 奇跡に愛された男 (2012)」。前年度に取ったのが、この作品!アメリカでもやっとDVD化されました。パチパチ。待ってたんだよねー。これはフットボールのドキュメンタリーとして最高傑作じゃないでしょうか?フットボールが好きで、「Friday Night Lights / プライド 栄光への絆 (2004)」が好きな人は絶対に楽しめる筈。っていうか、私、この映画で号泣&嗚咽しました。タイトルの感じから、負けなしのエリート・フットボールチームを描いた作品だとばかり思っていたんです。違ったね。テネシー州メンフィスの北のゲトーの一角にあるマナーサス高校のフットボールチームを追っている。メンフィスの学校資金がイマイチなのもあって、この高校もフットボールチームを維持する程の資金がない。なのでこの学区の優秀なフットボール選手は、別の所に流れてしまう。そこで立ち上がったのが、ビル・コートニーという男性。大きな体格を揺らしながら、このチームの為に右往左往する。しかもこのビルさん、無給のボランティア。ビルさんは個人ビジネスで生計を立てているが、最近はボランティアやるほど余裕でもない。このチームに携わって6年。やっと近所の優秀な選手達が、この高校に入学してきた。OC・ブラウンという大柄なのに高い運動神経を持った選手、そして小柄だけど情熱は人一倍!のマネーと呼ばれている選手、そして怒りぽい性格で喧嘩ばかりで15ヶ月の刑務所暮らしから高校に復活したチャービス。彼等が抱えている問題をビルは受け止めて、優しく見守るんです。OCは、地元でも有名になって、大学からの招きも多い。けれど、大学でプレーする程の成績を取っておらず、それが問題となっている。OCの家族が家庭教師を雇う程のお金もある訳じゃない。何しろ、OCの家自体がそんな環境じゃない。という事で、ビルと同じくボランティアでアシスタントコーチしている人が家に引き取り、ビルが家庭教師代と学校への送り迎えをする事になった。はい、まんま「The Blind Side / しあわせの隠れ場所 (2009)」ですね。マネーは成績も優秀で、フットボールにも真面目。熱いけれど、人一倍繊細な心を持っている。「人は亀と同じなんだ。表はハードで固いけど、中身はソフトなんだ」という程。そのマネーと人一倍怒りぽいチャービスが喧嘩。その後にもチャービスは喧嘩して、チームから一時的に停止を食らう。でも、ビルはチャービスに語りかけていく。「フットボールは性格を作るものじゃない。フットボールは性格を明らかにするものなのだ」と。だからこそ、真面目に取り組めという事。そして繊細なマネーが怪我をしてしまう。それで彼は一気にやる気も未来もなくしてしまう。 でもね、やっぱり金八で描かれていたように、最後には一番問題のあった生徒が、劇的に変化をしてチームに渇を入れる。もうそこで私は号泣。加藤優ーーー!お前たちは腐ったミカンなんかじゃない!!!ってな訳ですよ。泣かせるよ。中島みゆきの曲は流れないけど。もうここから最後までずっと泣きぱなし!チャービスをはじめ、彼等体は大きいけれど、まだまだ子供。そんな彼たちが欲しているものが明らかになっているんですよね。それを嫌がらずに自ら率先してビル・コートニーは彼等に魂をぶつけている。こんなの見せられて、泣かない方が無理! 所で、この映画監督のT.J.マーティンとダニエル・リンゼイは6ヶ月近く、この地域に住んでこの映画を完成させている。OC・ブラウンの「しあわせの隠れ場所」的な新聞記事を読んだのがきっかけで、この高校のフットボールチームを見に行ったら、ビル・コートニーという素敵なコーチと会って、それで制作する事を決めたらしい。ちなみにデディ事、バッドボーイズ・レーベルのショーン・コムズが製作総指揮となっているけど、彼は直接的には全く関係ない。完成されて、作品を観て感動したから「名前を使っていいよ」的に参加している。最近多いよね。このパターン。「Precious: Based on the Novel Push by Sapphire / プレシャス (2009)」のオプラ・ウィンフリーとかタイラー・ペリーも同じパターン。なので、この映画はオスカーを受賞し、デディもオスカーの会場に居たけど、オスカー像は貰えておりません。 映画ドラマ化して欲しいわー。そしたら、ビル・コートニーは絶対にジョン・キャンディ!と思ったけど、残念ながら亡くなっている... ならジョン・グッドマンかもうちょっと太らせてフィリップ・シーモア・ホフマンに演じて貰いたい!OC役はもちろん「しあわせの隠れ場所」のクィントン・アーロンで! この選手達のその後が気になる人は、こちらで!英語ですけど。ネタバレもあるので、日本語には敢えて訳しません。 (1091本目) |
●● トリビア メンフィスの高校フットボールチームと、そのチームを支えるボランティアコーチのドキュメンタリー。トロント映画祭やSXSWにて上映された。全米一般公開は2012年2月10日から限定にて公開。 制作が全て終わった後に、音楽プロデューサーとして知られるディディ事、ショーン・コムズがエクゼクティブ・プロデューサーに就任した。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 * 映画秘宝EX涙の千本ノック! スポーツ映画大全集にて映画の紹介 |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
●● 関連記事 |
|
●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt1860355/http://en.wikipedia.org/wiki/Undefeated_(2011_film) http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=347282 |
|
|