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●● レビュー (Reviewed >> 5/30/21) |
●● 100本映画 "The reason we understand the history of the massacre is that certain survivors decided to talk about it."丁度このドキュメンタリーの主題であるオクラホマ州タルサ人種殺戮事件から100年目となる日にテレビで放映された。監督は、『Freedom Riders / 日本未公開 (2010)』でエミー賞を受賞&『Attica / 日本未公開 (2021)』ではオスカーにノミネートしているドキュメンタリーの鬼才スタンリー・ネルソン。製作は、オクラホマ州オクラホマシティのNBAチームで長年プレーしていたMVP受賞選手ラッセル・ウェストブルック。私の長年の推し選手。その推し選手がスタンリー・ネルソンと組むとか、私は全然関係ないのですが、なぜだが鼻高々ですよ。「うちの推しは映画を知っている! 映画でもMVP!!」と。本作は、ヒストリーチャンネルにて放送され、エミー賞にノミネート。 2016年タルサにて、無防備だったテレンス・クルッチャーが警官の銃発砲により亡くなり、その映像はSNSやテレビによって全米で知れ渡ることとなった。溯ること100年前の1905年にタルサのグリーンウッド地区に建設されたヴァーノン・AME教会は、グレートマイグレーション(黒人大移動)にてやってきた人々の心の拠り所となった。そして、1921年に起きた人種殺戮事件の目撃者となり、その被害も受けた。タルサ人種殺戮事件がどのように、またどうして起きたのか、そして傷跡を歴史とともに追っていく。 先述しているがこの頃ちょうど100年目となり、スタンリー・ネルソンxラッセル・ウェストブルックだけでなく、同じようにNBA選手で当時チームメイトだったレブロン・ジェームズもタルサ人種殺戮事件についてのドキュメンタリーTV映画『Dreamland: The Burning of Black Wall Street』を製作している。100年目という節目でもあるが、その前にテレビシリーズの『ウォッチメン』(19年)や『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』(20年)などで続けて取り上げられたこともあって、この事件への関心が高まっていた。11シーズンをオクラホマシティで過ごしたラッセル・ウェストブルック。オクラホマシティのプレシーズンではタルサで試合することもあったし、チームを離れることを発表したのもタルサだった。その中で、この事件を知ることになり、このようにドキュメンタリー映画まで製作。いつもインタビューで常々語っているが、ウェストブルックがプロとして自立し大人に成長出来た場所がオクラホマ。その州への恩返しは、このようなドキュメンタリーを作らせたら右に出る者はいないスタンリー・ネルソンを引っ張りだして作り上げた渾身のドキュメンタリー。100年前の出来事とせず、クルッチャーの事件と結びつけたり、事件のさらに前まで遡ってどうしてこのような惨劇を生んでしまったのかが語られている。そして、その原因とは、人間の一番醜い部分であり、それが明らかになっている。しかし、それらは大手メディアがずっとひた隠しにし語られることはなかった。この歴史が明らかになったのは、生存者たちが語り始めたからである。そしてこの残虐な事件を生き延びた107歳のヴァイオラ・フレッチャーは立ち上がり、法廷で証言した。 忖度なしに、私の推しは映画でもMVPである。スタンリー・ネルソンを引っ張り出す辺りが、映画も知る男。そしてネルソンは、いつも通りにカメラを持って歴史を語り闘う。徹底的な情報収集と調査量。100年前の恐怖と怒りがよみがえり、語ることで歴史を変えようとしているを観ることになるのだ。 (1802本目) |
●● トリビア 1921年、オクラホマ州タルサで起きた人種殺戮事件を追うドキュメンタリー。公民権運動でジョン・ルイスなどが参加した『Freedom Riders』にてエミー賞を受賞したスタンリー・ネルソンが監督を担当。NBAチームオクラホマ・シティ・サンダーに所属していた選手ラッセル・ウェストブルックが製作総指揮担当。 アメリカではヒストリーチャンネルにて2021年5月30日に放映予定。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
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●● インフォサイト https://www.imdb.com/title/tt14252496/Not available from Wikipedia Not available from Allcinema |
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