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●● レビュー "Mecca is that way"マリのトンプクトゥの砂漠で優雅に美しく走る一匹の鹿。しかし銃声が鳴り響いた。銃を持つ男たちが乗っているトラックには、アンサール・アッ=ディーンの旗が揺れている。そして砂漠に置かれた神々しいアフリカ彫刻。その彫刻にも彼等は銃弾を浴びせる。銃を持った男たちは拡声器にて、「タバコと音楽は禁止。女性は靴下と手袋をするように」と呼びかけた。そのトンプクトゥの集落からちょっと離れた所に、テントの家が一軒ポツンとある。主はキダン(Ibrahim Ahmed)で、妻(Toulou Kiki)と12歳の娘(Walet Mohamed)、そしてキダンの牛を世話する少年イッサン(Mehdi A.G. Mohamed)が居た。キダンの一家の周りにも昔は集落があったが、アンサール・アッ=ディーンが街を統治するようになってから、みんな出て行ってしまった。キダン一家の元にも彼等が入り込んでくるが、妻は毅然とした態度で接していたので、あまり関係せずにひっそりと暮らしていた。しかしある日、キダンの牛がイッサンの目を離した隙に一頭が川に入り込み、漁師の大事な網を壊してしまい... モーリタニア初となるアカデミー賞の外国語部門にノミネート!でも舞台は隣国になるマリのトンプクトゥ。アブデラマン・シサコ監督はやはりマリの首都バマコが舞台の『Bamako (2006)』も撮っている。しかし『Bamako』とは違う。今回はイスラム教過激派アンサール・アッ=ディーンを徹底的に叩いている。とは言え、アメリカのハリウッドとは全く違う手法で叩いているのだ。彼等が過激で非道な所をそのまま映しだせば、それはそれで効果的かもしれない。しかし、シサコ監督はそういう事はしない。ある一家の家族を通し、いかにこのグループが人々を破壊していくのかを丁寧に描いている。そしてこのグループがいかに愚か者で偽善者たちであるかを、サッカーボールが無いのにサッカーを優雅にする少年たちと、取り締まる銃を持った男たちがサッカーのジダンやメッシの話に夢中になっている場面で上手く対比させて表現している。その他の対比も本当に上手くて効果的だ。 シサコ監督は語る。未だに人が人を裁いていると。そこにどうしても歪みが出来てしまうものだ。この映画は人々の非道さではなく、ヒューマニズムに重きをおいて、人々の美しさを雄大に訴えているので、深く考えさせられるのだ。抗議映画の名作が誕生した。 (Reviewed >> 6/24/15:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 もう見たくてタマらん!状態な映画でしたが、映画祭とかばかりで...ね。という事で、DVDになったので早速!モーリタニア出身のアブデラマン・シサコ監督作品で、カンヌ映画祭(1年前の2014年の)で公開され、アカデミー賞の外国語部門にノミネートされた作品。いやぁあああああーーーヽ(=´▽`=)ノ(←テンション高くなっている様子)。ちなみにカタカナ表記はTimbuktuはトンブクトゥが多いけれど、マリ大使館のホームページではトンプクトゥになっていたので、そちらにしました。日本公開も決まったようで(イエス!!!)、仮タイトルは『ティンブクトゥ』みたいですね。まあ敢えてここではトンプクトゥにしておきます! 砂漠を優雅に走る一頭の鹿。銃声が鳴り響く。そこはマリのトンプクトゥ。アンサール・アッ=ディーンの旗が掲げられているトラックの荷台には、男たちが銃を構えている。そして砂漠に置かれたアフリカ彫刻が、その男たちの銃により無残に壊されている。目隠しされた白人男性が、同じトラックの男たちにどこかに連れていかれた。そして銃を持った男たちは、町で拡声器を持って「今後、タバコと音楽は禁止。女性は靴下と手袋を着用の事!」と色んな言葉で伝えていた。彼等は宗教施設にもズカズカと入り込んでいく。町から離れた砂漠でテント暮らしをしているのがキダン(Ibrahim Ahmed)と妻(Toulou Kiki)と12歳の娘(Walet Mohamed)、そしてキダンの牛を世話する少年イッサン(Mehdi A.G. Mohamed)だった。彼等はGPSと名づけた牛を特に可愛がっていた。そして彼等にも銃の男たちが忍び寄ってきているが、町からは離れているために比較的避ける事が出来た。銃を持ったアブデルケリム(Abel Jafri)と運転手のオマー(Cheik A.G. Emakni)は決まってキダンが居ないときにやってくるのだ。そして町の市場で魚を売る女は、銃を持った男たちに手袋を付けろと言われてた。彼女は「手袋つけて、どうやって魚を売る商売するのさ!そんなに言うなら、手を切っちゃってちょうだい!」と包丁を出した。トンプクトゥの町はどんどんルールが厳しくなり、人々は罰として鞭打ちの刑などされるようになり、窮屈を感じていた。キダンの一家の周りも以前は集落だったが、今はキダン一家のみとなった。ある日、イッサンが川沿いに牛たちを連れていくと、GPSが突然川に入り込み、地元の漁師アマデュウ(Omar Haidara)の網を壊してしまう。アマデュウはGPSを殺してしまう。泣きながらイッサンがキダンに報告すると... モーリタニア出身のアブデラマン・シサコ監督によりマリを舞台にした作品第2弾。前作のマリの首都を舞台バマコを舞台にした『Bamako / 日本未公開 (2006)』は支離滅裂な作品であったが、そのカオスがたまらなく面白い不思議な作品であった。ぶっ飛んでいるというのがしっくりくる表現かもしれない。しかし、しっかりとマリの状況や問題点を定義しているのが素晴らしい。今回は、『バマコ』とは違ってちゃんとした骨格がある作品。起承転結がちゃんとある。そしてやはりマリの状況や問題点を鋭く描いている。 この映画で好きなのが、アンサール・アッ=ディーン(アンサール・ディーン)を徹底的に叩いている。彼等の矛盾点を実に間抜けに描いているのだ。人々にサッカーや音楽やタバコに姦通を禁止させておきながら、禁止させている方が実はそれに夢中なのだ。人は人を裁く事などできるのか?という事なのだ。特にサッカーのシーンは最高。ボールを持っていない少年たちがエア・サッカーをしているのだ。禁止されても楽しむ術をみんな知っている。鞭で叩かれても歌う少女。運転手兼通訳にバカにされる他の地から来たボス。シサコ監督は、これでもか!と徹底的に叩くのだ。 そして素朴で質素ながら幸せな家族を築いているキダン家族を通して、いきなり占拠し、人々に自分たちの信念を無理に通そうとする悲劇を上手く描いている。キダンは銃を持った男たちに「メッカはあっちだ」と言われる。キダンはそんな事は百も承知なのだ。お前等に言われなくても十分に分かっているのだ。 そして面白い事にシサコ監督は決して残虐な場面は写さない。そんな残虐なシーンを見せられたら、観客は一目瞭然だろう。しかしシサコ監督はその手を使わない。そんなインパクトではなく、観客の想像力と常識を持って考えさせるのだ。これ以上のインパクトはないのだ。 (1380本目) |
●● トリビア モーリタニア出身のアブデラマン・シサコ監督作品。2014年のカンヌ映画祭に出展し、フランソワ・シャレ賞とエキュメニカル審査員賞に輝いた。そしてモーリタニアとして初となるオスカーの外国語部門にノミネート。 パリ郊外で上映予定だったが、パリで連続で起きた射殺事件の為に、パリ市長が上映中止を宣言。しかし、後に取り下げて上映される事になった。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 * The BEST OF SOUL2014 Won Best Movie of the Year (Drama) 2014 Won Best Director of the Year : Abderrahmane Sissako / アブデラマン・シサコ 2015 映画秘宝 私が選んだベスト10 2015年度5位 * Academy Awards, USA 2015 Nominated Best Foreign Language Film of the Year * Cannes Film Festival 2014 Won Francois Chalais Award : Abderrahmane Sissako 2014 Won Prize of the Ecumenical Jury : Abderrahmane Sissako 2014 Nominated Palme d'Or : Abderrahmane Sissako * Cesar Awards, France 2015 Won Best Original Screenplay : Abderrahmane Sissako, Kessen Tall 2015 Won Best Original Music 2015 Won Best Sound 2015 Won Best Cinematography 2015 Won Best Editing 2015 Won Best Director 2015 Won Best Film |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
●● 関連記事 |
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●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt3409392/http://en.wikipedia.org/wiki/Timbuktu_(2014_film) http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353348 |
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