●● 総合ポイント 5点/5点満点中 | 内容 >> | 5 | 演技 >> | 5 | 演出 >> | 5 | 音楽 >> | 5 |
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●● 100本映画 "Say, "Family!"”
90年代には思い入れがある。始まってすぐの91年からブラックムービー・ルネッサンスというブームが始まり、それを実際に体験してきたからだ。70年代のブラックスプロイテーションも好きだが、自分の年齢的に実際に経験はしていない。観て、聞いて、読むくらいしかできない。だけど、90年代は違う。ただでさえ多感な時期に、それを経験した。日本で『マルコムX』が公開された時の浮足立った感じを肌で覚えている、そして92年のLAで起きたことも覚えている。当時お付き合いしていた男性が、カリフォルニアの人であの時期に里帰りしてしまい、心底心配したのを覚えている。今思えば、彼の家はロサンゼルスではなく、同じカリフォルニアでも遠いのに(東京だと秋田くらいの距離ある)... と、そんな自分の90年代をこの映画を観ながらぼんやりと思い出していた。その位、この映画は90年代そのものだ。
1994年、アイネズ(テヤナ・テイラー)はライカーズ刑務所にいた。暫くしてそこを出て、ニューヨークの街中で仕事をしようと奮闘していたが、中々上手くいかない。そして時折街中で見かける里子制度で他の家で生活している6歳になる息子テリー(アーロン・キングスリー・アデトラ)のことを気にかけていたが、どうすることも出来なかった。里親から引き取るには、仕事を探すしかない。そしてアイネズには頼れる親も家族もいなかった。そんな時にテリーが怪我で入院してしまう。他の街で仕事を探そうと、テリーにさよならを告げようとするが、それが出来ず、アイネズはテリーを連れて行ってしまう...
と、書いて、結末分かるわ! と思った貴方、ぜったーーーいに分かりませんよ。いい感じでネタバレ回避で書きましたので。最後があまりにびっくりしたというか、切なくて.... 絵に描いたように私は口に手をかざして「え!」と絶句しながらも涙が止まらなかった。そんな本作は、サンダンス映画祭のドラマ部門で大賞のグランプリを受賞。でも冒頭からタイラー・ペリーぽい街の航空映像から始まって、「あらあら、最近ありがちな...」と思ってしまっていたのですが、他とは違ってこれにも訳がある。ニューヨークのジェントリケーションの速さを、それで知っていくことになるので、後々利いてくる映像なのです。息子のテリー役が、『ムーンライト』のように劇中で3段階(6~17歳)に成長していくので、そういうちょっとした映像、街の喧騒から聴こえてくる音楽、そして主人公たちが聴いている音楽、テレビから聞こえてくるニュースや名前... ちょっとした物が全て90年代。何より90年代だったのが、ラッキー(ウィル・キャットレット)という男性キャラ。髪形から顔だちまで、超90年代。この90年代で時が止まった男性をどこで見つけてきたのだ! という感じ位に90年代。この映画の素晴らしい所は、見た目とか雰囲気が90年代というだけでなく、その時代に蔓延っていた社会的問題点を肌で感じさせるように炙り出しているところ。なのであの肌で感じた90年代が生々しく甦る。だからエンディングで私たちはつい胸が抉られてしまうのだ。確実にこの家族に心奪われる。
(1845本目) |
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