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●● レビュー "Deye Mon Gen Mon (Beyond mountains, there are mountains)"(Reviewed >> 2/6/17:TVにて鑑賞) |
●● 100本映画 『Sweet Micky for President』とハイチとフージーズターコイズ色の海に白浜という美しいカリブ海に浮かんでいる島をドミニカと共有しているハイチ。2010年の大地震も記憶している人は多いだろう。そんな大地震の直後に行われた大統領選と、ハイチが生んだ世界的スーパースターのフージーズのメンバーであるプラズとワイクリフを追うドキュメンタリー。脚本は、そのプラズ。個性的な低予算のインディペンデンス映画が集まるスラムダンス映画祭でベスト・ドキュメンタリー賞を受賞。 2010年、新年早々の1月12日の夕方、マグニチュード7.0という大地震がハイチを揺らした。その後の復旧は中々進まない。しかも大統領選が控えていた。生まれも育ちもアメリカだが、両親がハイチ出身のプラズは、ハイチでの復旧作業が進まない事に心を痛めていた。「リーダーシップを取れる人がいない」... そこでプラズに浮かんだのが、「ハイチのマイケル・ジャクソン(って劇中紹介されていたが私は認めないぞ!)」と言われ絶大なる人気を誇るスイート・ミッキーこと、ミシェル・マテリ。パンツ一丁で腰を振るなど、やや下品な芸風で知られ、度々論争を呼ぶ歌手だった。しかし彼には人々を惹きつける魅力があった。プラズは、マテリと共闘していく事を決める。 しかし、そこで予測していなかった事が起こる。プラズの仲間ワイクリフが大統領選に出馬するという。それによってプラズとワイクリフは決別してしまうのだった。しかし結局は、ワイクリフはハイチに住んでいない期間がある為、候補者とは認められなくて、出馬断念。ワイクリフもマテリ支持に回った。それでも少しギクシャクはしている様子だった。 この映画ではハイチでの大統領選の仕組みが分かるようになる。アメリカは2大政党(厳密は他の政党もあるが、別政党からの大統領誕生は1853年以降ない)で、まず政党内で代表を決めて、その両政党の代表が大統領選で争う事になる。ハイチは、政党関係なく取りあえず第一回戦みたいな感じでみんながそれぞれ競い合い、勝ち残った2名が大統領の座を掛けて一騎打ちとなる。このやり方は合理的で分かりやすく、そして平等だと思った。それ故に人々が自分の応援する支持者に熱くなっていくのも分かった。 この時の選挙は、マテリが候補者という事もあり、人気合戦になったような印象を受けた。相手は元大統領夫人。政治経験を盾に決戦まで上り詰めた。一方、マテリは改革や新しさを売りに、そして得意の音楽に乗せた「Tet Kale(意味は心と魂らしいが、多分ノリだけ)」をスローガンにパワーを付けていく。 選挙で混乱や暴動など全く起きないのが日本。秩序があると日本の人々は言うけれど、投票した人の数とか割合を見ていると、ただ単に選挙や政治に全く情熱も興味がないだけに思える。ハイチという国を良くしたいという国民の熱意は凄く感じた。フージーズのハイチでの国民的人気、それを壊してまで自分たちの政治理念を貫こうとする姿勢も感じる。かつての英雄トゥーサン・ルーヴェルチュールの蜂起により、生まれた黒人国家ハイチ。ルーヴェルチュールが灯した火はまだまだ根強くハイチの進む道を照らしている。 (1523本目) |
●● トリビア 2010年のハイチ大地震後の大統領選に立候補したのは、政治経験のないミュージシャンのスイート・ミッキー(ミシェル・マテリ)だった!そのスイート・ミッキーの大統領選を支援したのが、同じくハイチ出身のフージーズのプラーズとワイクリフ・ジョンだった。その彼等の戦いを追う。 スラムダンス映画祭にて、ベスト・ドキュメンタリー賞を受賞。 俳優のマーロン・ウェイアンズがエクゼクティブプロデューサーとして参加。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
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●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt2265567/Not available from Wikipedia Not available from Allcinema |
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