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●● レビュー "It can't blind us"現在スクリーンで輝くデンゼル・ワシントンやウィル・スミスといった俳優達。しかし彼等の先駆者たちは多くの犠牲を払いながら、スクリーンで黒人のイメージを演じてきたのだった。名優ルー・ゴセット・ジュニアが、その歴史を紐解く。 映画が誕生したと同時に黒人俳優は誕生した訳ではなかった。黒人役ですら黒人が演じる事が出来なかったのだ。白人俳優が焼いたコルクを塗っていた「ブラックフェイス」という屈辱。リアリティさを求めた監督により、門が開かれた黒人俳優たち。しかし彼等が演じられるのは、本来の姿とは全く違い道化となった黒人のイメージだった。誰にも真似出来ないようなタップの才能があったビル・ボジャングル・ロビンソンですら、素晴らしいタップを踏むも与えられた役はドアマンだったりバトラーだったりした。ハティ・マクダニエルが初のオスカーを獲得し、ようやく平等に機会が与えられるようになる。そしてポール・ロブソンが登場し、社会的にも活躍していき、レナ・ホーンやニコラス兄弟にサミー・デイビス・ジュニアというスターが誕生していく。そして50年代にシドニー・ポワチエが登場すると一気に好転していく。 そんな当時をニコラス兄弟やダイアン・キャロルにルビー・ディと言った一流のスター達が生き証人として当時を語る貴重なドキュメンタリーだ。しかも映画創世記の珍しい映像などもあり興味をそそられる。 ゴセットが語る。「確かに(映画・俳優に対して)沢山の失意はあったし、沢山のステレオタイプもあった。しかしそんな事で我々が彼等の才能に対して盲目になる事はなかった。少しずつ一歩一歩、映画毎、シーン毎ではあったが改善していった。そして最後には大きな歩みとなったのだ」と。 (Reviewed >> 7/6/14:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 『ウォーキング・デッド』とか当てたAMCというチャンネルが制作のブラックムービーに関するドキュメンタリーTV映画。ナレーションはルイス・ゴセット・ジュニア。60分位の短いが、随所を簡潔にまとめたいい感じのブラックムービーがまとめられている。もとい!ブラックムービーの歴史というか、黒人俳優の歴史を紐解く感じですね。しかもインタビューを受けている人々が一流ばかり。しかも今となっては半数が他界してしまったのもあって貴重感が漂います。みんな、R.I.P.!!よ!!映画に出て来る黒人俳優の歴史の始まりと言えば、やはり『Uncle Tom's Cabin(アンクル・トムの小屋)』になる。しかし、この映画の1903年版は所謂ブラックフェイスで白人俳優が顔に焼いたコルクの墨を塗って黒人として化けて出ていたのである。しかし同じ映画の『Uncle Tom’s Cabin / 日本未公開 (1914)』では、サム・ルーカスという黒人俳優がトムを演じている。そしてこのトムというのが、黒人の最初のイメージとして定着していく。そして、黒人や白人以外の人種への差別軍団であるクー・クラックス・クランが映画の中でヒーローとして描かれた『The Birth of a Nation / 國民の創生 (1915)』では、やはりブラックフェイスで黒人を揶揄して描かれた。しかし興行成績やDWグリフィスの技術は好評を受けて成功した。 そして映画はトーキー時代に突入し、最初のトーキー映画はやはりブラックフェイスの『ザ・ジャズ・シンガー』という屈辱。しかし、この映画が黒人俳優が主役を務めるようになる事に貢献。『Hallelujah! / ハレルヤ (1929)』等のオール・カラード・キャスト映画が登場する。派手なジャズの音楽と共に、そこには黒人観客へのモラルを求めるメッセージも含まれていた。しかしその後彼等が映画で演じられるのは、執事やメイドのような役ばかりで、執拗に仕事をしないだらしない人ばかりが多かった。Stepin’ Fetchit (ステピン・フェチット)が、ハリウッドで大成功を収めた。その中で違った活躍を見せていたのが、歌手でも成功したポール・ロブスンとタップダンサーで俳優のBill ’Bojangles’ Robinson (ビル・’ボジャングル’・ロビンソン)であった。ポール・ロブスンはそのスポーツで鍛え上げられた肉体から発せられる逞しいボーカルと共に、数々の名作を残したが、ハリウッドの赤狩りの被害者となり作品数の数は少ない。ボジャングルに与えられた役は、やはり執事やドアマンと言った役柄ではあったが、白人の小さなシャーリー・テンプルと手をつないで踊る姿には、何かその後のアメリカの歴史の可能性を感じさせるものがあった。 映画の歴史でもっともセンセーショナルであった『Gone with the Wind / 風と共に去りぬ (1939)』が上映され、マミーを演じた黒人女優ハティ・マクダニエルが黒人として初のアカデミー賞(助演女優賞)を受賞。40年代には『Stormy Weather / ストーミー・ウェザー (1943)』にてレナ・ホーンという女優スターが誕生し、多くの本格派スターが一緒に出演した。ドロシー・ダンドリッジにタップのニコラス兄弟、エセル・ウォーターズにミュージシャンのデューク・エリントンなどなど...がスクリーンに登場した。 50年代に入ってすぐに登場したのがシドニー・ポワチエ。同じ映画でデビューしたのがオシー・デイビスとルビー・ディという後に夫婦となる若い2人。54年には『Carmen Jones / カルメン (1954)』が上映され、ハリー・ベラフォンテとドロシー・ダンドリッジの若い黒人カップルの熱いキスシーンが話題になり、やっと黒人の恋愛が描かれるようになった。 60年代には、キング牧師等による公民権運動の高まりもあって、それらが映画に反映してくる。『Lilies of the Field / 野のユリ (1963)』でオスカーを獲得したポワチエが、『Guess Who’s Coming to Dinner / 招かれざる客 (1967)』に出演。車のミラー越しではあったが、黒人男性と白人女性のキスシーンが映される。そして、ジム・ブラウンが登場。1970年には、ジェームス・アール・ジョーンズ主演で『The Great White Hope / ボクサー (1970)』が制作されたのだった。 と、これでも端折って書きました。『ボクサー』までの黒人俳優の歴史を網羅しております。あのルビー・ディが、ハティ・マクダニエルを語ったりする。ニコラス兄弟は2人共に残念ながら他界しているが、この作品では別々だけど2人共インタビューを受けていて、あの『ストーミー・ウェザー』でキャブ・キャロウェイと共演し、あの伝説の階段でのスプリット・ジャンプ?(正式名分からず)を語っております!知らない人は、どうぞ。↓ アッシャーとクリス・ブラウンでこれくらいのものを見てみたい!無理やね。余りのアクロバットに右のサックスの人がびびっているのが可愛い。大丈夫だって!だってニコラス兄弟だよ!! 更にはトレッカーにはお馴染みのというか、黒人トレッカーには女神のニシェル・ニコラスが『Porgy and Bess / ポギーとベス (1959)』撮影時のシドニー・ポワチエの秘話とかを語ったりと、いいドキュメンタリーでした。ルイス・ゴセット・ジュニアのナレーションも良く、特に最後まとめの言葉が印象的。「がっかりした事も沢山ある、そしてステレオタイプも沢山あった。けど彼等が映画で演じた素晴らしい人々事は、我々を盲目にはしなかった。一歩一歩、映画毎、シーン毎、コマ毎ではあったが、進化してきたのだ。最後には大きな一歩だったのだ!」と。どうや!(ドヤ顔の私)。と、関係ない私がブラックムービーのファンである事を自慢したくなるようなドキュメンタリーでしたわ! (1253本目) |
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