|
●● レビュー Color is nothing but a colorサンドラは厳格な父アブラハム(サム・ニール)と優しい母サニー(アリス・クリーグ)と兄に囲まれ、南アフリカの小さな田舎町に生まれ育った。学校に行く年頃になると、自分だけ何かが違う事に気がつき始めた。両親も兄も白人だったが、自分だけ黒人に近かった。白人用の学校に入ったが、それが理由で退学させられた。両親は裁判で戦い、サンドラの白人の地位を獲得。しかし成長したサンドラ(ソフィー・オコネドー)は、白人社会から爪弾きにされ馴染めず、黒人青年ペトリス(トニー・キゴロギ)と出会い... アパルトヘイトという奇妙な法律が生んだ悲劇である。たまにニュースになったりする。黒人の夫婦から白人の子供が生まれてきたり、その逆で白人の夫婦から黒人の子供が生まれたり、双子なのに黒人と白人だったり。白人と黒人が平等なら、それは何の問題もないけれど、そこに不均等が生じると悲劇になる。この映画の元となったサンドラが生まれたのが、1955年の南アフリカ。アパルトヘイトがあった時代。サンドラの両親は兄と同じく愛情たっぷりにサンドラを可愛がるが、世間がそれを許さない。まだDNAが一般化していない事もあって、彼らは世間の注目を集める。サンドラの家庭は少しずつ崩壊してしまう。サンドラも黒人のコミュニティからは受け入れられるが、やはり白人の両親に育てられたという事でそこでも摩擦がおきる。2つの自分を持った人の悲劇でもある。そんな複雑なサンドラをソフィー・オコネドーは上手く演じている。今にでもすぐに割れてしまいそうな殻に包まれた女性であり、愛情と安らぎを常に求めている女性の両方を演じている。 アパルトヘイトは普通の感覚では全く出来ない人が作り出した法律。そして人はまた科学では証明できない事をやり遂げてしまう。きっとアパルトヘイトなんて作った者への神からの挑戦かもしれない。 (Reviewed >> 2/1/11:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 これは出来ると聞いたときから見たいなーと思っていた作品。「Hotel Rwanda / ホテル・ルワンダ (2004)」のソフィー・オコネドーが主役のドラマ作品。南アフリカが舞台の作品で、アパルトヘイト時代にアフリカーナの両親の元に生まれた、実在する女の子サンドラの物語。両親が両方ともに白人でありながら、サンドラの見た目は黒人寄りだった。どちらかというと白人と黒人のミックスに多く見られる容姿で、髪はちりちりで肌の色はカフェオレ色。両親は南アフリカの小さな村で商店を営んでいるが、サンドラの母が黒人と浮気したという事実はない(と思う。映画ではちょっと微妙な描き方)。兄が居るが、兄は普通の白人であった。自分が黒人だと思ったことは無かったが、彼女が白人ばかりの学校に入った時に思い知らされる。周りにはいじめられ、しかも学校を退学させられてしまう。そこで両親はサンドラが白人であると認めて貰おうと、最高裁に駆け寄る。最高裁は学者を呼んで、白人のアフリカーナでも以前に黒人の血が入っていた事を知らない人も多く、もしそうだとしたらサンドラのような子供が生まれる可能性もあるという事で、最高裁はサンドラを白人だと認める。サンドラの父親は「サンドラはまた白人だ!」と心から喜ぶ。父からの勧めで、年頃になったサンドラは白人の男性と見合い。2人は街まで出てデートするが、連れて行かれるところが白人のレストランなので、ジロジロと見られる。絶えられないサンドラはトイレの窓から逃げてしまう。その時に助けてもらったのが、たまに両親の商店に来る黒人の男ペトリス。ペトリスの前では自然に振舞えたサンドラは、ペトリスに恋をするが、父親が大反対。サンドラは家を出てペトリスと駆け落ち。ペトリスの住む黒人地区で生活。ペトリスの母親にも良くしてもらって幸せな生活を送るが、サンドラは逮捕されてしまう。なぜならサンドラは「白人」なので、黒人移住区で生活するのは違法だったからである。と自分の皮膚の色のせいで、人生を翻弄されてしまった女性の物語。南アフリカのアパルトヘイトやアメリカのジムクロウ法など、白と黒という単純な分け方で一方的な屈辱を与えるというどうしようもない法律への、科学からの挑戦状。サンドラの両親だって、もしかしたらサンドラのような容姿で生まれてくる可能性だってあった訳で... そのお父さんがサンドラを一歩でも白人に近づけようとスキンクリームを塗るシーンがとっても心痛む。何かで人を単純に完全に分ける事なんて出来ないという事。それは国籍とか性別とかも一緒なんですよね。 こちらに本物のサンドラと両親の写真あり。右上の小さな写真が本物のサンドラと、サンドラを演じたソフィー・オコネドー、サンドラの子供時代を演じたElla Ramangwaneちゃん。 (0822本目) |
●● トリビア 「ホテル・ルワンダ」にて助演女優賞にノミネートされたイギリス出身の女優ソフィー・オコネドーがアパルトヘイト時代に白人の両親の元に生まれながら、黒人と同じ肌の色だった為に黒人とされた女性Sandra Laingを演じた作品。 パン・アフリカ映画祭などで大賞を取った。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 * Black Reel Awards2010 Nominated Best Actress : Sophie Okonedo * British Independent Film Awards 2009 Nominated Best Actress : Sophie Okonedo * Dallas International Film Festival 2009 Won Audience Award Narrative Feature : Anthony Fabian * Giffoni Film Festival 2009 Won Aluminium Gryphon CIAL Award Anthony Fabian 2009 Won Amnesty International Award Special Award : Anthony Fabian * High Falls Film Festival 2009 Won Audience Award Best Feature Film : Anthony Fabian * Image Awards 2010 Nominated Outstanding Actress in a Motion Picture : Sophie Okonedo 2010 Nominated Outstanding Foreign Motion Picture * Pan African Film Festival 2009 Won Best Narrative Feature Award * Moondance International Film Festival 2009 Won Spirit of Moondance Award Film Score * Palm Beach International Film Festival 2009 Won Best Feature : Anthony Fabian * Rehoboth Beach Independent Film Festival 2009 Won Audience Award Best Debut Feature : Skin * Santa Barbara International Film Festival 2009 Won Audience Award * World Soundtrack Awards 2010 Nominated Discovery of the Year |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
●● 関連記事 |
|
●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt0964586/http://en.wikipedia.org/wiki/Skin_(2009_film) Not available from Allcinema |
|
|