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●● レビュー "Is you gonna be here when I get back?"(Reviewed >> 9/22/20:VODにて鑑賞) |
●● 100本映画 LAの反逆者たちのDNA『Residue』数多く存在する映画の中でも私が熱心に一番勉強している(そして、もっとしたい)のは、「LAの反逆者たち」。70年代にUCLAの映画学科で学んだ若者たちです。パム・グリアの自伝の中に、LAに来たばかりのデビュー前の頃に「UCLAの映画科の人たちが撮影しているのを熱心に見入った」と書いてある。その頃にはUCLAに通っていたカリーム・アブドゥル=ジャバーとお付き合いしていた頃だろうから、パムは「LAの反逆者たち」の撮影を眺めていたのだ。ところで、その「LAの反逆者たち」は、『Killer of Sheep / 日本未公開 (1977)』チャールズ・バーネット、『Daughters of the Dust / 自由への旅立ち (1991)』のジュリー・ダッシュ、『Passing Through / 日本未公開 (1977)』のラリー・クラーク、そして『Teza / テザ 慟哭の大地 (2008)』のハイレ・ゲリマである。正確にはもっともっといる。なんで今回「LAの反逆者たち」の話を書いたかというと、今回の映画『Residue』は、「LAの反逆者たち」の2世代目、ハイレ・ゲリマの息子メラウィ・ゲリマ監督作品である。そして思った以上にハイレ・ゲリマのDNAを感じる作品であった。 ワシントンDCの街、バイクやラップ、そしてデモの音が聞こえてくる。その中で「どうして戻ってきたの?ジェイ...」という囁きが聞こえる。ジェイ(Obinna Nwachukwu)は、久々にDCに戻ってきた。街は少しずつ変わってきたようで、知らない人も多い。ジェイは親友デメトリアスを探していた。旧知に聞いて回るが、なぜか皆歯切れが悪い... もう冒頭から「ハイレ・ゲリマか!」と思ったほど。あの囁きには父ハイレ・ゲリマを凄く感じた。そしてドキュメンタリーぽい所は、『Hale County This Morning, This Evening / 日本未公開 (2018)』を感じた。そのような手法でこの映画は、「ジェントリフィケーション」を描いている。ジェイが久々に戻ってきたことで感じる故郷の違和感。その違和感は、ジェイを孤独にさせる。「ここから出ることが目標」だったけれど、それでも故郷に愛着を感じるのは当たり前のこと。ずっと故郷で生活している者にとっては、ジェイは故郷を見限った男で、俺たちを置き去りにした男。そして故郷が変わったことが当たり前と捉えている故郷で暮らす人たち。そんなギャップが両者にある。だからジェイは孤独に感じる。そしてデメトリアスのことも、ジェイは蚊帳の外だ。 その孤独が最後ジェイを思いもしない行動をさせてしまう。まるでドキュメンタリー映画のように、ジェイの孤独が淡々を語られていき、感情がむき出しとなる。この生々しさこそが、「LA反逆者たち」だ、と思い出すのだ。 (1768本目) |
●● トリビア 『テザ』などで知られるハイレ・ゲリマの息子メラウィ・ゲリマ監督作品。スラムダンス映画祭で、観客賞を受賞。エヴァ・デュヴァネイ監督の「ARRAY」を通じて、アメリカではNetflix配信。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 * Quebec City International Film Festival2020 Nominee Grand Jury Prize Official Competition : Merawi Gerima * Slamdance Film Festival 2020 Winner Audience Award : Best Narrative Feature : Merawi Gerima 2020 Winner Slamdance Acting Award : Obinna Nwachukwu 2020 Nominee Grand Jury Prize : Best Narrative Feature : Merawi Gerima |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
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●● インフォサイト https://www.imdb.com/title/tt11568878/Not available from Wikipedia Not available from Allcinema |
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