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●● レビュー Ghanaian and Armenian in New Yorkニューヨークのブロードウェイの街角でラッキー(プリンス・アドゥ)は、人に声を掛けていた。グッチやナイキやプラダの商品が安く買えるという。人が興味を持つと、レヴァン(カレン・カラグリアン)の店の中に隠れてあるドアから入り、商品を売っていた。ラッキーはレヴァンの元で働いているキャッチセールスマンだったのだ。ラッキーはガーナから来た違法移民で、レヴァンも同じくレバノンから来たアルメニア人で、偽装結婚していた。ラッキーはある日突然、元彼女から名前も知らない赤ちゃんを渡されてしまうが... 様々なアワードや映画祭に出展したインディペンデンス映画。白人の監督とプロデューサーがニューヨークのブロードウェイを舞台に映画が撮りたいと、2人でカメラを抱えて物語を探している時に出会ったのが、この映画の主役ラッキーを演じているプリンス・アドゥ。彼らはアドゥの話に惹かれて、物語にする事にした。レヴァンを演じているのは俳優だが、ラッキーは素人。2人の即興でこの物語は進んでいく。なのでドキュメンタリーにも見えてくる作品だ。レヴァンもラッキーもアメリカ・ドリームを夢見てアメリカにやってきた移民。現実は厳しい。人種のサラダボウルと言われているニューヨークの今を象徴するような作品だと感じたが、BETの評論家は「知らない人にはこの映画がリアルに感じるかも」と書いていた。それを裏付けるようにNY系の映画祭を避けて、ハリウッドや外国系の映画祭に出展して評価を受けている。 赤ちゃんの自然な表情にアドゥやレヴァンの即興の台詞... ニューヨークの住民がリアルと感じない非現実的なリアルこそが、あの街のリアルなのじゃないか?と思わせる力作。 (Reviewed >> 11/23/11:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 私、こういうの好きなんだなって改めて思わせてくれた作品です。こういうの...とは、ネオリアリズム調の作品。しかも即興で出来た作品。ネオリアリズムという点では世界一大好きな作品「Killer of Sheep / 日本未公開 (1977)」で、即興という点では「Shadows / アメリカの影 (1959)」なのですよ。ハリウッド調のハッピーエンドも嫌いじゃないですが、でもやっぱりネオリアリズムのこれでもか!という力強さが大好き。ニューヨークのブロードウェイを舞台に起こるドラマ。ブロードウェイでキャッチセールスをしているのが、主人公のラッキー。ラッキーはガーナからの移民。狭いアパートに住み、ベットも粗末な物で寝ている。ラッキーはブロードウェイに来る人々にグッチやナイキやプラダ等のコピー商品を安く売る。ラッキーのボスがレヴァン。彼もレバノン出身のアメラニアンで移民。レヴァンは店番をしている。店番と言っても、表向きは質素な洋服屋さん。しかしそこには隠しドアがあって、その先でコピー商品を売っている。レヴァンはお客が来ると警察かどうか判断しているのです。レヴァンは若いアメリカ人女性と偽装結婚して、グリーンカードを手に入れている。レヴァンはその彼女に感情移入してきてしまったが、彼女の方はかなり割り切っている。それにイライラするレヴァン。そしてラッキーはなんと昔の彼女から赤ちゃんを押し付けられる。名前も知らないし、自分の子供かどうかも分からない。何より、赤ちゃんの育て方なんて分からない。途方に暮れるラッキー。しかしキャッチセールはしなくてはならないし... こんなドラマが即興で行われるんですよ?感想にも書きましたが、BETの評論家は「こういう世界を知らない人にはリアルだと感じるかもしれないが、拡張されている」と書いている。確かに非現実的かもしれない。しかし、非現実的なことが起きるのが現実的だったりしませんかね? 移民同士で助け合う?図式。しかしそこにもヒエラルキーがあるという現実。まさか...という事が起きちゃうのが、ネオリアリズム。これがニューヨークの移民の全ての姿とは思わないけれど、一片ではあると感じた。 レヴァンがDNAの結果をラッキーには見せずに結果を答えて、ポケットにしまってしまうシーンが好き。レヴァンの人間性が見える。 にしても、この赤ちゃんを演じた子が可愛い!彼だけは本物の表情だもんねー。アフリカンレストランで一人になった時の表情は、神! (0928本目) |
●● トリビア ガーナからの違法移民とレバノンのアルメニア人が主人公のドラマ。ニューヨークが舞台。 「プレシャス」のリー・ダニエルズは直接制作には関わっていないが、DVDが発売されるときに「リー・ダニエルズ・プレゼンツ」として発売されている。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 * Boulder International Film Festival2009 Won Best New Filmmaker - Narrative Competition : Sean Baker * Cleveland International Film Festival 2009 Won Best American Independent Feature Film : Sean Baker * Entrevues Film Festival 2008 Won Audience Award : Sean Baker * Florida Film Festival 2009 Won Grand Jury Award Best Narrative Feature Film : Sean Baker * Gotham Awards 2010 Nominated Breakthrough Award : Prince Adu * Independent Spirit Awards 2009 Nominated John Cassavetes Award * Las Palmas Film Festival 2009 Won Golden Lady Harimaguada * Locarno International Film Festival 2008 Won Special Mention - Filmmakers of the Present * Los Angeles Film Festival 2008 Won Best Dramatic Feature Best Film : Sean Baker * Los Angeles Pan African Film Festival 2009 Won Best Feature Narrative Competition : Sean Baker * Marrakech International Film Festival 2008 Nominated Golden Star : Sean Baker * Rhode Island International Film Festival 2009 Won First Prize Audience Choice Award : Sean Baker * Torino International Festival of Young Cinema 2008 Won Jury Special Prize : Sean Baker * Woodstock Film Festival 2008 Won Jury Prize Best Feature Film : Sean Baker |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
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●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt1000769/Not available from Wikipedia Not available from Allcinema |
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