|
●● レビュー Raw, raunch, southern gothic with new twistジャック(ザック・エフロン)は、大学を中退して父の経営する新聞社で雑務をしていた。そこに兄で「マイアミ・タイムス」でリポーターをしているワード(マシュー・マコノへー)が同僚のヤードリー(デビット・オイェロウォ)を連れて地元に戻ってきた。彼等は地元で起きた事件を詳しく捜査するつもりだった。彼等はヒラリー(ジョン・キューザック)という男性が、シェリフ達によって冤罪により監獄に居ると信じていたのだった。そのヒラリーとは面識がないが、文通によって知り合い婚約までしているシャーロット(ニコール・キッドマン)の助けを借りようとしていた。ジャックはそのシャーロットに恋をしてしまったのだった。その全てを知るジャックとワードの実家でメイドをしているアニータ(メイシー・グレイ)が、淡々と語っていくのだった… 「プレシャス (2009)」でオスカーの監督候補にまでなったリー・ダニエルズ監督の最新作。こちらはカンヌ映画祭に出展したが、結果は散々だった。しかし、今までの制作を含めたダニエルズ作品から察するに、ダニエルズは自分の作りたい映画をようやく「プレシャス」から作れるようになったと感じた。生々しく粗野で後味の悪さが、非常に映画の内容と同様に気味悪かった。足を踏み入れてしまった事への後悔、だけどやっぱりどうなるのか気になる人の心理を上手く利用された。60年代とか70年代の「パトリシア・ハースト誘拐事件」のような奇妙でやっかいな事件を聞いた時と同様の精神的苦痛を感じる。そして忘れたいけど忘れられないという粘りこさも感じる。どうも劇中の映像が脳裏にこびりついてしまうのだ。ジャックという青年が大人になる部分を描いたからこそ、その気持ち悪さが倍増してしまう。決していい思い出なんかじゃない。 フロリダ南部の独特な湿気と熱気を映像で感じる。華やかさの影にある闇。暑さとジメジメとした熱気で眠れない夏を思い出す。けど思い出した夏は決して楽しかった思い出ではない。人間誰にでもある影のような嫌な1日。 (Reviewed >> 11/14/12:劇場にて鑑賞) |
●● 100本映画 今ね、映画環境がすこぶる良いんですよっていうか、そういう所を選んだのもあるんですけどね。ブロックバスター系の映画館もちょっと頑張ると歩けるのですが、アメリカでは大都市でしか見かけないような単館系の映画館が歩いて5分もない所にある!でも、あまりブラックムービー系は上映しないだろうなーなんて思ってたけど、なんとこの映画が上映されてた!人生賭けてみるもんだよね。幸せは歩いてこない、だーから歩いていくんだよー!を実感してるよ、チーター… という訳で、「Precious: Based on the Novel Push by Sapphire / プレシャス (2009)」がアカデミー賞候補になり、自身もアカデミー監督賞の候補にまでなったリー・ダニエルズの最新作。そりゃ、楽しみですよね。とにかく薄気味悪い映画。観た後は絶対に精神的なダメージを受けちゃうような作品。1969年のフロリダの南部が舞台。そこで起こった事件を追っていくんだけど、フロリダ南部ってこんなに薄気味悪かったけ?と思う位に、陰湿。なんか「Poor Pretty Eddie / 日本未公開 (1975)」的な気持ち悪さのある映画。サウザンゴシックっていわれるジャンルね。湿った小川のバイユーが厭に印象深く、その湿った気持ち悪いバイユーに居るかのように、居心地の悪さを感じさせる作品なのです。 ジョン・キューザックが演じるヒラリーという男が監獄に居る。けど、「マイアミ・タイムズ」の記者ワード(マシュー・マコノへー)とヤードリー(デビット・オイェロウォ)はヒラリーの無罪を信じている。そしてヒラリーには文通によって婚約した女性シャーロット(ニコール・キッドマン)が居て、そのシャーロットの助けを借りて、2人は真実を明かそうとしていた。そして事件の舞台は、ワードの地元。実家には大学を中退したジャック(ザック・エフロン)が居て、彼等の父は地元で新聞を発行している人物だった。ワードはジャックを雑務として使っていく。ジャックは童貞だから、すぐにシャーロットに惚れてしまうんですよ。ジャックが童貞なのは、死んだお母さんの言いつけを守っているから。そしてこの映画のナレーションは、そのワードとジャックの家でメイドとして働いているメイシー・グレイ演じるアニータという女性。 これがね、物語が面白かった。同タイトルの原作があるんだけど、どうやら原作とは変えている部分が多い。原作ではワードが主役だけど、この映画ではジャックが主役気味。そのフロリダの田舎町で大人になっていくジャックがメインに描かれている。そのジャックを演じたザック・エフロンは、ちょっと前までティーンのアイドル的存在だったけど、見事にいい垢が落ちた感じ。ブリーフ一丁で、頑張ってる。良い感じのバカぽさがいい。80年代のロブ・ロウを彷彿させるというかね。そしてマシュー・マコノへーが演じたワードも一ひねりあって最高だった!カッコいい兄上かと思ったら、ちょっとひねってあるんだよね。最高。「Magic Mike」といい、今年のマシュー・マコノへーは私にとってキレキレだね。こういう気持ち悪さが最高だよ。思わず映画館の中で「えー!」って驚いたもん。衝撃的。あのシーンは今年一番気持ち悪かったね。そして、カンヌ映画祭で上映された時に話題になったのがニコール・キッドマンね。超おバカなシャーロットという女性を演じているんだけど、トム・クルーズと別れて吹っ切れたのかな?凄かった。ジョン・キューザックと初めて監獄の面会で会うんだけど、その時に擬似セックスをするんだけど、凄い衝撃的なシーンでした。そしてもう一つ衝撃的なシーンがあって、クラゲに刺されたジャックを救おうと尿を掛けるシーンがあるんだけど、キッドマンは「リアリティ」を追及する為に、実際にしたとの噂。その噂を聞いた時には、「どうしたんだ!きっどまーーーん!」って思った。けど、その映像を実際に見るとはもっと「どうしたんだよーーー、きっどまーーーーーーーーーーーん!」ってなるよ。でもジョン・キューザックだけは顔が切な顔だから、頑張ってたけど合ってなかったよね。あれがトム・サイズモア辺りだったら、私、怖くて絶叫していたと思う。ジョン・キューザックにはマチェーテじゃなくて、やっぱりラジオが良く似合うんですよ。 まあでもこれがリー・ダニエルズが撮りたい映画なんだろうなーとは強く感じた。プロデューサー時代の頃から薄気味悪くて、衝撃が高い映画を撮ってたものね。性的にアブノーマルで気持ち悪いのが好きだよね、この監督。でもさ、気持ち悪くてもう勘弁!と思いつつも、何度も書くけど物語が面白いから、また観ちゃうんだろうなーとは思う。 フロリダのバイユーも、ポリスアカデミーで見た時は陽気で楽しそうだったのに、この映画ではこんなに陰気になるものですかね!それにしてもこんなエロ気持ち悪い映画を、古びた映画館で、元ジェイソンの中の人だったぽい老人のオヤジと2人きりで観た事が精神的なダメージが大きく、一番怖かったです… (1052本目) |
●● トリビア 「プレシャス」の成功で注目を集めているリー・ダニエルズの最新作。カンヌ映画祭に出展する事が決まった。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 * The BEST OF SOUL2012 映画秘宝 私が選んだベスト10 2012年度7位 |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
●● 関連記事 |
|
●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt1496422/http://en.wikipedia.org/wiki/The_Paperboy_(2012_film) http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=345292 |
|
|