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Cast >>Andrew Duggan (Chuck Robinson), Raymond St. Jacques (Bill Gunther), Cicely Tyson (Vicky Gunther), Jane Wyatt (Mary Robinson) ...
Director >>Fielder Cook
Writer >>Arkady Leokum (play)
Producer >>Lewis Freedman
Genre >>Drama
Country >>USA

 総合ポイント 4.25点/5点満点中
内容 >>4 演技 >>5 演出 >>4 音楽 >>4

 レビュー
"You're moving into a community!"
チャック&メアリー・ロビンソン夫妻(アンドリュー・ダガン&ジェーン・ワイアット)の2人は家を売る事にし、その日はその買い手であるビル&ヴィッキー・ガンサー夫妻が下見に来るので、ワクワクしていた。お酒や食べ物の用意も済ませた。ロビンソン夫妻は、ガンサー夫妻が黒人である事を知っていて、それによって「近所」に文句言われる可能性もあったが、自分達は逃げる訳ではなく、すぐ近くのもう少し小さい家に引っ越すので、問題は無い、そんなの「どうでもいいこと」だった。こんな豪邸を買える黒人家族は、それなりの黒人一家だと思い込んでしまっていた。しかし、ロビンソン夫妻のそんな心の隙を見透かされ、考え方の違いを知ってしまうのだった...

70年代のブロードウェイ劇をそのままの形に近い状態で残そうと、映像化されたブロードウェイ・シアター・アーカイブの1作品。4人だけの舞台。白人対黒人の差別の構造が見事。白人の2人の夫婦は分かりやすいクー・クラックス・クランなどの差別主義団体に入っている訳でもなく、どちらかというと黒人に心を開いていると思っている。自分達は開いているからこそ、家まで彼らに売るのだ!と思い込んでいる。第一彼等もそんな事は気にしないだろう、ここの地区に来るほどなのだから、全てを理解し、そのように振舞ってくる筈。でも奥さんの方は、彼等が来る前に「貴方は彼等に罪を感じているの?」と、チャックの心を少し見透かしている。最初は順調だった4人。しかし、その白人地区に住むのにはスタンダードがある事を知っていく。近所みんな仲良く週末にはパーティがあったりして、それに参加する等の細かいルールがあるのだった。しかし、ガンサー達はそんなルールを大事に思っていない。彼等の目的は、彼等の子供たちがその地区のとてもいい学校に行く事だけ。それを知り、ロビンソンたちは本当に彼等に家を売っていいものか疑問に思うようになる。それを見透かしたビルは、過激にロビンソンの2人を追い込む。「あんた達のスタンダードなんて知るか!」と、そうするとメアリーが「白人嫌いなニグロ!」と罵る。実に当時をよく反映している。

メアリーは「もう白人・黒人っていうのがうんざりだわ!」と叫び、ビルを「クリーチャー」呼ばわりする。本音を吐き出す事で、人が人でなくなるのだった...
(Reviewed >> 2/20/14:DVDにて鑑賞)

 100本映画
キリのいい1200本目!!!ですが、なぜか地味なこの作品を!タイラー・ペリーで映画化された「For Colored Girls Who Have Considered Suicide/When the Rainbow Is Enuf / 日本未公開 (1982)」や、名作「Freeman / 日本未公開 (1977) (TV)」や「The Sty of the Blind Pig / 日本未公開 (1974) (TV)」等と同じく、PBSで放送されていた「Great Performances」シリーズで、DVDでは「Broadway Theatre Archive」シリーズとして販売されている舞台の一作品。この作品は舞台だが、客がいないセットで舞台と同じように演じられている。今回はたった4人の芝居。白人夫婦と黒人夫婦が登場人物。黒人夫婦には、「Cotton Comes to Harlem / ロールスロイスに銀の銃 (1970)」の棺桶エドで知られるレイモンド・サン・ジャックが夫のビル役。妻ヴィッキー役には「Sounder / サウンダー (1972)」にてアカデミー賞にノミネートされている名女優シシリー・タイソン。ジャズファンにはマイルス・デイビスの元妻で、「ソーサラー」のジャケでお馴染み!

チャックとメアリーは閑静な高級住宅街にある家を売ることにして、その買い手であるビルとヴィッキーをワクワクそわそわしながら待っていた。チャックは、ビルとヴィッキーが黒人である事を知っていた。しかし、これほどの豪邸が買える黒人夫婦だし、ならば常識もあるだろうからと、そんなに心配はしていなかった。ひょっとしたら同じコミュニティから反発はあるかもしれないが、自分達はそこを黒人に売り渡して逃げる訳ではなく、チャックとメアリーは同じコミュニティで少し小さい家に越すだけなので、バックラッシュは無いだろうと信じ込んでいた。彼等が来る前にメアリーはチャックに問う。「貴方は(黒人に対して)罪を感じているの?」と。チャックはそんな事は無いと言い、そんな事は「どうだっていいのさ!」と繰り返すのだった。やがて、ビルとヴィッキーがやってくる。チャックは用意していたお酒を勧める。ビルが「バーボンを」と言うと、彼等はスコッチ好きだとチャックは思い込んでいた。ビルとヴィッキーは家が気に入り、その場で前金を小切手で払い、チャックも領収書を書き、家の売買は正式なものになった。しかし、コミュニティとの交流を大事にするチャックとメアリーは、ビルとヴィッキーもそうしてくれるものだと信じ込んでいた。しかし、ビルとヴィッキーは近所との関わりには関心がない事、そして引っ越してくる理由は「子供たちの学校」の為だけだと知り、チャックとメアリーは次第に不信感を募らせ、逆にビルとヴィッキーはチャックとメアリーの言葉の節々に彼等の価値観を押し付けようとされているのを悟り...

たった60分程度で登場人物4人というコンパクトな作品でしたが、内容は非常に濃い作品。公民権運動の60年代を経て、黒人が「ブラック・イズ・ビューティフル」に目覚めた頃。学校では人種融合が進んではいたが、やはり黒人が多く集まる地区の学校のレベルの低さが問題だった。この舞台のビルとヴィッキーはハーレムから、郊外のこの白人しか住んでいない高級住宅街へと引っ越してこようとしている。子供たちをより良い学校環境へと望んだ結果だった。しかし、チャックとメアリーはそれが理解出来ない。彼等にとって、家を越すという事はコミュニティとの関わり...つまり同じスタンダードを共有し、同化する事だった。週末にはどこかの家でパーティ、そして同じクラブハウスに入り、奥様方はボランティアをしたり、お茶をしたり... しかしビルとヴィッキーは違った。チャックとメアリーは退屈な同じような毎日を過ごす...檻の中の動物だとビルとヴィッキーは思っていた。コミュニティの為に越してくるのではない、自分の子供たちの為なのだ。という目的がハッキリしていた。しかも、チャックとメアリーは差別者では決して無いが、そんな彼等にも黒人への偏見が多々ある事は言葉の節々で感じていた。最後、メアリーはそれを爆発させる。「マン(男)」ではなく、「ニグロ(黒人)」呼ばわりするメアリー。しかも、ビルを人ではなく「クリーチャー」呼ばわりする。最後には「もう黒人だの白人だの結構よ!」とうんざりしてしまう。チャックは無言。チャックはきっと黒人とも仲良くできる男として、自分の男としての大きさを見せようと思っていた節はある。それをズタズタにされた。

当時の見えない差別・偏見を見事に描いておりますね。この見えない差別・偏見というのは、今の時代にも通用する普遍的なテーマ。だからこそ見ごたえのある作品でした!シシリー・タイソンがミニアフロで、昔は有名なシンガーで自由な黒人女性を演じているのが、えらくカッコいい!

 トリビア

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Last Modified: 2014-02-20
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