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Cast >>Dramatization: Carl Lumbly (Nat Turner : Gray ver.), Tommy Redmond Hicks (Nat Turner : Edmonds ver.), James Opher (Nat Turner : Styron ver.), Michael LeMelle (Nat Turner : Brown ver.), Patrick Waller (Nat Turner : Stowe ver.) Narration: Alfre Woodard Interviewed: Ossie Davis, Henry Louis Gates, Herbert Aptheker, Vincent Harding, William Styron, Ekwueme Michael Thelwell, Mary Kemp Davis, Eric Foner, Bruce Turner, Rick Francis, Ray Winbush, Louise Meriwether, Loyle Hairston ...
Director >>Charles Burnett
Writer >>Charles Burnett, Frank Christopher, Kenneth S. Greenberg
Producer >>Frank Christopher
Genre >>Documentary
Country >>USA

 総合ポイント 5点/5点満点中
内容 >>5 演技 >>5 演出 >>5 音楽 >>5

 レビュー
"I surely would be a prophet"
1831年8月にバージニア州サウスハンプトン郡にて奴隷たちの反乱が起き、寝床などを襲い白人住民の女性や子供も含めて全員殺された。奴隷の開放を求めて起こしたその反乱を率いたのが、ナット・ターナーであった。映画監督チャールズ・バーネットが時代によって描かれ方が違ったナット・ターナーの姿を追うドキュメンタリー映画。

普通のドキュメンタリー映画とは少し趣が違う。実験的なドキュメンタリーと言ってもいいだろう。ナット・ターナーが縛り首で死刑される前にトーマス・R・グレイに話したと言われていてグレイがそれを書き留めた本「ナット・ターナーの告白」から、黒人劇作家ルドルフ・エドモンズが書いた舞台劇でのナット・ターナー、公民権運動時代に白人作家ウィリアム・スタイロンに再考され書き直された「ナット・ターナーの告白」、そして南北戦争を勃発させた「アンクル・トムの小屋」のハリエット・ビーチャー・ストウがナット・ターナーをモデルに書いた「ドレッド」、奴隷廃止論者ウィリアム・ウェルズ・ブラウンが描いたナット・ターナーを追っていく。面白いのが、それぞれのナット・ターナーはドラマ仕立てに再現されおり、同じナット・ターナーでも演じた役者がそれぞれ違うのが面白い試みだ。この作品の中で、黒人歴史学者であるヘンリー・ルイス・ゲイツが語っているように「スタイロン版が嫌いならば、自分自身でナット・ターナー像を描くべきなのだ」と。

この作品で、チャールズ・バーネット監督は様々なナット・ターナー像を描いてみせてくれた。そしてそれらは我々を啓発し、ナット・ターナーを深く模索し、そして自分自身のナット・ターナー像を描いてみたくなるのだ。
(Reviewed >> 6/28/16:TV放映にて鑑賞)

 100本映画
今年から来年にかけてもっとこの名前を書く事になる&聞く事になる筈であるナット・ターナー。というのも俳優ネイト・パーカーが監督したナット・ターナーの自伝映画『The Birth of a Nation / 日本未公開 (2016)』がサンダンス映画祭で大賞と観客賞の2冠を達成し、今度のアカデミー賞でも本命と言われているからだ。ノミネートはもう確実と言っても過言ではない。そのナット・ターナーはヴァージニア州に奴隷の子供として生まれた。30歳の時にそのヴァージニア州で奴隷蜂起(歴史では反乱と呼ばれてはいるが)を起こしたのである。その蜂起が大きな反響と影響を与えた。ナットが囚われ縛り首の刑に処させるまで、監獄の中でトーマス・R・グレイという白人に話したものが書籍になったのが「ナット・ターナーの告白(The Confessions of Nat Turner)」である。それを1960年代に再考されて白人作家ウィリアム・スタイロンによって書き直されたのが同じタイトル「ナット・ターナーの告白」。

という事で、同じナット・ターナーの告白でも時代によって捉われ方や扱われた方が違う。というのを追ったのがこの作品。撮ったのは、私の生涯ナンバーワン映画であろう(今の所)『Killer of Sheep / 日本未公開 (1977)』のチャールズ・バーネット。もちろんナット・ターナーが映画や本で描写された事は、それだけじゃないので、他の作品でのナット・ターナーも追っている。例えば、黒人の奴隷廃止論者ウィリアム・ウェルズ・ブラウンのエッセイでのナット・ターナーや、黒人劇作家ランドルフ・エドモンズの舞台のナット・ターナー、そして「アンクル・トムの小屋」のハリエット・ビーチャー・ストウがナット・ターナーをモデルに書いたであろう「ドレッド」などについても触れている。面白いのが、それぞれの作品からの再現シーンがあって、それをそれぞれ別の俳優がナット・ターナーを演じているのが面白かった。例えば、トーマス・R・グレイの「ナット・ターナーの告白」からの再現シーンでナット・ターナーを演じたのが、チャールズ・バーネット監督の男ミューズであろうカール・ルンブリーが演じていたりする。そういう実験的な所がチャールズ・バーネット監督らしい面白さだなーと改めて思った。

そしてインタビューでは、なんとナット・ターナーの子孫まで受けている!更にはナット・ターナーの反乱で殺された白人の犠牲者の子孫も!そして上に書いたウィリアム・スタイロンの「ナット・ターナーの告白」では、なぜか白人女性とナット・ターナーの不倫関係が描写されており、発売当時には黒人の作家たちが大反発した。この作品の中では、ウィリアム・スタイロンも反発した作家たちの両者がインタビューに答えている。

で、ナット・ターナーの一番信頼できるソースとなりそうなのが、トーマス・R・グレイの「ナット・ターナーの告白」になるのだけど、それもグレイの主観などが含まれ、勝手に書いている部分もあろうだろうという研究も進んでいて、今の歴史研究の殆どがそうだけど、結局の所は謎なのだ。で、黒人歴史の一人者であるハーバード大学の教授ヘンリー・ルイス・ゲイツは「スタイロン版が嫌いなら、自分自身で(ナット・ターナーの物語を)書くしかない」と話している。そしてこの作品を観た者全員がそうする事(自分自身でナット・ターナーの物語を書く事)になるであろう...という風にこの作品を魅力的にそして啓発的に作り上げたチャールズ・バーネット監督、やっぱり大好き!!!

それにしても、ネイト・パーカーの映画、益々楽しみになってきた。ネイト・パーカーもこの映画観たんじゃないかな?だからタイトルはあの『The Birth of a Nation / 國民の創生 (1915) 』から取ったんでしょ?そうでしょ?あああぁああぁあああ、聞きたい!

 トリビア
奴隷反乱を起こしたナット・ターナーの姿を、UCLA映画科卒のチャールズ・バーネットが追うドキュメンタリー。

 その他

 受賞歴

 サウンドトラック


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 インフォサイト
http://www.imdb.com/title/tt0354763/
https://en.wikipedia.org/wiki/Nat_Turner:_A_Troublesome_Property
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Last Modified: 2016-06-28
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