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Cast >>Jon Voight (Billy Rowles), Louis Gossett, Jr. (R.C. Horn), Joe Morton (Walter Diggles), Bokeem Woodbine (Khalid X), Emily Yanc (Stella Byrd), Blu Mankuma (James Byrd Sr.), Roy T. Anderson (James Byrd, Jr.) ...
Director >>Jeffrey W. Byrd
Writer >>Jonathan Estrin
Producer >>Jonathan Estrin, Michael Greene
Genre >>Drama
Country >>USA

 総合ポイント 4.75点/5点満点中
内容 >>5 演技 >>5 演出 >>5 音楽 >>4

 レビュー
"One day you'll wake up such a pain because what you've done"
日曜日。テキサス州の小さな町ジャスパーの田舎道を走っていた保安官のビリー(ジョン・ヴォイド)が無線で事故があったと連絡を受けた。現場に向かうと、道路には不可解な跡が残っていて、ビリーはその跡を辿ると、そこには頭も腕もない死体を発見した。すぐに市長のR.C・ホーン(ルー・ゴセット・ジュニア)が現場に駆けつけた。ビリーは市長に死体は黒人で、どうやら引きずられたようだと報告。現場に残っていた証拠から犯人の1人ショーン・ベリーが浮かび、地方検事の手腕でベリーはすぐに他の2人の名前を明かし、犯行の様子まで語った。他の2人は白人至上主義者だった。しかし小さな町ジャスパーは、見慣れないFBIや有名な活動家たちが押し寄せ、町は全米の注目を浴び、真っ二つに割れそうであった。しかもブラック・パンサーがやってきてマーチをしたり、今度はKKKがやってくる。それをかぎつけたブラック・パンサーがKKKと同じ日にマーチをすると言い張る。ホーン市長とビリーは何とか町を平和に保とうとするが...

実際に起きたヘイトクライムを元に制作されたTV映画。ジェームス・バード・ジュニアは夜にヒッチハイクをした。乗せてくれたのが、ショーン・ベリーとブリューワー、そしてジョン・キングであった。ピックアップトラックの荷台に座ったジェームス。田舎の暗い道を走る。突然止まった所で、ビールを勧められる。飲もうとした所でいきなりビール瓶で殴られる。バッドで殴られたり、蹴られたり。意識を失った所で、足にチェーンを巻きつけられ車で引きずられる。意識を取り戻すが苦痛しかなかった。死体となって見つけられた時には、頭はなく、腕の片方はなかった。法廷のシーンではそんな死体の写真を見せられる。観客は言葉なんて出ない。ホラー映画以上のホラーである。たった少しのシーンだけれど、ジェームズがどんな苦痛で死んでいったのか、すぐに物語る写真であった。そのジェームスの苦痛と共に、映画では小さな町がどのようにして暴動や人種衝突が起きなかったのかが描かれている。市長や教会の牧師たちや保安官たちの努力があっての事だった。正直、悲しくて見ているのが辛い映画ではあったが、ブラック・パンサーとKKKの衝突はちょっとだけコミカルに描かれているのが良かった。地元の人達は「ジャスパーの町が使われている」と感じていた。パンサーとKKKの衝突もそうだが、マスコミや有名活動家たちもそうであった。それらを上手く風刺していたのも良い。
そして監督は奇しくも殺されたジェームス・バードと同じ「バード」姓のジェフ・バード。しかも監督の父親の名前がジェームス・バードであった。映画を引き受けた後に、監督の従兄弟が調べた結果、なんと親類であった事が発覚したそうだ。

そして3人の犯人のうち2人は死刑を言い渡された。映画の最後では、テキサス州にて黒人が被害者で白人が加害者となった裁判で死刑を言い渡され実行された例は1854年以来となる。その時はお気に入りの奴隷を殺された白人が起こした裁判で、所有者権を争っての事で、黒人を殺した罪ではなかった。そしてバード殺人の犯人の1人、ブリューワーはこの映画が公開されてから8年後の2011年に死刑が実行されている。なんともパワフルで考えさせられる映画であった。
(Reviewed >> 7/14/13:DVDにて鑑賞)

 100本映画
正直、まだ怒ってる。一生、消化できそうにもない。テレビでこの件について話し合いがされればされる程に、怒りで感覚が麻痺してしまう。無である。この世に正義なんて存在しないという、喪失感。

そんな時に思い出したのがこの映画。この映画は、タイトルのテキサス州ジャスパーという田舎の小さな町で起きた事件。殺されたのが、ジェームス・バード・ジュニア。当時49歳の黒人。ジェームスは夜にヒッチハイクをした。その時にトラックの荷台に乗せてくれたのが、ショーン・ベリーという白人。そしてそのトラックにはベリーの友人のジョン・ウィリアム・キングとローレンス・ラッセル・ブリューワーという別の白人2人も乗っていた。夜の暗い田舎の道路を、車のヘッドライトだけでひたすら走る。ベリーは突然トラックをわき道に止める。ビールが飲みたいといい、他の2人やジェームスにもビールを分けた。ジェームスはありがとうと言うと、いきなり後ろからビール瓶で頭を殴られた。それからは、3人で殴ったり蹴ったり踏んづけたりと暴行が繰り返される。バットでも殴られた。気を失ったジェームスが気づいた時には、チェーンで繋がれたトラックで引きづられていて、その強烈な痛みで意識を取り戻したのだった。時既に遅し。次の朝、保安官が現場に駆けつけた時には、ジェームスの頭は無く、そして片方の腕も無かった。現場に駆けつけた保安官ビリーを演じたのが、ジョン・ヴォイド。道路についていた跡と、ジェームスの足首の跡から、ビリーはすぐにジェームスが引きづられて殺された事を理解するのだった。ビリーは、ホーン市長(ルイス・ゴセット・ジュニア)に連絡し、ホーンも現場に到着。これからこの小さな町ジャスパーが直面していく人種問題に、2人は挑むのであった。

この映画の加害者のジョン・キングとローレンス・ブリューワーは、前科持ちで2人は牢獄にて出会い友人となった。確か年は10歳近くも違う。ジョン・キングはその牢獄で黒人からレイプ被害に遭い、白人至上主義のグループに助けを求めて入会。ブリューワーもキングと共に入会。ベリーが入会していたという情報は見つからなかった。そしてベリーが白状した事で他の2人が逮捕。ベリーは事件の殆どはキングとブリューワーによって行われたと話した。

事件が明らかになると、この小さな町は真っ二つに割れてしまう。そしてこのニュースが全米で知れ渡るようになると、ブラック・パンサー党がジャスパーにやってきて、銃を持って行進すると言い張る。危険なので止めさせようとするも、止める手段もなく、パンサーは町を練り歩く。それを知ったクー・クラックス・クラン(KKK)が、ならば俺たちは裁判の日に行進する!と言い出した。これまたそれを知ったブラック・パンサー党が、ならば俺たちも同じ日にまた行進する!と言いつける。ジャスパーの町はそれじゃなくても大変なのに、益々面倒な問題がやってくる。

そんなジャスパーの町を沈静化したのは、教会の牧師達だった。ホーン市長に協力し、自らを「市長の機動部隊(Task Force)」と呼んだ。その市長の機動部隊は、黒人牧師だけでなく白人牧師も加わっている。彼等の力添えもあって、ジャスパーの町ではパンサー党とKKKがちょっとしたイザコザを起こしたが、市民達が暴動を起こす事は無かった。

そして裁判が始まる。彼等が獄中で書いた手紙やタトゥの物的証拠があり、ヘイトクライムだという事は明らかとなった。そして、検察側はホラー映画でもさすがに描けないような、恐ろしいジェームスの死体写真を提示(映画にもその恐ろしいシーンがある)。陪審員達(映画の中では黒人とアジア人が一人ずつ混じっていた)は、白人至上主義グループに入っていたブリューワーとキングに、死刑の判決を下した。そして差別主義者という証拠に欠けたベリーには終身刑。

昔は(今でも?)、差別主義者という証拠があっても、死刑になんてならなかった。ようやくテキサスにて、正義が勝ったのである。この映画で、検事(白人)がベリー役が白状した時に言った言葉が忘れられない。「あなたが仕出かした事が原因で、苦痛で目が覚める日が必ずやってくるぞ」。無罪といわれた時に笑顔を見せたジョージ・ジマーマンにそのまま捧げたい言葉である。

ちなみに感想にも書いたが、この映画の監督の名前は奇しくも被害者となったジェームス・バードと同じ「バード姓」のジェフ・バード。ジェフ・バードはお父さんの名前が「ジェームス・バード」で、何だか奇遇だな?とは思っていた。この映画を引き受けた時には知らなかったそうだが、スミソニアン博物館に勤務している従兄弟が家系を調べたら、なんと被害者のバード家と監督のバード家は繋がっていたのが分かったそう。凄い偶然。奇跡。

そしてこの映画の最後は、「ジョン・キングとローレンス・ブリューワーの死刑が実行されれば、テキサス州で白人が黒人を殺して死刑になるのは、1854年以来となる。しかしその時はお気に入りの黒人奴隷を殺された白人が、権利問題で訴えて死刑なっており、殺した罪ではなかったのだ」と終わっている。この映画がテレビで放送されてから8年後、前科もあるのでブリューワーの死刑が2011年に実行されている。キングに関しては、まだ審議中。

この手の映画やトレイヴォン・マーティンの無残な死を考えると、いつもこの映画「The Trials of Darryl Hunt / 日本未公開 (2007)」のラリー・リトルという地元市会議員の言葉が蘇る「差別は真実より強い」。残念ながら絶対にそうなのだ。でもある人々は違うと言い張る。黒人であった事は関係ないと。興味深いツイートを見かけた。「なんでNRA(全米ライフル協会)はトレイヴォン・マーティンは銃を持っていれば、この悲劇は回避できたとか、黒人青年達よ銃を持て!とは言わないんだ?」。どうして?どうして、フォックスのヘラルド・リヴェラは「黒人とヒスパニックの青年はフード帽を止めるべき」と事件後に言って、白人青年やアジア人はなんで良いの?ジョージ・ジマーマンが警察に電話かけた時に言っていた「あいつ等」って、誰の事?この映画のキングやブリューワーみたいに正々堂々と認めないだけ。今あるのは、カラー・ブラインドなグレーな世界。でもこの映画の元となった事実とこの映画の存在が、少しだけ私の沈んだ魂を熱くさせてくれた。

 トリビア
実際にテキサス州ジャスパーで起こったヘイトクライムを元に作られたTV映画。ルイ・ゴセット・ジュニアやジョー・モートンにボキーム・ウッドバインが出演。ジョン・ヴォイドが地元のシェリフを演じている。

 その他

 受賞歴

 サウンドトラック


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 インフォサイト
http://www.imdb.com/title/tt0335185/
http://en.wikipedia.org/wiki/Jasper,_Texas_(film)
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Last Modified: 2012-09-25
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