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●● レビュー Neocolonialism前作の「Music by Prudence (2010)」でオスカーのドキュメンタリー部門を受賞したロジャー・ロス・ウィリアムスが、アメリカの福音派のキリスト教の伝道師達がアフリカのウガンダにてアンチ同性愛法に影響を追うドキュメンタリー。 アメリカの中西部カンザスシティにて、キリスト教福音派の教会である国際祈りの家(通称IHOP)では、ウガンダの孤児たちを救うという目的で、そこの教会に熱心に通う若者たちが準備を始めていた。「銃やナイフという物でなく、聖書で世界を征服するのだ」と牧師が熱ぽく語り、若者たちは陶酔しきっていた。そしてアメリカの東海岸ボストンにはウガンダでキリスト教のリサーチをしていたザンビア人の牧師カプヤ・カオマが居た。彼はウガンダから逃れるようにアメリカにやってきたのだった。理由はひとつ。ウガンダのLGBT活動の支持をしたからだった。アメリカにやってきて、彼はウガンダとIHOPと同性愛の権利についてリサーチしている。ウガンダの地で25年間も聖職についているクリストファー・センヨンジョは、ウガンダでは存在を否定されている同性愛者たちに語り掛ける。「貴方たちはありのままでいなさい」と。しかし彼もまた教会を首になったのだった。一方で、アメリカからやってきたIHOPの面々はアメリカの豊かさをウガンダの若者たちに見せ付ける。そして貧しくて彼等に物を売っている子供たちに言うのである。「神を信じれば、永遠の命が与えられるんだよ」と。 価値観の押し付けというよりも、一種の呪文のようだった。とは言え、そんな言葉を発したアメリカの若者たちも、「キリスト教徒として孤児を救う」という呪文にかけられているようだった。新しい植民地主義。恐ろしい。 (Reviewed >> 5/29/14:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 2010年のアカデミー賞ドキュメンタリー部門を獲得したのがロジャー・ロス・ウィリアムスの「Music by Prudence / 日本未公開 (2010)」。障害をもちながらシンガーソングライターとして活躍するプリューデンスを追うドキュメンタリー。そのロジャー・ロス・ウィリアムスの最新作が、今回の「God Loves Uganda」。PBSの「Independent Lens」にて放送!録画しておいたら、なんと次の週にNetflixにDVDが入荷したので、DVDで見ました。今回のドキュメンタリーはアメリカのカンザス州にあるメガチャーチの一つ「インターナショナル・ハウス・オブ・プレイヤー(通称IHOP)」のウガンダでの伝道を追う。ウガンダのキリスト教人口は、人口の半分以上60-70%を占めている。12%がイスラムで、残りはユダヤや伝統宗教など。渋滞でカオスな首都カンパラの大通りでも説教師たちが車と車の間を歩きながら... 歩道でマイクを握り... とにかくキリストの教えを説いているので、その映像からも信仰心が深い事が分かる。そんなウガンダに向かうのが、先に書いたようにカンザス州のIHOPの若い伝道師たち。IHOPの主教であるルー・イングルは「銃やナイフを手に持ってではなく、聖書を片手に世界を征服するのだ!」と、音量をガンガンにきかせた音楽と共に若者たちを説き伏せる。アメリカ人の若い人たちは「ウガンダの孤児たちをキリスト教で救うため」という使命のもとウガンダに向かう。彼等IHOPの教会は金銭的にも実に潤っているのが、その設備や教会の大きさで嫌でも分かる。一方、ボストンで生活しているのが、カプヤ・カオマ。ザンビア出身の牧師で、ウガンダにてキリスト教の権利をリサーチしていた。その時に、ウガンダにてLBGT(同性愛者たち)の権利を支持した事で、命を狙われるようになり、逃れるようにアメリカに来た。アメリカでも同じ問題をリサーチしている。ロジャー・ロス・ウィリアムスのカメラは、カオマのリサーチやウガンダでのLGBTの実情も暴いていく... 2009年、同性愛に真っ向から反対する過激論者のアメリカ人牧師スコット・ライブリーが他の福音主義者たちとウガンダのカンパラに到着。彼等は「同性愛はアフリカの伝統的な家族を壊すものであり、彼等によりあなた方の子供たちがソドミーの犠牲者となる」という持論を展開するイベントを数多くうった。その効果はてきめんで、ウガンダの地元の牧師たちも共鳴してしまう。アンチ・ホモセクシャル法案が話し合われる事になった。しかもアンチ・ホモセクシャル法案を賛成する地元の牧師たちは大きな教会を保有し、中にはウガンダでトップ5に入る収入を得ている牧師までいる(なぜかはこれから書くことでお察しください)!そしてアメリカのカンザスからやってきた若者たちは、伝道のために子供たちに接触する。伝道で向かった途中で彼等は車に寄ってきて物を売る少年・少女たちに出会う。彼等はアメリカのお金の強さを見せ付ける。彼等から色々と買うのだ。そしてその代わりに?「神を信じる?」とウガンダの子供たちに問いかける。一人の少女が「私はモスリムだから」と言うならば、どんだけキリスト教がモスリムよりかも優れているかという話を展開し、しまいには「ジーサスを信じれば、君は永遠の命が約束されるよ」とまで言うのだった!!って、私はこの言葉や展開に凄く引いたんだけど、この映画うちの夫も私が録画したのを観ていたみたいで、クリスチャンでバプティストの夫は「そうだよ!」と返してきた。「聖書を読めば分かるし理解できるよ」って言われたけど、いちよう聖書は読んだことあるけど...うーーん。下に書いたクリストファー・センヨンジョの伝えたい事は分かるんだけどね、こっちは理解出来ない。 このドキュメンタリーで言っていたのは、アメリカなどの白人が来て話す事は、残念ながらウガンダでもかなりの説得力があって、彼等は鵜呑みにしてしまうという事だった。イメージで洗脳されているという。なにせお金持っている人たちだから。日本ではどこにでもいるほぼ無宗教な私には、どうもそのアメリカ人の若者たちも洗脳されているように見え、気持ち悪さを感じた。 しかしウガンダにも同性愛の権利を主張する牧師が居た。クリストファー・センヨンジョ牧師である。彼は25年もウガンダで聖職の地位にある。悩んだ同性愛者がセンヨンジョの元にやってきた時、センヨンジョはこう同性愛者に言った。「貴方たちはありのままでいなさい」と。それこそがキリスト教の教えなのだと。しかし過激論者たちは違う。ゴシップ誌で100人のゲイリストなるものまで発表。やる事が小学生ぽい。しかしウガンダで勇気を持ってカミングアウトし、LGBTの権利を主張していたデビット・カトーは暴力により命を落とした。そしてアンチ・ホモセクシャル法案を支持する牧師たちは、自分の教会で過激な同性愛の写真を信者たちに見せていた。「彼らはウン○を食べているんですよ!ウ○チですよ!」とかなり煽る。子供も見ているのに...教会でそんな写真を子供に見せるほうがトラウマ!というか、そっちはヘテロでもあるだろ!と突っ込みたい。そしてIHOPの面々はローカルなウガンダ人に自分たちの信仰を説き伏せ、アメリカからきた若者たちが行けないような僻地にもIHOPの教えを説き伏せに行く... 残念ながらアンチ・ホモセクシャル法案は2013年12月に法案が通り、2014年2月から執行されている。元々の法案は死刑もありえたが、死刑は無くなったが終身刑はありうる。同性愛者が同性と付き合ったり関係を持っただけで... ロジャー・ロス・ウィリアムスがカメラという彼の最強の武器で挑んだ渾身のドキュメンタリー。 (1238本目) |
●● トリビア 「Music by Prudence (2010)」でオスカーのドキュメンタリー部門を受賞したロジャー・ロス・ウィリアムスのドキュメンタリー作品。アメリカのキリスト教がウガンダでどれだけのインパクトを残しているかを追うドキュメンタリー。 2013年サンダンス映画祭にて上映。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
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●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt1874513/http://en.wikipedia.org/wiki/God_Loves_Uganda Not available from Allcinema |
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