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●● レビュー Never give in1970年8月7日、17歳のジョナサン・ジャクソンが銃を持ち、裁判所を襲った。刑務所にいる自分の兄ジョージ・ジャクソンを釈放を求め、誘拐目的だった。しかしジョナサンは銃に倒れた。ジャクソン等が使用した一部は、アンジェラ・デイビスが購入した銃だった。アンジェラと兄ジョージは恋愛感情のあった交際をしていた。銃を巡って、アンジェラはFBIから指名手配を受けた。そのアンジェラの戦いの記録。 厳しい事を書けば、日本でのアンジェラ・デイビスはポップ・アイコン化した部分があるように思える。彼女の哲学や信条をどの程度理解しているのだろう?と思う事もある。私はキング牧師のフォロワーなので、アンジェラとはまたちょっと違う部分もある。それでもこの映画を見て改めて思ったのが、その信条を曲げないのが凄い。自分が有罪になったら極刑もありうるのに、黒人弁護士を雇うという信条。そこだけは曲げられなかったらしい。その信条こそが勝利を呼んだのかもしれない。タイトルにもそれが感じられる。てっきりほかの政治捕虜の事もこの作品で触れているのかと思えば、アンジェラ・デイビスだけだった。それは自分が注目を集めていたアンジェラが「ほかの全ての政治捕虜の開放も」と言っていたからだ。 そしてニクソン大統領の性格の悪さも明らかになっているのは面白い。 アンジェラ・デイビスの信条、そして70年代の血生臭さが感じられる重厚さ。 (Reviewed >> 9/19/13:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 アンジェラ・デイビスのドキュメンタリー映画。タイトルから察するに、アンジェラ・デイビス「アンド」全ての政治捕虜達についてのドキュメンタリーなのかと思えば、そうではない。アンジェラ・デイビスのドキュメンタリー。しかもアンジェラの生い立ちから追うのではなくて...いやほんの少しだけ追っているけれど、主にアンジェラが法のトラブルになった事を追っているドキュメンタリー。アンジェラは南部の中でも差別が酷かったアラバマ州のバーミングハムに生まれ育った。バーミングハムは公民権運動時には、爆発(ボム)事件が多く「ボムングハム」とも言われた所。黒人の教会に爆弾が投げ込まれ、4人の少女が亡くなった事件もバーミングハム。そういえば、共和党のコンドリーザ・ライスもバーミングハム出身。アンジェラのお家は比較的に恵まれていた。アンジェラは高校の時に南部の黒人を北部の学校に通わせて人種融合させるプログラムにより、ニューヨークの高校に転校、そして大学まで進んでいる。アンジェラの他の兄弟もそのプログラムや親戚を頼って、アラバマを離れていい学校に進学している。なので学生時代は公民権運動の時代だったが、アラバマで幾度も行われた行進などには参加していない。その後アンジェラは大学時代にドイツの大学で学ぶ。学生非暴力調整委員会(SNCC)には参加していた。その時にフランクリン&ケンドラ・アレクサンダー夫妻に出会う。フランクリンはSNCCのロサンジェルス支部のリーダー。後に共産党に入党。そしてアンジェラはブラック・パンサー党にも傾倒(傾倒はしたがブラック・パンサー党のメンバーではない)。 1969年にUCLAの助教授に選ばれた。しかし共産党員でブラック・パンサー党とも関わっていたので、人々は反発。学校には相当数の脅迫状も届いた。不安になったアンジェラは護身用に銃を購入。もちろん正当な方法で購入。しかしこれが後にアンジェラのトラブルとなる。 1970年8月7日、17歳のジョナサン・ジャクソンはサン・クェンティン刑務所にいる兄のジョージ・ジャクソンの釈放を求め、他の仲間と共に裁判所を襲った。裁判官や陪審員を誘拐し、その引き換えにジョージ・ジャクソンの釈放を求めるつもりであった。しかし、ジョナサンはその駐車場で警官によって殺された。そのジョナサンや仲間が事件で使ったのが、アンジェラの銃だった。アンジェラは共犯者と見なされ、全国指名手配になる。しかもFBIは指名手配のトップ10として、アンジェラを探す事になる。アンジェラは逃げる事を決めた。知り合いがいるシカゴやマイアミ、そしてNYと逃げた。マイアミではもう少しの所で捕まる所だった。アンジェラといえば、あのアフロである。しかし逃亡中はアフロではなかった。なので見逃してしまったらしい。しかしNYであっけなく捕まる。捕まった時にはニクソン大統領時代。ニクソンはアンジェラが捕まった時に「危険なテロリストを捕まえた」と発表した。 それから長い裁判が始まる。アンジェラは自分を弁護する弁護士に黒人の弁護士を選んだ。「それだけは曲げられなかった」と話していた。そして「フリー・アンジェラ」運動が始まる。でもアンジェラは「自分だけでなく、他の全ての政治捕虜達の解放も!」と訴えた。だからこの映画のタイトルが「フリー・アンジェラ・アンド・オール・ポリティカル・プリズナーズ」なのです。刑務所に居る間、色んな人々がアンジェラを訪ねたらしい。その中でもアンジェラが一番印象に残っているのが、ニーナ・シモンだった。ニーナはアンジェラの為に風船を持ってきたらしい。嬉しくて空気が抜けてもずっと飾っていたと語っている。 アンジェラはジョージ・ジャクソンと関係を持っていた。獄中のジョージに宛てた手紙の中には「あなたの為なら何でも出来るわ」という手紙もあり、アンジェラには絶対的に不利であった。しかしアンジェラは「全て白人陪審員」の中、無罪となった。決め手は「頭の良いアンジェラが、ちゃんと登録している銃を渡すなんて間違いをする訳がない」という事だった。ニクソン大統領は肉声テープの中で「アンジェラ・デイビスが無罪な訳がない!」と話している。しかしアンジェラの曲げない信条が無罪を勝ち取った。 ドキュメンタリーは当時の映像や写真が沢山使われており、実に生々しい。そして再現映像は、私が大好きな撮影技師ブラッドフォード・ヤング!今回は重厚な映像を作っておりました。この作品はとにかく生々しい。映像が印象的で、そこ(70年代)にタイムスリップしてその現場に居るような臨場感。 この作品は出来た後にウィル・スミスとジェイダ・ピンケット=スミス夫妻、そしてジェイZが制作者として参加しております。それによって映画祭に出展したり、DVDにもこんなに早くなった感じがしました。 アンジェラとジョージ・ジャクソンは映画にもなっておりますよね。併せてどうぞ。「Brothers / 日本未公開 (1977)」と「Black August / ブラック・オーガスト/獄中からの手紙 (2007)」。 (1155本目) |
●● トリビア 共産党活動家アンジェラ・デイビスを追うドキュメンタリー映画。女流監督ショラ・リンチが制作。 トロント映画祭にてワールド・プレミア。 ウィル・スミスやジェイダ・ピンケット、そしてジェイZがサポートしている。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
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●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt2350432/Not available from Wikipedia Not available from Allcinema |
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