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●● レビュー Brave foot soldier in hot place1963年6月11日、その日はジョン・F・ケネディ大統領が人種差別についての大事なTV演説をしていた。ミシシッピーのNAACPの代表メドガー・エバース(ハワード・E・ロリンズ・ジュニア)は、集会のスピーチを終え、家族と別れた後に、TVインタビューに答え、車で大統領のスピーチを聞きながら家路に急いだ。車から降りた所で、銃弾を受け倒れた。そんなエバースの戦いは10年前から始まっていた。結婚したばかりのマーリー(アイリーン・キャラ)とのデート中に、黒人住民の家を回り、NAACPについて話していたが、彼らを雇う白人達から嫌がらせを受けていた。NAACPのミシシッピー支部の代表に選ばれるが、子供が生まれたばかりのマーリーと対立し... 公民権運動時のミシシッピー、いや今現在でもミシシッピーは大変な場所である。諦めるしかない...そんな状況を作り出す迫力すらある州。その状況の中で孤軍奮闘していたのが、メドガー・エバースという男である。第二次世界大戦では、ヨーロッパで戦った軍人でもある。ミシシッピーのみんなが諦めているので、誰もNAACPの代表をやりたがらない。なぜならそこには「死」が待っているのが一目瞭然だったからだ。でもエバースはだからこそ諦めてはいけないのだと、立ち上がる。そのエバースの苦悩をストレートに描いている作品。エバースを演じたロリンズは実に聡明でエネルギッシュにエバースの英雄像を演じている。マイケル・シュルツの演出も上手い。教会で待つ大人達が「We Shall Overcome」をしっとりと歌い、学生が中心の若者たちが「Ain't Gonna Let Nobody Turn Me Around」を歌いながら力強く教会に入ってきた時に二つの曲が重なり合うのが感動的。 メドガー・エバースは第二次世界大戦の激戦地で戦い無事に帰国した。故郷ミシシッピーの地でも勇敢に戦った。それでも彼は差別に満ちた男の手によって殺されてしまった。彼の苦悩や努力をストレートに見たので、どうしても涙と怒りが溢れてくるのだ。 (Reviewed >> 1/13/11:ビデオにて鑑賞) |
●● 100本映画 この映画の事を書く前に... 私が尊敬しているアメリカ研究者の猿谷要氏が他界した。ご冥福をお祈りしたい。私が猿谷氏を尊敬している事はここでも何度も書いている。猿谷氏の書いたり翻訳した本は私の本棚に20冊は並んでいると思う。その中でも私が猿谷氏の著書で最初に手に取り買ったのが、サイマル出版社から出ていた「アメリカ黒人解放史」だ。この本は私のバイブルであり、この本が無かったから絶対に興味がこっちに向いていなかったと思う。ブラックカルチャーに興味を持った大抵の人が最初に手にする本がこの本だと思う。この本だけは古本屋で買った1968年の初版と1981年の改訂版の両方を今でも大事に本棚で一番最初に目がついて取り出しやすい所に保管している。アフリカでは一人の高齢者が亡くなると、ひとつの図書館が無くなってしまうと言われている。猿谷氏は多くの本を書いて残してくれた。今までの沢山の研究から得た知識を我々にも与えてくださってありがとうございました。というわけで、メドガー・エバースの映画。メドガー・エバースを知らない人は割りと多いと思う。でも猿谷氏の「アメリカ黒人解放史」にも出てくる。NAACPのミシシッピ支部が出来た時の代表に選ばれた人。元々は第2次世界大戦でヨーロッパにて戦った退役軍人なのです。故郷のミシシッピに帰ってみると、状況は戦地よりも酷い。せっかくNAACPが出来るというのに、誰もその代表をやりたがらない。でもみんな勘付いていた。NAACPの代表をやったら、必ず殺されるって。でも誰かがやらないと、いつまでも変わらない!と立ち上がったのが、メドガー・エバースだったのです。しかし、やはりみんなが勘付いていたように、エバースは暗殺された。その日はちょうどケネディ大統領が人種差別についての大事なテレビ演説をしていた日。黒人のみんながテレビに釘付けになっていた時、エバースはNAACPの仕事の帰りに深夜遅くに家に着いた。エバースが後ろ向きになった時に、銃弾がエバースを引き裂いたのです。向かいの家の植え込みに隠れていたのが、クー・クラックス・クランの活動をしていたバイロン・デ・ラ・ベックウィズだった。実はこの映画を作られた時、ベックウィズは自由だった。1963年にエバースが暗殺され、ベックウィズは捕まり裁判に2度掛けられたが両方ともにすべて白人の陪審員の下で無罪になっている。ベックウィズがエバースの暗殺で有罪になったのは、1994年になってから。その裁判の戦いを描いているのが「Ghosts of Mississippi / ゴースト・オブ・ミシシッピー (1996)」という映画。なのでこの映画では、ベックウィズが犯人とされていないし、犯行は実際に撃った男と、その男を車で送った男が描かれている。この映画ではエバースがどのようにミシシッピで戦っていたかに重点が置かれているのが良い。主演を演じたが以前にも書いたが、シドニー・ポワチエとデンゼル・ワシントンの間に居た主演男優ハワード・E・ロリンズ・ジュニア。エバースの妻マーリーを演じたのが、アイリーン・キャラ。2人共にミシシッピの訛りを演じる事は無かったが残念だが、それ以外は熱演。エバースをエネルギッシュに若々しく演じたロリンズが、余計に涙を誘う。そしてローレンス・フィッシュバーンが若い学生の活動家として出演している。その若者が「Ain't Gonna Let Nobody Turn Me Around」を歌い、その両親達が「We Shall Overcome」を歌う。その両方の曲が交わる時に最高の感動を迎える。鳥肌が立つ演出だった。監督は80年代に活躍したマイケル・シュルツ。脚本はなんとオシー・デイビス。80年代はこんな贅沢なTV映画を沢山作っていた事を知らせてくれる映画。 メドガー・エバースの死を、妻のマーリーは絶対に無駄にはしなかった。ずっと戦い続けたからだ。私も猿谷氏から授かった知識で戦い続けるつもりだ。 (0814本目) |
●● トリビア テレビ版の「夜の大捜査線」の主役だったハワード・E・ロリンズが実在したメドガー・エバースを演じたテレビ映画。共演には、ローレンス・フィッシュバーンや、「サウンダー」のポール・ウィンフィールド、「カラー・パープル」のマーガレット・エイブリー、「フェーム」や「フラッシュダンス」のテーマ曲でも知られるアイリーン・キャラ。監督は「カーウォッシュ」等のマイケル・シュワルツ。脚本には名優オシー・デイビスが参加している。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 * Writers Guild of America, USA1984 Won (TV) Adapted Drama Anthology : Ossie Davis, Ken Rotcop |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
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●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt0085558/http://en.wikipedia.org/wiki/For_Us_the_Living:_The_Medgar_Evers_Story Not available from Allcinema |
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