|
●● レビュー Never too lateケニアの小さな村にすむキマニ・ニャガガ・マルゲ(オリバー・リトンド)は、84歳になっていた。ある一通の手紙を握り締め、新政府によって小学校が「全て」の人に無料で提供されるというニュースをラジオで聞いていた。足が不自由なマルゲは杖を突きながら、学校に行ってみると学校登録で混乱していた。責任者であるジェーン(ナオミ・ハリス)に学校に入れて欲しいと頼むが、門前払いだった。それからマルゲは毎日学校に通い、制服やえんぴつの用意をして出向いた。マルゲは国家の混乱で反政府マウマウ団の一員で、学校に通った事がなく、字が読めないし書けなかったのだ。マルゲの情熱に折れたジェーンは入学を認めるが、様々な困難が待っていた。 何を始めるのも遅くはないと、口では簡単に言えるけれど、いざ重たい腰を上げるとなると中々難しい。それは老若男女問わずだと思う。この実在するマルゲは84歳で小学1年生になる事を決意。決意と言っても、そんな簡単な事じゃない。周りからは馬鹿にされ、辞めろと言われるし、学校側だって門前払いなのだから。しかしマルゲは諦めずに実行する。アフリカでは老人は尊重されている。しかしマルゲはそんな風には扱われていない。だがマルゲは自分の培った知恵と才能と知識で、全ての事に打ち勝っていくのが爽快だ。時には暴力的に杖も使うけど... 割りとコミカルな部分もあって、非常に見やすい。 マルゲは決して自分の姿を見せて、他に学んでもらおうなんては思っていない。純粋に学びたかったのだ。そしてマルゲは人よりも遅かったかもしれないが、学ぶ楽しさを他の人の何倍以上も体感したのだ。その姿にただ感動する。 (Reviewed >> 1/9/12:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 あ、そうだ書くの忘れていたけれど「A Screaming Man / 終わりなき叫び (2010)」を大きなスクリーンで見たくて劇場に行ったんですよ。たしか11月に。その時に同じ劇場でこの映画が後に公開される事を知ったんですが、どうしてもスケジュールが合わなくて断念。まあこの作品はもうその時にはアメリカでもDVD発売される事が分かっていたので、まあいいかと... でも見たいのは見たかった。だって、結構評判良かったので。2003年にケニアは政府が変わり、小学校を無償化にすると発表。村の小学校には多くの母親や父親が登録の為に駆けつけた。50席しか用意出来ないのに200人もの子供が登録しにやってくる。先生達はてんてこ舞い。その中にポツんと現れたのが、84歳のマルゲじいさんだった。学校の責任者であるジェーンに「小学校に入れてくれ。字が読みたい」と話す。しかしジェーンは席もないし、制服や鉛筆を用意してもらわないとならないし、第一トラブルになるのでダメだと断ってしまう。しかしマルゲじいさんは、諦めずに自分で学校の制服を作り、学校へ幾度も向かう。その情熱にジェーンも折れた。まずは小学1年生からという事で、晴れて84歳の小学1年生が誕生するのです。これはギネスにも載った記録。しかし、村の人々はじいさんを馬鹿にしたり、嫌がらせをしたりして反発する。そこまでされたのに、じいさんは学校を辞めない。さらには学校を管理している政府系の人々も反発して、じいさんを辞めさせようとする。じいさんはそこでもくじけない。なぜにここまでしてじいさんが学校に行って字を読みたかったかというと... じいさんは若い頃にマウマウ団に入っていた。マウマウ団とは、反政府軍の軍団。その頃のケニアはまだイギリスの植民地であり、独立を求めていた軍団だった。じいさんにはとても悲しい暗い過去があるのです。その過去が徐々に映画では明らかになっていく。最後のシーンは涙無しには見られないですね。 まあ、このマルゲじいさんを演じたオリバー・リトンドが素晴らしい。黒人映画祭系では、主演男優賞にノミネートされたりしてます。しかし何歳か分かりませんが、あの年にして初の主演映画。魅力的なじいさんを演じてます。強さと優しさのあるじいさん。子供達の為に杖だけで、何十人という大人に1人で立ち向かうんですよ。カッコいいんです。いつも演技が下手だと私が馬鹿にしていたナオミ・ハリスは、今回は良い。下手さが気にならなかった。物語も分かりやすくて良いです。子供達も可愛い。 残念ながらこの映画の題材となった本物のマルゲじいさんは、2009年に亡くなっている。卒業はしてなかったようだけど、6年生まで学校に通う事が出来たらしい。この映画では描かれていない、その後も大変だったみたいですね。暴動では強盗にあったり、その後にはキャンプで生活したり、それで毎日4キロも歩いて学校に通ったりしたみたいですね。でも2005年には国連にて教育の大切さをサミットで訴えた。 ちなみにマウマウと言えば、スパイク・リーの「Bamboozled / 日本未公開 (2000)」。映画の中で、モス・デフ(なんで名前変えちゃったんだろ?)とかチャーリー・バルティモアが居た過激なラップグループが「マウ・マウズ」。彼等は暴力でもって、自分達の要求を行使していくのです。でもこの映画見ると、スパイクの映画の彼等は何か違うかな...って改めて思わされましたね。 (0951本目) |
●● トリビア ケニアの小さな村に住む84歳の男性が、小学校入学を申請する。彼は若い頃はケニアの独立の為にマウマウで戦った戦士だった。読み書きを習いたいと小学校に入学を希望する所からこの映画は始まる。実際にあった話にインスパイアされて制作。 「マイアミバイス」等のナオミ・ハリスや「インビクタス/負けざる者たち」のトニー・キゴロギ、「Cry, the Beloved Country (1995) 」のヴィシ・クネネ等が出演。 全米では5月13日から限定公開。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 * Black Reel Awards 2012 Nominated Best Actor : Oliver Litondo 2012 Nominated Best Actress : Naomie Harris 2012 Nominated Best Original Score : Alex Heffes 2012 Nominated Outstanding Foreign Film * Emden International Film Festival 2011 Won The Bernhard Wicki Award 2011 Won The DGB Trade Union Award (Audience Choice) * Gotham Awards 2011 Nominated Special Award Audience Award : Justin Chadwick * Palm Beach International Film Festival 2011 Won Best Feature Best Feature Film : Justin Chadwick * Sedona International Film Festival 2011 Won Audience Award Best Feature Film : Justin Chadwick 2011 Won Director's Choice Award Best Feature Film : Justin Chadwick * Toronto International Film Festival 2010 2nd place People's Choice Award Best Narrative Feature : Justin Chadwick * World Soundtrack Awards 2011 Won World Soundtrack Award Discovery of the Year : Alex Heffes |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
●● 関連記事 |
|
●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt0790663/http://en.wikipedia.org/wiki/The_First_Grader http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=339639 |
|
|