|
●● レビュー I'm Coming Homeミシシッピーに住んでいるエマ・メエ(ジュリ・ヘイズ)は、最愛の母を亡くしロサンジェルスからからきていた叔母のデイジーと共にロサンジェルスのコンプトンで暮す事になった。同じ年頃の従姉妹の知人等に最初は田舎者だと馬鹿にされたが、腕っ節の強い所を見せて気に入られるようなった。その中のジェシー(アーネスト・ウィリアムス2世)がエマ・メエに近づいた。しかしとある警官との衝突でエマ・メエの人生が変わっていく... 監督のジャマー・ファナカは、きっとあと5年早くこの映画を撮っていたらもっと有名になっていた事と思う。80年代には牢獄映画「Penitentiary」シリーズで、B級映画界で有名になる。その前の作品になる。UCLAの映画プログラムで勉強している時に作った作品がこれだ。勉強中で若いというのもあるのか、映画で何かを伝えたいという気持ちが痛い程伝わってくる。彼の心の叫びにも似た熱い台詞が沢山あって、とっても良く伝わってくる。主役のエマ・メエの役は実際にファナカ監督のミズーリーに居た従姉妹がモデルとなっているらしい。沢山の人種が存在しているロサンジェルスだって、サウスセントラルというコミュニティの中に入ってしまえば、対白人というよりも、黒人の中にあるヒエラルキーが彼等の中心となる。ここでは田舎者と都会人という層が見える。馬鹿にされてはいけないというエマ・メエのピア・プレッシャー(Peer Pressure)を感じる。都会には必ずある見えない圧力だ。 海外で公開される時に「Black Sister's Revenge」というタイトルに変えられたそうだ。きっとブラックスプロイテーションの人気を受けての事だと思う。確かにあと5年早く作られていたら、ブラックスプロイテーションの新しい形を作ったと絶賛された事と思う。この映画はブラックスプロイテーションの一つとしての面白さもあると思うが、それ以上の物を伝えようとしている。いや絶対に伝わる筈だ。 (Reviewed >> 2/2/09:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 この作品も「Never Judge a Book by its Cover(見た目で判断するな)」の作品の一つ。メディア発売された時のタイトルも「Emma Mae」から「Black Sister's Revenge」といかにもブラックスプロイテーション映画のタイトルと変えられてしまっている。DVD発売では70年代風なジャケットになっていますが、ビデオ発売された時のジャケットなんて最悪。いかにも80年代風のアポロニアとかヴァニティに似ている女性が短銃持ってるバージョンと、やっぱり派手な女性2つの銃を抱えているバージョン。もう映画の内容なんか関係なしかい!このジャケット見たらさすがの私も見る気無くします。でも見た理由は、この映画を調べていたら意外と面白そうだと知ったのが理由。監督のジャマー・ファナカは80年代に入ると「Penitentiary」シリーズを製作します。シリーズにはミスターTなんかも出ていて、ちょっとしたカルト。80年代に青春時代を過ごした夫は思い入れがあるのか、なぜかDVDを揃えてます。80年代独特のいい感じのB級感のある映画です。そのジャマー・ファナカがUCLAの映画プログラムで勉強している間に作った作品がこれ。俳優陣に著名やベテランな俳優は使ってませんが、見事に演出しております。ジャマー・ファナカという珍しい名前はもちろん本名ではありません。アフリカに傾倒して、スワヒリ語でジャマーが「仲間意識」という意味で、ファナカが「進歩」だそうです。そういうのもあってか、冒頭はコンプトンの公園でコンガドラムを叩いているシーンから始まります。恋人達がキスをしていたり、バスケットをしていたり、男達が歌ってたり... コンプトンのまったり日曜日の雰囲気です。そんな日にミシシッピからやってくるのが、タイトルになっているエマ・メエ。身寄りを亡くし、ロサンジェルスの叔母の家にやってきました。髪型もファッションもダサく、世間知らずなところはありますが。喧嘩は強くてカリスマ性を秘めています。純情で優しい面もあって、叔母の子供達からも好かれるようになります。エマ・メエちゃん、恰幅はいいけれど可愛いんだ。この女優さんはどこ出身か分からないですが、ジャマー・ファナカとはUCLAで知り合ったようで、UCLAの演劇科に居たそう。訛というより話し方が「ザ・南部」。ラストが滅茶苦茶カッコいい。 面白かったのが、そのエマ・メエがタコスを知らなかった事。トルティーアの事を「私には乾いたコーンブレッドね」と言います。間違ってはいないような... でも考えてみたら、日本に住んでいた私なんてもっと大人になってからタコスの事知ったもんね。食べたのもずっと後。あの当時の南部の人だったら知らなかったかも??と思った。 あと都会的な部分を出す為か、ソウルトレインから抜け出してきたような奇抜なファッションも面白かった。 都会には田舎から出てきた人が多い。私の周りにも多かったし、私自身親がそうだ。都会に馴染んでいくのは大変だったと思う。都会での見えないプレッシャーとかを、ブラックスプロイテーションのマニュアルに埋め込んで、飽きない作りとなっています。でもパム・グリアの一連の復讐劇みたいのを期待しちゃうと、この映画はちょっと違うと思う。そして面白いのが、銃とか出てきますが実際には使ってなかったような... 素手の対決が主でしたね。派手なアクションじゃないけれど、逆に面白かった。台詞とかも面白かった。ハッキリ「田舎者が!」とか「田舎から出てきた女の子が街で成功して若者達を仕切っていると、怖がる人達(白人)が多いんだよ」とか、「都会の人達は都会の優越な部分をちゃんと使えないで、逆に都会に使われてるのよ!」とか興味深い。ブラックスプロイテーションと大きく違う所があるとしたら、愛かな。この映画には愛がある。変えられてしまったタイトルの「リベンジ」というだけじゃないのよ。愛があるから、お尻叩く(実際にはお尻じゃないけど)のよ。また愛がそうさせたのよね。 (0110本目) |
●● トリビア 「暗闇のファイター」等の「Penitentiary」シリーズ等で知られているジャマー・ファナカ製作のブラックスプロイテーション映画。 田舎から出てきた女性が都会の悪へと導かれて... メディア発売では「Black Sister's Revenge」というタイトルになっている。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
●● 関連記事 |
|
●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt0074477/Not available from Wikipedia Not available from Allcinema |
|
|