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●● レビュー "The blacker the berry, the sweeter the juice"俳優・監督として知られるビル・デュークが追う、女性の皮膚の色の違いによる固定観念や差別について。 私も小さい頃に良く言われた。「色黒だね」と。父親譲りである。でも小さいながらに、それはけしてほめ言葉でない事も知った。それと同じ位に髪の毛も「真っ黒だね」とも言われた。それはちょっと褒めてくれているのをなんとなく感じた。だから小さいながらに「色黒だね」と言われる事に恐怖感があったし、劣等感でもあった。という私の小さい頃を呼び起こしてくれる作品であった。でも私は年を取るにつれ、普通である事を嫌うようになり、その色黒を自分の個性として受け入れ、今では長所と思える程になった。しかし黒人女性の場合は、私の経験よりも辛い。黒人同士は率直過ぎる所があるから、色の黒い女性に対して「醜い」とか平気で言われてしまう。そして彼女たちは、性格がキツイという固定観念にも悩まされていた。とある女性は、「なぜかよりセクシャルな人間だと思われて、そればかり口説かれる」とも言っていた。この作品にはそんな彼女たちの率直な意見が沢山詰まっていて、身につまされる。 この映画で証言している女性たちも、時を経て、私のようにみな個性を受け入れいる。そんな彼女たちの肌も笑顔もみなキラキラと光っていて美しい。 (Reviewed >> 5/7/14:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 アメリカのブラックムービーファンの間で評判のいいドキュメンタリー。監督はあのビル・デューク。俳優としての映画デビュー作は「Car Wash / カー・ウォッシュ (1976)」!ブラックモスリムと言われるネイション・オブ・イスラムを思わせる過激なミリタント系の黒人団体にハマっている若い青年。これまた私が大ーーー好きなIvan Dixon (アイヴァン・ディクソン)演じるベテランに色々と面倒見てもらっているという役。監督としては80年代からTVシリーズをちょこちょこ監督し始めて、なんと言っても「A Rage in Harlem / レイジ・イン・ハーレム (1991)」が名作!!ハーレムの暗黒時代を舞台にしていて、主演のフォレスト・ウィッテカーの好演もあって、渋いギャング映画なんだけど茶目っ気もあって面白い映画だった。まあ一般的にはというか、日本的には「Sister Act 2: Back in the Habit / 天使にラブ・ソングを2 (1993)」で有名かなー。日本好きだもんね「天使にラブソングを」シリーズ。続編の方でローリン・ヒルが出ていた方を監督。そのビル・デュークが監督した今回のドキュメンタリーは前々から書いているように黒人の間にも存在する色による差別や固定観念について追っている。黒人の間でも色の薄い方が綺麗で頭が切れると思われている。というか信じ込まれている。色が黒いだけで性格も悪くてブスだと言われちゃう。今回は女優のヴァイオラ・デイビスがそれについても語っていた。彼女は色が濃いので、小さい頃から随分と仲間の黒人コミュニティから「醜い黒いニ○ー!」と言われたそうだ。彼等の中で存在するのが「ペイパーバッグ・テスト」。所謂どこにでもある茶色の紙袋(アメリカではランチの持ち運びによく使われるあれ)よりも濃いとダメ、薄いと良いとされるテスト。そういった中で、濃くて黒くてダメだと言われた黒人女性たちが彼女たちの状況や心情を語ってくれている。「もっと薄く生まれたかった。父親譲りの黒さなので父を憎んだ」とか「逆にこの黒さは白人の人たちから喜ばれた」など... しかもこのドキュメンタリーは白人女性の約20%に対して、約42%の黒人女性は未婚で終わるという事が語られる。それはやはり黒人女性の中に色による恐怖を生む。ミシシッピーの女性は「結婚なんて出来ないと思っていたわ」と諦めた事も(彼女は結婚している)。そして別の女性は「色が濃いというだけで、なぜか男性からのアプローチは性的なものばかり」とまで!しかもこの状況はアメリカだけに留まらない。アフリカでは色を薄くする美白クリームがブームで一大産業となっている。キューバでも「なるべく色の薄い人と結婚して、色の薄い子孫を残していこう」と言われている。このドキュメンタリーでは韓国の女性も出て語っていた。 でも最近はルピタ・ニョンゴが好かれていますよねー。ナチュラル・ビューティ。ピープル誌の「もっとも美しい50人」にも選ばれたばかり。ファショニスタとして注目を集めているけど、彼女が活躍できるのは先駆者のお陰かな?とも思います。とくにモデルのアレック・ウェック!スーダン出身の彼女の影響は大きいと思う。元々、イマン(デビット・ボーイの奥さん!)とかワリス・ディリーとかアフリカ出身で色の濃い美人モデルはいたけれど、ルックスや髪型は西洋でモテそうな感じだった。でもアレック・ウェックは違う。西洋とはかけ離れたルックス。90年代中頃から唯一無二なスーパーモデルとして活躍。ナチュラルで髪型なども西洋ぽくしていない所は、ルピタに影響している筈。実際にアレックの事をルピタは「私のアイドル!」って言ってますね。まあ、アレックの前にはグレース・ジョーンズなんていうドル様の元彼女のスーパー女が居ましたが... つーか、ドル様(もちろんドルフ・ラングレンの事!)の女の趣味は多くの女性に希望を与えた筈!! という私も小さい頃に「地黒」とか「色黒」とかよく言われた。幼いながらにそれは褒め言葉じゃない事を理解していたので、地黒と言われる事が本当に嫌いだった。夏になると最悪だった。すぐに焼けてしまう。でも今はもちろん言われてもなんとも思わないし、私の個性の一つとして気に入っている。お陰で日焼けしても赤くなって痛くなった事ないし!普通が嫌いなので、私にはピッタリ。っていうのを改めて思い出せてくれました。なのでビル・デュークのツイッターに「日本でもありますよー、私も同じ経験しました!」と書いてみたら、ビル・デューク本人だけなく他の黒人の人たちから優しい言葉を頂いてしまいました。という事で、この問題は全世界共通だと思う。このドキュメンタリーでも皆さんちゃんと克服している!このドキュメンタリーでも語っていたけれど、黒人の人たちにはこんな言葉がある。「濃い色のベリーこそ、より甘い汁」。甘いよ、私。 (1232本目) |
●● トリビア 黒人女性の色の違いによる生活の違いを描いたドキュメンタリー。俳優としても知られるビル・デュークが監督。2011年のトロント映画祭で公開された後に2012年に公開される予定。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 * Black Reel Awards 2014 Nominated Outstanding Television Documentary * Image Awards 2014 2014 Nominated Outstanding Documentary - Television |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
●● 関連記事 |
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●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt1966396/Not available from Wikipedia Not available from Allcinema |
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