|
●● レビュー "We don't want this to sound like Spanish in position..."(Reviewed >> 9/25/17:VHSにて鑑賞) |
●● 100本映画 同じ事柄が描かれながも全く違う『The Ernest Green Story』と『アーカンソー物語』1954年に判決が出た「ブラウンvs教育委員会裁判」により、アメリカでの学校での人種による分離が違法となった。しかし実際には全く融合せずに分離のままが続いた。アーカンソー州の州都リトル・ロックも依然に分離のままの状態が続いていた。NAACPリトル・ロック支部のデイジー・ベイツを中心に対策が練られていた。アメリカで新学期が始まる1957年の9月、ベイツは黒人高校ホーラス・マン高に通う優等生9人を集め、アーカンソーで一番大きく、そして白人高校セントラル高校へ転校させる事にした。「リトル・ロック・ナイン」として知られる公民権運動だ。なぜ彼らはセントラル高校へ行きたかったのか?それはセントラル高は設備も良く、そして卒業後の進学や就職が非常に有利だった事が大きい。そして彼らはみんなセントラルの方が近かったのに、遠くのホーラス・マン高校に行かされていたのだ。 今年2017年は、その活動から丁度60年目になる。リトル・ロックのセントラル高校周辺では色々なイベントもあったようなので、私は、それを題材した映画『The Ernest Green Story / 日本未公開 (1993)』と『Crisis at Central High / アーカンソー物語 (1981) (TV)』を観たので、2作まとめて。 まずは『The Ernest Green Story / 日本未公開 (1993)』から。 こちらは、リトル・ロック・ナインの一人アーネスト・グリーンを描いた作品で、ディズニーが制作。『Black Belt Jones / 黒帯ドラゴン (1974)』や『地球最後の男 オメガマン』などに出演していた俳優で後に監督に転身するエリック・ラニューヴィルが監督。学校資料にもなっている映画である。私はその学校資料になるDVDを昔リトルロックのセントラル高校に実際に観光した時にそこの土産屋で購入した。 まず、なぜ9人居た学生の中でアーネスト・グリーンがこの映画の題材に選ばれたのか?という事だと思う。アーネストは最年長で唯一の4年生(日本の高校では3年に値する最上級生)だったからだ。それ故に、彼はセントラル高校を初めて卒業した黒人学生でもある。そんなアーネストを中心に、セントラル高校へ通うまでの闘い、そして通ってからの闘いもあった壮絶な1年間をアーネストを通じて描かれている。もちろん他の8人の苦悩や苦境も描かれている。この映画の優れた所は、黒人の間にも恐怖心から反対したものが居たという事を描いている点だ。そんな女性を演じていたのが名女優ルビー・ディ。そんな彼女を諭すのが実生活の夫オシー・デイヴィス。業界きってのおしどり夫婦だった2人が意見も気も合わない隣人を演じているのが面白かった。誇らしい孫アーネストの写真を撮りたがる可愛いおじいちゃんをオシー・デイヴィスが好演。もちろんいつも通りに名台詞も飛び出している。 そして『Crisis at Central High / アーカンソー物語 (1981) (TV)』。 こちらはセントラル高校の日本で言う所の教頭に値する女子学生の教頭だったエリザベス・ハッカビーが書いた回想録を元にTV映画化され、ハッカビーを演じたジョアン・ウッドワードがエミー賞とゴールデン・グローブ賞にノミネートされた作品。監督は『リップスティック』等のラモント・ジョンソン。 セントラル高校で迎える教師たちも大変でしたのよ!的な作品。真っ二つになっている学校内外をどうにかまとめようとしていた努力が垣間見れる作品。 と、2作品ともに同じ事柄が描かれているしラストはアーネストの卒業式になるが、視点は全く違うし、制作された年が10年違うのでその差も著しく表れている。『アーカンソー物語』の方は、とにかくリズム感が悪い。どうでもいい事を長い時間描いているので間延びするシーンが多かった。名台詞も見当たらない。観ているのが苦痛になるほど見どころもない。そして、観る者に感動や希望を与えるようなシーンも無い。淡々に回想録を伝えているだけで心に残る物がなかった。けれど『The Ernest Green Story』の方は希望があった。アーネストの卒アルシーンは暖かく希望があった。1年間大変だったけれど、セントラル高校に通えた事は大学入学という事だけじゃなくて、白人とか黒人とかいう人種を超えた人間を知り触れ合えた事も出来たんだなって心から思えるシーンだった。そんな事もあって、この映画を観ると「正義は...時間掛かるかもしれないけれど...絶対に勝つ!」と確信出来た。トランプ政権とかNFLの国歌時の抗議運動とか相変わらずの警察によるマイノリティへの暴力とか色々あって心が折れそうになっていたので、この映画でそれを改めて知れた事は有意義だった。オシー・デイヴィス演じるおじいちゃんが言っていたように「変わる時!」であるし、「君たち若い子がここリトルロックで歴史を築いているんだ。歴史を築くのは容易な事じゃない!」んだ。 ちなみに今年は60周年ですが、50周年の2007年の時には『Little Rock Central: 50 Years Later / 日本未公開 (2007)』というドキュメンタリーが作られております。リトル・ロック・ナインで唯一退学してしまったミニージーン・ブラウンがセントラル高校を50年後に訪れていて、リトル・ロックの今が見える。 写真のまとめ。 (1588本目) |
●● トリビア 公民権運動時代にアーカンソーのリトルロックでは9人の黒人生徒が白人だけの高校に入る事を許された。しかし白人生徒からの激しい衝突にあい、州兵が出動する騒ぎとなった。その出来事を白人のエリザベス・ハッカビーの回想録を元に制作されたテレビ映画。主役のエリザベス・ハッカビーを演じたジョアン・ウッドワードがエミー賞とゴールデン・グローブの両方にノミネート。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 * Emmy Awards1981 Nominated Outstanding Lead Actress in a Limited Series or a Special : Joanne Woodward * Golden Globes, USA 1982 Nominated Best Performance by an Actress in a Mini-Series or Motion Picture Made for TV : Joanne Woodward |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
●● 関連記事 |
|
●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt0082215/http://en.wikipedia.org/wiki/Crisis_at_Central_High http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=3 |
|
|