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●● レビュー "Nothing, absolutely nothing!"リュシストラタ(テヨナ・パリス)は、シカゴで一番の美人。歩くだけで人々の視線を浴びる。彼女が付き合っているのは、人気ラッパーでギャング「スパルタン」のリーダーであるシャイ=ラク(ニック・キャノン)。スパルタンは、サイクロップ(ウェズリー・スナイプス)率いる「トロジャン」といつも揉めて、銃撃戦になる事が多かった。そんな中、町でパティという小さな女の子が何者かの銃弾により殺された。しかし復讐を恐れた住民は誰も目撃者として名乗り出なかった。リュシストラタは、近所のヘレン(アンジェラ・バセット)と会話し開眼。教えてもらったセックス・ストライキにより、シカゴを変えようと、スパルタンの女性たちに話を持ち込み... スパイク・リー最新作。久々にサミュエル・L・ジャクソン、アンジェラ・デイビス、そしてウェズリー・スナイプスと組んだ。今回はアメリカ中で問題になっている関係ない人々が銃により殺された事件に挑む作品だ。映画を使って「挑む」...それこそがスパイク・リーである。最近ではそれがご無沙汰気味であった気がする。ギリシャの喜劇戯曲「女の平和」に盛り込んだ意欲的な作品だ。町に無造作に張られている女性を性的に扱ったポスターの数々、そしてマイク・ブラウンにエリック・ガーナーなどの銃により殺された人々の名前を積極的使った台詞...などなどが、全てスパイク・リーの武器となっているのだ。そして『スクール・デイズ』がそうであったように、曲と踊りで少しだけミュージカル仕立てにもなっているのが、本当にスパイクらしいと思った。 ただその昔は独特で面白かったそのスパイクらしさが、本物の悲劇とこの喜劇作品にギャップを生んでしまった。ラストは割りとストレートにメッセージを訴えてくるのに、それまでがくどくて分かり難さを生んでしまっているのが残念だった。色々な所でリアリティさが欠けていたので、この映画が解決の糸口となる希望とはならないのだ。 久々に映画で挑んだスパイク・リーらしい映画。問題提起をこれでもかって位に示してくれる。ただこれでは人々の気持ちは変えられないかな。 (Reviewed >> 1/9/16:VODにて鑑賞) |
●● 100本映画 スパイク・リー監督最新作。最近のスパイク作品とは違って、割りと評判が良い。アマゾン・スタジオが制作したが、オスカーを狙える為にと小規模ながらアメリカ大都市の劇場でも公開。って事で、うちは大都市じゃないのでやってきませんでしたよー!ごりゃ!でも、アマゾン優しいのね、自社の儲けよりも、オスカーなんて。って、オスカーにカスリともしませんでしたが... 公開前から、シカゴとイラクを掛けたそのタイトル『Chi-Raq(シャイ=ラク)』を巡って論争となった作品を!シカゴの街で過激な歌詞のラッパーとして人気となっていたシャイ=ラク(ニック・キャノン)。彼は「スパルタン」のリーダーでもあった。対立する「トロジャン」のリーダーがサイクロップ(ウェズリー・スナイプス)で、シャイ=ラクがライブ中にトロジャンのメンバーの1人が発砲した。無傷のシャイ=ラクは戻ってくると、彼女のリュシストラタ(テヨナ・パリス)といちゃつく。しかしまたトロジャンがシャイ=ラクの住処を襲い火を放った。裸同然で逃げ出すシャイ=ラクとリュシストラタ。その姿を見た向かいに住むヘレン(アンジェラ・バセット)は、呆れて首を振った。しかし次の日に小さな女の子がその闘争の故殺された事を知るリュシストラタ。その女の子の母親(ジェニファー・ハドソン)の涙やヘレンに話を聞いて開眼。リュシストラタは、トロジャンのメンバーの彼女に話をつけに行き、スパルタンとトロジャンの彼女たちは団結し、彼らが闘争を止めるまでセックスストライキを行うと、街の陸軍州兵基地を占拠してしまうが... いちようギリシャの喜劇戯曲「女の平和」のリメイク。音楽や踊りを取り入れていて、初期の『School Daze / スクール・デイズ (1988)』を思い出させる作品。しかもサミュエル・L・ジャクソンとウェズリー・スナイプスとアンジェラ・バセットが共演ですよぉおおおおおおお!!!と、テンション高めになるよね。でもね、その3人が絡んでいるシーンは無いのであります。残念ー。あ、スナイプスとバセットはちょっとだけ一緒のシーンありますけど。サミュエル・L・ジャクソンはこの映画で進行役?なんていうか『Do the Right Thing / ドゥ・ザ・ライト・シング (1989)』のDJ役を彷彿させる役。説明・補足係とでも言いますか... 街の事を良く知る説明係ですね。そして街を覆うポスターや落書きに、実際の事件を取り入れた台詞の数々... 最近の戦場(特にイラク。だからシカゴとイラクを掛けた題名)よりも死者を生んでいると言われるシカゴの街をどうにかしたい気持ちは伝わる。 まあそんな事もあって、本当に「あー、スパイク・リーが完全復活やぁあああ!」と食べ物を前にした彦摩呂みたいなテンションになるのですが... なんていうか、それが逆に浮世離れしちゃった感じなんですよね。まずニック・キャノンがゴリゴリなギャングスタラッパーには、どう頑張っても見えない。前にも書いたけど、ニック・キャノンはイケメンだけどコーンボール(ダサい奴)。いや、滅茶苦茶頑張っていたよ、でもねやっぱり見えないwww。頑張ってもダメな事の一例ですね。本当はいい大学行ったのに、ギャングスタに見えてしまうアイス・キューブとの差ね。そしてラストがやたらと感傷的。スパイクがあんな風に終わらすとは意外だった。あそこだけスパイクぽくない。感傷的だから余計にアメリカで実際に起きている事とは思えなかった。なんかシカゴという街、そしてシカゴの現状が見えてこなかった。シカゴへの愛を感じない。でもスパイクがシカゴをどうにかしたいというのは伝わったよ。 そしてなんでウェズリー・スナイプス兄貴にあんな変な癖のある役をやらせたんだろう??っていうね。まあスナイプス兄貴が刑務所暮らしで寂しい時に何度か会いに行ったスパイクの言う事はもちろん聞くよねっていうね。普通にカッコいいスナイプス兄貴が見たかった。なんであれがリーダーなんだ!!っていう不思議さ満開でした。 あ、主人公のリュシストラタは、「女の平和」ではリューシストラテーらしいですが、ここでは敢えて現代風にリュシストラタにしてみました。 (1434本目) |
●● トリビア スパイク・リー最新作。サミュエル・L・ジャクソンにウェズリー・スナイプスにアンジェラ・バセットというスパイク・リー作品で羽ばたいたベテラン俳優がスパイクの元に再集結!そしてニック・キャノンやテヨナ・パリスなどの若手と共演。 タイトルの『Chi-Raq』とは、シカゴ(Chicago)とイラク(Iraq)を組み合わせたスパイクの造語。この造語を巡って論争にもなった。 大手オンラインショップのアマゾン・スタジオが制作。アメリカでの公開は小規模ながら、大都市をカバーする劇場公開が決まっている。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
●● 関連記事 |
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●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt4594834/https://en.wikipedia.org/wiki/Chiraq_(film) https://www.allcinema.net/cinema/363572 |
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