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Cast >>Rentaro Mikuni (Kazumasa Takano), Hugh Hurd (Black Soldier), Jun Hamamura (Farmer works for Kazumasa), Toshiro Ishido (Jiro, Yoichi's son), Yoshi Kato (Yoichi Kokubo) ...
Director >>Nagisa Oshima
Writer >>Toshiro Ishido , Toshio Matsumoto, Tsutomu Tamura, Teruaki Tomatsu, Kenzaburo Oe (novel)
Producer >>Masayuki Nakajima, Saburo Tajima
Genre >>Drama
Country >>Japan

 総合ポイント 4.75点/5点満点中
内容 >>4 演技 >>5 演出 >>5 音楽 >>5

 レビュー
Opportunism
昭和20年の第二次世界大戦末期、日本の山村にアメリカ軍の飛行機が墜落した。村人は唯一生き残った黒人兵士(ヒュー・ハード)を村に連れてきた。村人達は村の本家である地主の一正(三國連太郎)を中心に、表彰されるかもしれないので、役所が正式に扱いをどうするのか決めるまで、黒人兵士を「飼う」事にした。しかし自分達も食べる物が限られている中、「飼う」事が困難だった。敵兵である黒人兵士の存在のせいで、村人達が不幸になっていく...

大江健三郎の「飼育」を大島渚監督が映画化。大江の「飼育」を大島監督なりに解釈。大江の敵兵と少年達の結び付きは、少年が大人になるきっかけとなっていた。ここではよりドラマチックに少年が大人になるきっかけを与えている。この作品では黒人兵はほんのきっかけに過ぎなかった。ほとんど台詞もなく、黒人兵について語られる事はない。それよりも戦争末期で混乱していた山村が描かれている。彼らが外の世界を知るのは、疎開してきた子供達か、役所の男である。その両者に翻弄されていくが、村人達はそれを黒人兵のせいにしていく。そして戦争は村人達を野蛮にそしてご都合主義にさせていくのだった。

戦争の最中、いや終戦近くなっていて、人々の心は乱れていた。絶対的な物が壊れたのだから。その中で、人々は自分だけ良ければいいという風になっていく怖さ。人の命が粗末に扱われていく怖さ。それらを見事に描き出している。
(Reviewed >> 10/23/11:劇場にて鑑賞)

 100本映画
という事で前回に続き同じ「飼育」です。原作については前回の記事をご覧ください。今回のはあの大島渚監督の作品。ってだけで見たかったのもありますが、なんと言ってもヒュー・ハードですよ!凄い気になる俳優なのです。所謂、超有名な俳優ではないけれど、なんとなく気になる作品に出ている俳優。そんな気になる俳優の60年代代表がヒュー・ハードなら、80年代はトミー・ヒックスですね。トミー・ヒックスはスパイク・リーの「She's Gotta Have It / シーズ・ガッタ・ハヴ・イット (1986)」とか「Daughters of the Dust / 自由への旅立ち (1991)」に出ている日本生まれの日本人とのミックスの俳優です。メジャーじゃないけど、インディペンデンス映画でブラックムービーの歴史に残っている作品で主演を演じている俳優です。その前に同じような感じで活躍していたのがヒュー・ハード。彼はジョン・カサヴェテスのデビュー作「Shadows / アメリカの影 (1959)」では長男を演じている。そして日本のこの作品に出演。興味深いキャリアであります。どうしてこの映画のキャスティングに選ばれたのか気になります。まあそれもあって、わざわざ遠出してまで見た訳です。気になる事なら遠出してまで、頑張るよ、私は。映画のお金より電車賃の方が高いっていうの!でもさ、東京国際映画祭という事で英語字幕がついているんです。ヒュー・ハードはHugh Hurdなのに、Hugh Hartになってたのが気になった。

まあ一番楽しみにしていたのが、大江健三郎の原作での独特な表現である「セクス」を、「愛のコリーダ」の大島渚監督ならそのままずばり描いてくれているんじゃないか?と期待した訳です。原作でもあの場面は印象的で、アンバランスな子供達の独特の危険な遊びを通じて、子供達と黒人兵が心を通じる場面。でも、この映画自体は、黒人兵士と少年達の繋がりをほとんど描いてないんですよねー。なので「セクス」もないし、ヒュー・ハードもそんなに出番なかったし、台詞もあんまりなかった。でも随所で表情で黒人兵の悲しみと殺気を表現し、見せてくれています。

大島渚監督は、この映画を通じて、戦争の野蛮さを描いている。戦争によって人々の心はご都合主義となってしまい、自分の事しか考えなくなった。戦争末期だったから余計に自分が生きることだけに必死。心の通じ合いは全くなく、そんな事はどこかに忘れてしまった感じ。村人同士も実にギスギスしている。戦争は人々の心まで貧しくしてしまったのです。その中で成長していかなくてはならない少年達。前回のリティ・パニュ監督とは全く違う描き方で、同じように子供が犠牲になっている事が描かれているんです。自分がやはり大島渚と同じ日本人だからか?遠回りして描かれたこちらの方がしっくりくる。

最後が残酷なんですわ。原作よりも残酷。村人の人たちは変わらない怖さ。白黒映像は絵力もあるので怖い位。

遠出してヒュー・ハードの凄さ見れたので、満足です。

 トリビア
大江健三郎の短編小説「飼育」を大島渚監督が映画化。1961年のキネマ旬報日本映画年間ベストテンの第9位にも選ばれている。

 その他

 受賞歴
* Mainichi Film Concours
1962 Won Best Supporting Actor : Rentaro Mikuni

 サウンドトラック


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 リンク
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 インフォサイト
http://www.imdb.com/title/tt0055441/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%BC%E8%82%B2_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=140235

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Last Modified: 2011-10-23
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