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●● レビュー Great experimental film became significant milestone黒人女性アダー(エスランダ・ロブスン)はピーター(ポール・ロブスン)という夫がいながらも、白人男性ソーン(ガビン・アーサー)と浮気をした。そしてソーンにはアストリド(ヒルダ・ドゥリトル)という妻が居た。その後、アダーはピーターと上手い事修復したが、ソーンはアダーを思い、アストリドは嫉妬で喧嘩が絶えなかった。アダーとピーターはその小さな町の唯一の黒人だったが、アストリドや町の老女は彼等に町から出て欲しいと考えていた。そんな中、ソーンとアストリドはまた喧嘩になり、ナイフを振り回すアストリド... ナイフを取り合いする間にアストリドは床に倒れる... 詩人として知られるH.D.事ヒルダ・ドゥリトルが出演し、ポール・ロブスンとその妻エスランダが共演している前衛的なサイレント映画。ロブスン夫妻がアメリカを追われイギリスに住んでいる頃にスイスで撮影された作品だ。制作はH.D.が入っていた「プール・グループ」によるもの。彼等は「クローズアップ」という映画評論誌を作っていたグループである。1930年のサイレント映画とは思えないほどに美しく、メッセージも映像も前衛的である。60年代のジョン・カサヴェテスを思わせる作画で、どの映画よりもポール・ロブスンが男前に見えるのだ。しかも異人種の性的関係に同性愛を思わせるシーン(男性のピアノマンがロブスンの写真を大事にしている)など、そのテーマにも果敢に取り組んでいる。1930年の事である。 これはポール・ロブスンがずっとやりたかった事が形に残っている挑戦的な作品である。そしてそれは偉大な歴史となったのだ。 (Reviewed >> 7/6/14:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 これね、知る人ぞ知る凄い作品&中々観られない作品だったらしい!こんな凄いのを出しているのは、やっぱりクライテリオンな訳でして。さすがです!こちらも引き続きポール・ロブスンの作品。ロブスンについては先日のエントリーをご覧ください。そしてこちらもイギリスに住んでいた時代の作品で、なんとサイレント映画。しかもロブスンの奥様エスランダが出演していて、ロブスンの奥様役。これね、何が凄いかって...黒人女性アダー(エスランダ・ロブスン)と白人男性ソーン(ガビン・アーサー)が揉めていた。女性は出て行き、男は残った。ソーンは自暴自棄になっていた。アダーは戻った。アダーには夫ピーター(ポール・ロブスン)が居たからだ。2人は何も無かったように、2人の溝を埋めて行った。しかし不倫を本気にしてしまったソーンの方はそうはいかなかった。妻(ヒルダ・ドゥリトル)から責められ続けた。妻も自暴自棄になり悲しみに打ちひしがれていた。またソーンと妻はケンカになり、ナイフを掴み、そして... アダーはこの小さな町を出て行ってしまった。町の騒動の責任はピーターにあるとして、ピーターの前には町の偉い者から「町から出て行ってくれ」という手紙があったのだった。 って凄くない?確認するけど、1930年だよ。調べたらアメリカでは『西部戦線異状なし』とか『地獄の天使』なんていう戦争映画が多くて、日本では『何が彼女をさうさせたか』という作品がキネマ旬報ベストテンのベスト1位。この作品は不倫だよ!しかも異人種間での!!しかも白人男性の方が本気で、黒人女性の方はあくまで火遊び程度。凄くない?アメリカでの公民権運動は1960年代だから、これからあと30年後の事。それなのに凄くない??っていう事なんですよ!で、なんでこんな前衛的で革新的な映画になったかというと、もちろんポール・ロブスンの政治的な部分もあったんだろうけど、白人男性の妻を演じたヒルダ・ドゥリトルにあるのかもしれない。彼女はアメリカ出身だが、ロブスンと同じくイギリスに渡り、そこで詩人として活躍した女性。H.D.としても知られている。この人がとても前衛的な人で、恋人(女性作家でこの映画にも出演)と彼氏(ちなみにこの映画の監督)と3人で住んでいたり、フロイドに興味を持って会いにいったりと、まあ凄い女性。そしてH.D.の恋人と彼氏の3人が作っていたのが、映画雑誌「Close Up」。その流れで、3人は映画制作グループ「プール」を設立、この映画を撮る事になった。撮影はスイスのレマン湖周辺。またその風景がいい!ロブスン夫妻が街中を歩くシーンが多いので、その当時の風景が見れる。しかも、この映像がとっても綺麗。なんていうか、60年代のジョン・カサヴェテスを思わせる映像なんだよね。クライテリオンの職人的な編集を感じるよ。なにせこのマスターテープは無くなっていたそうで、スイスで1983年に見つかったんだから。音楽はジャズが足されている。オリジナルはどうだったんだろうね?という事で、音楽部門の点数は付けなかった。 これはポール・ロブスンが戦ってきた事が作品として残っているからこそ「凄い」んだよね。だからか、この映画でのロブスンはいつにも増して男前に映っている。白人だろうが黒人だろうが関係ない。人間対人間というのがこの映画のテーマ。彼にとっては共産党とか民主主義とか、本当は関係なかったんだと思う。自分が人間として歓迎されたのが、たまたま共産国だった。ラストもいい。去る事にはなったけれど、ピーターとソーンは握手を交わす。そして人々は「人間」がいなくなった事を悲しむ。 しかもね、この作品には同性愛を感じさせる場面まである。バーのピアノマンがロブスンの写真を大事にしているの。ちなみにこの映画でのロブスンはどこかで工場だかそういう感じの所で働いているであろう、普通のオジサンだよ。他の男性から憧れる要素はまあ無い。しかもその時のあのピアノマンの表情から察するに、そういう事。しかも「プール」の3人がそういう人たちだからね。アリでしょう。 しかし凄いな。この言葉しか出ないよ。 (1255本目) |
●● トリビア アフロアメリカンの俳優として、初のスーパースターと言われている、ポール・ロブソンのイギリス映画。また、彼の奥様が共演している。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
●● 関連記事 |
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●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt0020701/http://en.wikipedia.org/wiki/Borderline_%281930_film%29 Not available from Allcinema |
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