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●● レビュー "racial pornography"(Reviewed >> 2/14/17:TVにて鑑賞) |
●● 100本映画 映画の持つパワー『Birth of a Movement』黒人歴史月間になると、アメリカの公共放送PBSは、黒人関連の映画やスペシャル番組に力を入れる。その1作がこの作品。60年代から権利の為に戦う俳優ダニー・グローバーがナレーション。この作品の監督は2人共白人だが、スパイク・リー軍のサム・ポラードとハーバード大学で教鞭を取る黒人歴史の権威ヘンリー・ルイス・ゲイツがプロデュースしている。 映画制作や映画撮影に於けるテクニックなどで、映画史に燦々と輝く『The Birth of a Nation / 國民の創生 (1915)』。ハリウッド初のブロックバスター映画としても有名だ。監督のD.W.グリフィスは、名監督として映画史に名前を残している。しかし、この映画の原作は「The Clansman(ザ・クランズマン)」。白人至上主義秘密結社クー・クラックス・クランのメンバー「クランズマン」を描いた作品なのだ。公開時は、原作と同じ『ザ・クランズマン』として公開されたが、ホワイトハウスにて初めてとなる映画上映の時に『The Birth of a Nation / 國民の創生』とタイトルを変更した。 そんな映画に待ったをかけた男が居た。ボストン在住でハーバード大学卒業のウィリアム・モンロー・トロッターだった。父は有名な軍人で、恵まれた環境で勉学に勤しんだ。ハーバード大の同窓があのW.E.B.デュボイスであり、トロッターとデュボイスは同じ女性に恋をした仲である(その女性はトロッターと後に結婚)。トロッターはデュボイスと共に「ナイアガラ・ムーブメント」を設立。それは後のNAACPとなった。ボストンにて黒人向け新聞「The Gurdian」を発行していた。 このドキュメンタリーは、そのトロッターの『國民の創生』の上映中止を求めた闘いが描かれている。 南北戦争で負けた南部連合軍に属していた男たちがテネシー州で1885年頃に立ち上げたのが、クー・クラックス・クラン(以降KKK)。黒人と白人の共和党支持者を叩きのめして白人至上主義を謳った(ここで注意されたいのが、この当時の共和党は今の共和党とは全く違うという事。奴隷解放のリンカーン大統領も共和党)。しかし10年も経たないうちに衰退。1870年頃に連邦裁判でテロリストだと判決が出た事も大きい。 しかし、彼らは突如として復活する。それは1915年、『國民の創生』が上映された時だ。野蛮でどうしようもない黒人ガス(白人俳優による黒塗り演技)は、我々の無垢なフローラを襲おうとして、フローラは自らの命を絶った...そんな鬼畜なガスを懲らしめてくれたのが白い布を被ったヒーローであるクランズマン!というのが『國民の創生』なのである。1915年2月、『國民の創生』のプレミアが行われたロサンジェルスには3000人の人々が集まったという。集まった人々は、グリフィスの斬新で素晴らしい映画テクニックに酔いしれた。そして、多くの人が白い布を手にしたのだ。 トロッターは自身の新聞「The Gurdian」にて激しく映画を批判した。実はそれよりも先に「ザ・クランズマン」が舞台化された時に、ボストンでの上演の中止を求めていた。トロッターの運動は成功を収め、ボストンでの舞台上演中止となった。1915年にボストンで行われた映画のプレミアも多くのプロテスト達が駆け付け、大混乱となった。劇場が黒人へのチケットを売らなかった事もあり、プレミアやそれ以降の上映を禁止されるまでには至らなかった。しかし、その後のリバイバル上映を禁止にさせる事には成功させた。 未だに日本では『國民の創生』について「白人の視点から描かれた」と書かれているが、正しくは「白人の差別者からの視点で描かれた」であり、肝心な部分が抜けている。白人=差別主義者ではないので。「白人の視点から描かれた」は、『國民の創生』で描かれた事を賛同しない白人に対して非常に失礼な表現である。 このドキュメンタリーでとある人が言っていた。「この映画(『國民の創生』)は、決して素晴らしい映画じゃない。ただ単に豪華なんだ」と。そして別の人が言っていた。「人種ポルノグラフィー」だと。 『國民の創生』制作&上映から100年もの時を経た今... 映画が持つパワーは失われてはいないが、映画自体の使い方が進歩し、少しは映画も人も成長したと思わないだろうか? (1525本目) |
●● トリビア PBSの「Independent Lens」にて放送。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
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●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt6516480/Not available from Wikipedia Not available from Allcinema |
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