●● 総合ポイント 4.5点/5点満点中 | 内容 >> | 4 | 演技 >> | 5 | 演出 >> | 5 | 音楽 >> | 4 |
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●● レビュー
(Reviewed >> 5/7/2023) |
●● 100本映画 "I was a graduate from the peculiar institution, with my diploma written on my back."
フレデリック・ダグラス。『私は黒人奴隷だった』という彼の自伝訳書タイトルが示す通り、彼は黒人奴隷だった。彼の名前を知らないアメリカ黒人はいないであろう。アメリカ黒人史に関する書物を読めば、キング牧師とともに必ず書かれている名前である。奴隷からリンカーン大統領にも影響を及ぼす偉大なる奴隷制度廃止運動家となった人である。そんなフレデリック・ダグラスの半生を、『Attica / 日本未公開 (2021)』ではアカデミー賞にノミネートされ、『Tulsa Burning: The 1921 Race Massacre / 日本未公開 (2021)』ではエミー賞を獲得したドキュメンタリー映画職人スタンリー・ネルソンが監督の1人として参加した6作品。
フレデリック・ダグラス生誕から、奴隷時代、そして活動家時代、そして晩年までを60分で駆け巡る。かなりギュっと凝縮されている。途中、ダグラスが得意としていたスピーチなどは、俳優のウェンデル・ピアースがなりきって読み上げるので、とても臨場感と迫力がある。実際のダグラスの声は想像もつかないが、このような深みのある説得力に溢れた声だったんじゃないかと感じる。駆け足ではあるが、奴隷時代にはかなり珍しく文字が習えたこと、逃亡も割りとあっさり出来たこと、人生を変えた妻との出会い、そして活動家として名を揚げていく過程などが丁寧に示されている。こういう名を立つ活動家になるしかない運命みたいのを感じる。奴隷としては、珍しい&あり得ないことが彼を取り巻く。しかも彼はそれを有効に使う頭の良さと詭弁さがあった。
最近、私個人的にリコンストラクション時代を深く勉強していて感じるのは、やはりフレデリック・ダグラスの先見の明。イメージ・印象にとても重きを置いていたことが分かる。そしてそれによる黒人への悪い方への印象効果などを危惧し、積極的にそれを改善しようと試みていた。いつも威厳溢れる表情で上品に着飾った彼の写真の多さがそれを物語る。そして、上記したダグラスの有名な言葉「私は普通ではない教育機関の卒業生で、背中に卒業証書が書かれている」は、お見事である。背中に刻まれているのは、『Emancipation / 日本未公開 (2022)』という映画でも描かれた鞭で叩かれたピーターのように鞭で叩かれた痕。印象効果を良い方に改善していくというだけでなく、別の方向からも試みているのである。奴隷時代の鞭痕の意味は、反抗をしたという証拠でもある。そして、奴隷時代に教育機関では教えない沢山のことを学んだということ。そして、ダグラスには大学どころか、高校すら出てないが、自分で学び、このような功績を残している。
そして、未だにアメリカ黒人はこのリコンストラクション時代から続く印象効果は根強く残り悩ませている。ダグラスの将来を見据えた活動は今も続いているのが、本作で分かる。
(1848本目) |
●● サウンドトラック
Soundtracks not available |
●● インフォサイト https://www.imdb.com/title/tt21342268/ Not available from Wikipedia Not available from Allcinema |
●●ネットフリックス | Not available | Not available
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