|
●● レビュー "This is the best rap story I've ever heard!"ラッパーとしてデビューしてちょうど30周年になるアイスTが挑んだラップの芸術性を追うドキュメンタリー映画。 このドキュメンタリーからはアイスTとインタビューを受けたラッパー達のラップへの愛を感じずにはいられない。ラップが誕生してもうすぐ40年になる。その30年をその道に捧げたアイスTは、先駆者だ。そのアイスTが今活躍中のラッパー達に話を聞けば、もちろん当たり前のように真剣にかつリラックスムードでラップについて語る。映画監督がラッパー達に話を聞いていた今までの作品とは全然違うのだ。今まではどこか仮面をつけていたかのように思えた。でも、今回は彼等の本心や愛をありのままに語っているのだ。だからこそ見えてくるラップの芸術性。彼等がライムを書きとめているそのノートを見ただけでも見えてくる。そこには個性が書きとめてあるのだ。声が大事という者、ライムが大事だという者、マイクの使い方から、どのようにライムを書くのか、余すところなく語っている。 アートには色々な表現法がある。ラップはその一つである事は間違いない。そしてこの作品を見ると、やっぱりラップが大好きだ!と誇りを持って言える愛が沢山詰まっている。 (Reviewed >> 9/21/12:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 同じアイスなら、キューブ派な私。アイス・Tの今の嫁がどうも苦手で... でもこれは作るって知った時から観たくてたまらなかった。あ、あのアイス・Tが監督してます。アイス・Tと言えば、これ↓ばかり浮かんでしまいます。ラップの中でもベストジャケ!このジャケットの裏が伝説ジャケ。
アイス・Tもデビューから今年でちょうど30周年になるんですね!というか、ラップももうそんな歳になったか...と思いました。ニュー・ジャージーで生まれ、ロサンジェルスで育ったアイス・T。そんな彼の意見がとっても反映されている映画。「(ラップについては)俺が撮らないで誰が撮るんだよ!」という意気込みで、監督に初挑戦してまで撮りたかったラップのドキュメンタリー。ラップとヒップホップ、ラッパーとMCの違いまで、初級な事を丁寧に語り、そして尚且つかなり奥深いラップまで語っていますよ。インタビューに応じた連中の数の多さも、さすがアイス・T!と思わせてくれてます。それはやっぱり30年という歴史が、そうさせているのです。グランドマスター・キャズのような大御所にフリースタイルをやってもらったり、エミネムに自分の曲を即興でやって貰ったりするのは、やっぱりアイス・Tのキャリアですよね。つーか、ラキムやアイス・キューブにまでフリースタイルをさせているのはさすがに驚いた!さすが大御所。アイス・Tにやれって言われたら、後輩はやるしかないよね。この映画でフリースタイルを見せてくれている人達の数も半端ない!そして、あのドクター・ドレにラップを語らせているのも素晴らしい。ラス・カス(Ras Kass)が滅茶苦茶いい人で、「イグジビット(Xzibit)にインタビューした?捕まえられるから」って、自ら電話掛けているのは笑った。ラッパーの輪!わ!今時、タモさんの所だって自分で電話掛けないのに!!しかもイクジビットの映像は休日に捕まえられた感が凄く出てましたわ。 まー、アイス・Tの功績は、ラッパーの数や質だけじゃない。それらの人達に実にリラックスさせて話しをさせている所。観客もその会話の中に居るような感じで、思わず彼等の会話に笑ってしまう時もあるし、「そうそう」と相槌しちゃう時もある。普通に映画監督が「ラップのドキュメンタリー撮りまーす」って、ルンルンでラッパーにインタビューしても、あのようなリラックス感は絶対に無い。ラッパー側はどうも身構えてしまうと思う。私的には、ソルトンペッパのソルトの会話が好き。アイス・Tが嫁のココに「詩なんか関係ない、踊れれば」と言われた時にショックを受けたと話したら、ソルトも「うちの夫も同じ事言うの。ラッパーとしてはショックよねー」と話していた。彼等は16バーにかなりの思いを込めている。単語を使うのにもどの単語を選ぶのか慎重。私もこのブログではそんなに気にしていないけれど、字数制限のある雑誌の場合はかなーーーーり慎重に単語や言葉を選んでいる。こっちとこっちの方がしっくりくるかな?と積み木状態。そんな彼等の話を聞いて、涙が出そうになった。彼等がそんな言葉を書き留めているノートも個性そのもの。他にもKRS-Oneがフリースタイル対決での勝ち方とか、アイス・Tがステージで歌詞を忘れた時の対処法とか超面白い!! DVDは買いです。クレジットされてませんが、トゥー・ショートとかジム・ジョーンズの削除されたインタビューとかも見れますので。 ただ...ただ...5点満点から0.25点削ったのは、南部が削除されていた事!!Bun Bだけだったもんね。南部ラップとしてという登場でもなかったし。アイス・Tは南部ラップは好きじゃないんだろうねーと思い悲しくなりました。スカーフェイスにはインタビューしても良かったのでは??とも思う。後、やっぱりジェイZとか、グランドマスター・フラッシュが居ないのは違和感あるかな?LLクールJは、昔のビーフで仕方ないにしても。でもキューブとTの両アイスが語っているのは泣けましたね。しかもキューブが若いころにTから貰ったアドバイスをまだ覚えていて、それを自分の所に来る若い奴等に聞かせたいと... はい、涙来たー!! アイス・Tが自分で語った通り、アイス・Tにしか撮れない最高のラップ・ドキュメンタリー!ちなみにタイトルの「Something from Nothing」は、ブランド・ヌビアンのロード・ジャマーが冒頭で語った言葉。「俺達は何もない(何も持てない)所から、何か(素晴らしい芸術)を生み出した」という事。はい、涙来たー!! (1033本目) |
●● トリビア アイスTが愛するラップ界の為に作ったラップのドキュメンタリー映画。初監督に挑んだ。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 * The BEST OF SOUL2012 映画秘宝 私が選んだベスト10 2012年度9位 |
●● サウンドトラック 1. Freestyle - Ice-T2. Straight Outta Compton - N.W.A 3. Sucker M.C.'s - RUN-DMC 4. Follow The Leader - Eric B. & Rakim 5. Freestyle - KRS-ONE 6. Raw - Big Daddy Kane 7. The World Is Yours - Nas 8. Full Clip - Gang Starr 9. New Jack Hustler - Immortal Technique 10. As High As Wu-Tang Get - Wu-Tang Clan 11. Real Hip-Hop - Das EFX 12. Freestyle - Melle Mel 13. P.S.K. 'What Does It Mean'? - Schoolly 14. Ego Trippin' Ultramagnetic Mc'S 15. Bentleys & Bitches - Ras Kass 16. King Of The Beats Mantronix 17. It Takes Two - Rob Base & DJ EZ Rock 18. Don't Stop... Planet Rock - Afrika Bambaataa & The Soul Sonic Force 19. The Kid Magic - Lord Jamar 20. Vivrant Thing - Q-Tip 3:10 $0.99 21. Cold Rock A Party - MC Lyte 22. Harder Than You Think...Just Like That Public Enemy 23. The Art of Rap - Grandmaster Caz Soundtracks from Amazon.co.jp |
●● 関連記事 * 映画秘宝 2014年 1月号 狂熱の音楽映画コレクション |
|
●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt2062996/http://en.wikipedia.org/wiki/Something_from_Nothing:_The_Art_of_Rap http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=345498 |
|
|