|
●● レビュー "I love ya, Tomorrow!"アニー(クヮヴェンジャネ・ウォリス)は弁が立つ女の子。毎週金曜日は決まって放課後にとあるイタリアンレストランの前に居た。自分の両親を探す唯一の繋がりがそのレストランとロケット型ネックレスだった。アニーは他の女の子と共に、独身のハニガン(キャメロン・ディアス)の元でフォスターキッドとして生活していた。ハニガンはいつもガミガミでヒステリック。一方で、携帯電話会社で富を得たウィル・スタックス(ジェイミー・フォックス)は、NYの町をどうにかしたいと、市長選に名乗り出ていた。様々な手で投票を得ようとしていた。そんな時に、犬を追って飛び出したアニーを偶然道で救うウィル。たまたま道でその様子を録画していた事が縁で、ウィルは候補者として人気を得る。それに目をつけた選挙対策主任がアニーとウィルのランチをセッティングする。アニーはウィルに「一緒に住まわせてよ!選挙でも役立つよ!」と驚きの提案をする。ウィルは渋々その提案をのむが... 日本でも毎年上演される人気ミュージカル『アニー』を現代に置き換えた”黒人版”である。主役が赤毛のそばかすではない”黒人版”アニーに極度な拒否反応を示す人まで飛び出した問題作でもあるが、一方で黒人アニーを演じたクヮヴェンジャネ・ウォリスはゴールデン・グローブ賞で主演女優賞にノミネートされるなどの評価も受けた。結論から言うと私は号泣した。年老いた私の涙腺はすぐに破壊されてしまう安いものではある。でもウォリスが熱演するアニーと、さすがの安定感を見せるジェイミー・フォックスのコンビが好きである。とあるウィルの秘密を見てしまった時のアニーの大人な対応が最高である!あの雰囲気は元々コメディアンのフォックスと芸達者なウォリスならではな雰囲気である。 ”黒人版”で何が悪い!黒人に孤児が居ないとでも言うのか?それでも人はアニーは赤毛でそばかすなのだ!という人々は居るであろう。そんな植えつけられたイメージを笑い皮肉るためにも黒人アニーは歌い踊り観客を泣かせるのである。 (Reviewed >> 3/21/15:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 アニーが黒人のクヮヴェンジャネ・ウォリスに決まってから、アニーが黒人だって、( ´,_ゝ`)プッっていう批判が出た事は知っていた。でも自分の目で映画を観るまでは公言を避けていた。何事も自分の目で確かめないと意見なんて言えませんからね。ちなみに日本での『アニー』の舞台は見たことない。うちの母は娘の情操教育にミュージカルに連れて行ってくれるような母じゃなかったし、映画ですら連れて行ってもらった事はなかった。ただ小さい頃に森光子の舞台と森昌子の舞台に連れていかれた記憶はある。W森のファンにも舞台ファンにもなれなかった。映画好きの道は自力で築いたタイプ。なので映画版の『アニー』は観ている。でも原作は読んだ事ない。小学校で赤毛のアニーが大統領についてプレゼンしていた。続いてプレゼンしなくてはいけないのが、もう一人のアニー(クヮヴェンジャネ・ウォリス)事アニーB。弁の立つアニーは歌を混ぜて見事に発表。クラスメイトにも気に入られた。そして学校の終了を告げるベルが鳴ると同時に飛び出していくアニー。アニーは急いでとある所に向かった。その途中で携帯を無料で配っているウィル・スタックス(ジェイミー・フォックス)が居た。彼は市長選に立候補し、票集めの為に自分の携帯会社の商品を配っていたのだ。アニーはその場を通りすぎ、たどり着いた所はイタリアン・レストランだった。店の入り口が見える一番いい向かいの角で待っていた。金曜日はアニーの両親がレストランに来る事になっていたのだ。しかし訪れる事はなかった。現在は、他の女の子と共にハニガン(キャメロン・ディアス)のフォスターキッドとして生活していた。ハニガンは売れない歌手で、もう少しでC+C ミュージック・ファクトリーのメインボーカルに選ばれる所までいったが(本人談)、今はフォスターマザーをする事でかろうじて生活していた。そんなハニガンはいつもイライラしていて、女の子たちにあたり、ヒステリックだった。ますます、両親への思いが募るアニー。そんな時、町で犬(後のサンディ)をいじめる男の子たちを追っている時に道に飛び出し車に轢かれそうになったアニーを助けたのがウィル・スタックスだった。たまたまカメラに撮っていた人がいて、ネットにアップされ、ウィルはヒーローとして、選挙での人気も上がった。選挙対策主任ガイ(ボビー・カナヴェイル)はアニーを食事に招待しようと提案。ウィルのアシスタントであるグレース(ローズ・バーン)が用意する。開かれた食事会でアニーはウィルにしばらくの間一緒に住むことを提案する。ガイはイメージの為に素晴らしいアイデアだ!と半ば強制的にウィルとアニーを住まわせる事にするが... と、80年代に作られた『アニー』は原作に忠実に30年代が舞台だったが、今回の舞台は現代。なので孤児施設からフォスターファミリーと切り替わっているのが上手い。お金を貰う事で子供たちの面倒を見るのがフォスターファミリー。もちろんちゃんと立派に子供を育てているフォスターペアレントも居るし、その方が多いであろう。しかし一方でハニガンのように商売としてやっている人も少なくない。養子に貰うという事ではなく、お互いに嫌になってしまえばチェンジ可能。フォスターファミリーを転々とするのも珍しくない。『The Blind Side / しあわせの隠れ場所 (2009)』のマイケル・オアーがそうだった。覚えている人も多いでしょう。という事で黒人の孤児は沢山いる。アメリカでの孤児の人種比率を調べてみた。ちゃんとした政府系のサイト。2013年の統計では、白人が42%、黒人が24%、ヒスパニックが22%、アジア系が1%。2010年になってしまうが、人種統計は白人72%、黒人12%、ヒスパニック16%、アジア系4.8%。黒人の孤児が異様に多い事が分かる。まあ黒人の孤児の子が主役でも別に不思議でもなんでもない。 とは言えね、黒人孤児が多いからアニーが黒人であるべき!とか主張している訳じゃないですよ。でも逆に言えば、アニーが赤毛でそばかすである必要性も感じませんけどね。オリジナルの映画でアニーが赤毛でそばかすである必要性があるとしたら、ウォーバックの秘書が孤児院に行った時にアニーを指名する時に使われた位ですよね。勝気で元気もりもりな女の子だったら、黒毛でもブロンドでも良かった。多分原作が赤毛でそばかす設定だったのでしょう。でもだったら、日本でロングランで上演されている「アニー」は、カツラでメイクの赤毛のアニーを日本人が演じているという違和感はいいのか!って事になりますよね?そんなに忠実でなければならないのなら、日本語で演じられ歌われている事はいいのか!勝手な自分に居座るイメージなだけでしょ?って事ですよ!!なら、黒人の子でも赤毛でそばかすの子がいるけれど、その子がアニーを演じたら良かったのかな?多分違うんだろうね。そういう文句を言う人たちは!そんな事より、このクヮヴェンジャネ・ウォリスの素晴らしさを観ろ!って事ですよ。というか、赤毛である必要なんてないと、この映画の冒頭でいきなり笑わせてやってくれているじゃないですか!ウォリスの元気でチャキチャキな感じが良いじゃないですか!アニーがウィルの最大の秘密を目撃してしまった時の大人な対応が最高!そしてあんなに弁の立つ子なのに、実は読み書きが出来ないという設定も良かったね。 アニーが黒人を演じた事で、ならばキング牧師の物語を白人がリメイクするべきなんていう馬鹿げた意見も見かけた。アニーは架空ですから!架空!アニーは物語の中の人物であって、実際に何かしたのか?赤毛でそばかすの子達の為に歴史に残るような事を!それなら赤毛でそばかすじゃないとダメだけどさ。逆ね、『インディペンデンス・デー』のウィル・スミスが演じた役が白人になってしまう事には別になんら違和感もないので、どうぞ!どうぞ!って感じなのですよ。ウィル・スミスが演じてきた役は、モハメド・アリ以外は白人の人たちどうぞー!って感じですよ。逆にさ、日本の映画がハリウッドでリメイク!なんていうと、喜ぶ人も多いのにね。白人様、どうぞ!どうぞ!になってるやん。それでも、いや黒人の物語ではない!と言うでしょう。そうでしょう。なら『ライオンキング』!だよね。って、白人様だってエジプトの話とかやってますやん。って話ですよ。 『アニー』最高!とは言ってないですよ。でもオリジナルの『アニー』も最高だと思っていないし、オリジナルもこの映画も同じレベルだと思っておりますので。この映画に関しては言われているほど悪いリメイクだとも思っていない。でも、『アニー』が黒人である違和感というのは、そもそも勝手な個人のイメージによるものですから!!という事だけは、声を大にして言いたい。ハリウッドのせいでも、人種問題のせいでもありません。貴方のせい! (1343本目) |
●● トリビア 不朽のミュージカル舞台の名作「アニー」が映画化!主役には「ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~ (2012)」にてアカデミー賞に最年少で主演女優賞にノミネートされたクヮヴェンジャネ・ウォリス。ウォーバックをベースにした相手役にはジェイミー・フォックス!キャメロン・ディアスも出演。「フライト」のトレイシー・トムと「ラッキーナンバー7」のドリアン・ミシックが嘘の両親を演じる。 制作にはジェイZとウィル・スミスという強力タッグ!ジェイZはこのミュージカルの曲をサンプルに使った曲でも有名で縁がある。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 * Golden Globes, USA 2015 Nominated Best Performance by an Actress in a Motion Picture - Comedy or Musical : Quvenzhane Wallis 2015 Nominated Best Original Song - Motion Picture * Alliance of Women Film Journalists 2014 Won EDA Special Mention Award : Actress Most in Need of a New Agent : Cameron Diaz * Black Reel Awards 2015 Nominated Outstanding Actress, Motion Picture : Quvenzhane Wallis * Broadcast Film Critics Association Awards 2015 Nominated Best Young Actor/Actress : Quvenzhane Wallis * Gay and Lesbian Entertainment Critics Association (GALECA) 2015 Nominated Dorian Award : Campy Flick of the Year * Image Awards 2015 Nominated Outstanding Actress in a Motion Picture : Quvenzhane Wallis * Kids' Choice Awards, USA 2015 Nominated Favorite Villain : Cameron Diaz 2015 Nominated Favorite Movie Actress : Cameron Diaz * Motion Picture Sound Editors, USA 2015 Nominated : Best Sound Editing - Music in a Musical Feature Film * Razzie Awards 2015 Won : Worst Remake, Rip-Off or Sequel 2015 Nominated Worst Supporting Actress : Cameron Diaz * Women Film Critics Circle Awards 2014 2014 Nominated Best Young Actress : Quvenzhane Wallis |
●● サウンドトラック 1. Overture by Annie Cast2. Maybe by Quvenzhane Wallis, Zoe Margaret Colletti, Nicolette Pierini, Eden Duncan-Smith & Amanda Troya 3. It's The Hard-Knock Life by Quvenzhane Wallis, Zoe Margaret Colletti, Nicolette Pierini, Eden Duncan-Smith & Amanda Troya 4. Tomorrow by Quvenzhane Wallis 5. I Think I'm Gonna Like It Here by Quvenzhane Wallis, Rose Byrne & Stephanie Kurtzuba 6. You're Never Fully Dressed Without a Smile by Sia 7. Moonquake Lake by Sia & Beck 8. Little Girls (2014 Film Version) by Cameron Diaz 9. The City's Yours by Jamie Foxx & Quvenzhane Wallis 10. Opportunity by Quvenzhane Wallis 11. Easy Street by Cameron Diaz & Bobby Cannavale 12. Who Am I? by Jamie Foxx, Cameron Diaz & Quvenzhane Wallis 13. I Don't Need Anything But You by Jamie Foxx, Quvenzhane Wallis & Rose Byrne 14. Tomorrow (Reprise) by Annie Cast 15. Opportunity (Sia Version) by Sia Soundtracks from Amazon.co.jp |
●● 関連記事 |
|
●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt1823664/http://en.wikipedia.org/wiki/Annie_(2014_film) http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=349742 |
|
|