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●● レビュー Miracleモリス(ゼロ・モステル)は病気で寝たきりの妻ファニーの世話をし、仕立て屋として生計を立てていたが、その仕立て屋が火事に遭い、保険にも入っていなかったので、苦しい生活だった。ある日、置き引きを見たモリスは「泥棒だ」と叫ぶと犯人は道路に飛び出し車に轢かれて死んでしまう。ファニーと口論になり、ファニーは気を失ってしまう。モリスは神に助けて欲しいと願うと、見知らぬ男がモリスのアパートのキッチンに居た。アレクサンダー・レヴィン(ハリー・ベラフォンテ)と名乗る天使だった... 黒人のユダヤ教徒が天使になってしまうという変わった題材。人の良いユダヤ人をゼロ・モステルが好演すれば、悪いストリート系だが本当は気の良い青年をハリー・ベラフォンテが好演している。中盤のアパートでの2人のやりとりと、終盤の2人のやりとりは見物。その分台詞が多いが、当時少なかった黒人脚本家の一人ビル・ガンがこの映画に面白みを与えている。ゼロ・モステルに向かってNワードを発する場面は、彼らしく思わず笑ってしまう。人の良い人に完全になりきっているゼロ・モステルに対して、そんなに言うなら薬局に戻ろうと悪態をつきながら行動に出るベラフォンテとのやりとりも面白い。それでいて絵の面白さもあった。オープニングはカッコいい。 一見「クリスマスストーリー」にも取れる人間味溢れるストーリー。しかしそこには人種差別とも戦う熱い台詞や物語が沢山ある。 (Reviewed >> 8/1/11:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 末広がりでメデタイぞろ目の888本目は天使の映画。何かいい感じっす。この前からしつこい位に書いているビル・ガンが脚本を書いた作品。ビル・ガンは70年代に活躍していた数少ない黒人の脚本家の一人。彼は黒人故の苦悩を率直に台詞にいつも託していた。そのガンが、バーナード・マラマッドのショートストーリーを脚本にした。制作は主演も務めるハリー・ベラフォンテ。ハリー・ベラフォンテもつい先日に「オバマ大統領はガッカリ」と発言したりと、今でも現役の政治的な活動家でもある。その2人が組んでいるから、中々厳しい台詞が飛び交います。 物語は貧しいユダヤ人の妻が病気で寝たきり。彼は看病しながら、仕立て屋の仕事をしていたけど、その仕立て屋も火事に遭い、しかも保険にも入ってなかった。ある日、神よ!と叫ぶようにお祈りすると、なぜかアパートのキッチンに居たのが、黒人の男。それがハリー・ベラフォンテ。彼はなんと神から保護観察中の天使だった。このユダヤ人を演じたのがゼロ・モステル。彼自身がハリウッドの赤狩りで被害にあった人。心優しいユダヤ人の老人を好演してます。あんなに可哀想な役が似合う人もいない。もう見た目からいい人そう。助ける側の天使を助けてしまう。でも次第にお互いが必要である事が分かるのです。 その優しいユダヤ人の老人に向かって、天使はNワードを発する。凄い事ですよ。1970年ですからね。ビル・ガンらしいなーと唸ってしまいました。これはユダヤ人に向かってだから出来た事だろうし、監督がヤン・カダールというハンガリー出身の監督だから出来たかもしれない。この監督の手腕も素晴らしい。オープニングはかっこよ過ぎ。 それにしてもハリー・ベラフォンテは、今も現役ですが、60年代の公民権運動時には活動に精力的に参加していました。彼とサミー・デイビス・ジュニアはお金もつぎ込んでいるんですよね。NAACPがデモとかして捕まると、保釈金を払っていたのがベラフォンテとデイビスだったそう。ベラフォンテの方は何かあるとすぐに電話が掛かってきて、直ぐにお金を用意した。シドニー・ポワチエが自伝で明かしてましたね。 凄くビル・ガンだし、ハリー・ベラフォンテらしさもある。そこにゼロ・モステルが好演であります。 (0888本目) |
●● トリビア 「カーメン・ジョーンズ」のハリー・べラフォンテが共演のNYを舞台にしたドラマ。バーナード・マラマッドの短編が原作を、当時数少なかった黒人脚本家ビル・ガンが脚本にした。制作はハリー・ベラフォンテの制作会社。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
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●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt0065400/http://en.wikipedia.org/wiki/The_Angel_Levine http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=9054 |
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