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●● レビュー "Negro problem is White man's problem"スウェーデンの経済学者のグンナー・ミュルダールは30年代にアメリカのカーネギー財団の招きによりアメリカの黒人の調査を始める。アメリカ南部まで入って研究した結果、彼の出した見解とは... この60分ほどのドキュメンタリーでは、ミュルダールがどのように調査し、妻アルバの援助、そして研究を手助けしたラルフ・バンチについて語られ、そしてアメリカでの”テスト”のからくりなどを追っている。なかでも面白かったのが、医者でさえ人種によって出す薬や病名に影響を与えているという事。とても恐ろしい事である。 ミュルダールの研究はアメリカの歴史を変えるものだった。実際に公民権運動に多大なる影響を与えたブラウン対教育委員会裁判でもミュルダールの研究書は提出され使われた。そしてグンナー・ミュルダールだけでなく、妻のアルバやラルフ・バンチもノーベル賞を受賞したのだった。 (Reviewed >> 4/9/15:TV放映を録画にて鑑賞) |
●● 100本映画 先日に続いてPBSにて放送された作品。60分ほどの短いドキュメンタリーですが、内容はとても濃かった。「アメリカのジレンマ」という研究書を出したグンナー・ミュルダールやその周辺を追うドキュメンタリー。スウェーデンの経済学者であるグンナー・ミュルダールはカーネギー財団に招かれて1938年にアメリカにやってくる。アメリカ国内にある黒人”問題”を研究して欲しいという依頼だった。以前から人種問題と連動した暴動が各地で起きていたのだ。そこに世界恐慌が全米を襲う。ミュルダールは5年掛けて研究するのであったが... ミュルダールは元々アメリカが好きであったそうだ。しかし南部などでのアメリカの姿を見て、がっくりと落ち込んでしまう。ミュルダールの妻も有名な社会学者であった。なので当初は単身赴任の状態でアメリカに来ているが、妻に切実な手紙を書いて家族を呼び寄せている。そうして書いたのが「アメリカのジレンマ」であった。そして2回目の訪問の時には黒人の政治学者ラルフ・バンチに一緒に付き添ってもらう。しかしバンチは南部滞在の時には一緒のホテルに泊まれずに、黒人用ホテルもなく、教会や一般家庭に世話になった。 ところでこのドキュメンタリーに出てくるImplicit Association Test(IAT - 潜在的連想テスト)というのがある。そのテストでは滞在的な自分の人種嗜好が分かってしまうのだ!と言っても、白人か黒人かのどっちかですけどね。でも色々なテストがあって同性愛者にどう思っているのか?とかバラク・オバマをどのように思っているのか?とか年齢・体重・肌の色のトーン・ネイティブアメリカン・アラブ系などなど... そんなに難しいテストじゃないし、簡単な単語なので受けてみるといいですよ!私も受けてみましたが極端ではないが黒人に親しみを感じているでした。極端ではないという丁度いい結果じゃないでしょうか?黒人の顔といい言葉が混ざった時にどう反応し、逆に黒人の顔と悪い言葉が混在した時にどう指が反応してしまうのか?白人の顔の場合はどうなのか?で、自分の滞在的な人種的なびいきが分かる訳です。ちなみにこのテストの制作はハーヴァード大学。 あとは他のドキュメンタリーでもよく触れられていますが、白人ドールvs黒人ドールテストはこのドキュメンタリーでも当然出てきた。黒人の子供たちに同じ人形だけど、肌のトーンが異なる人形を用意し、どっちの人形がいい人形?自分はどっち?と聞くテスト。これはケネス&マミー・クラーク夫婦が自分たちの論文の為に1939年から40年に掛けておこなったテスト。ビデオとかで見た人もいるかもしれない。この実験は公民権運動において重要となったブラウン対教育委員会裁判でも使用されたテスト。 このドキュメンタリーで聞いて一番怖いなーと思ったが、医師の判断にも人種が関係してしまうという事。もうそれは滞在的なものだからね。でも怖い事です。 そして研究したミュルダールは「黒人問題は白人の問題である」との見解を出した。 と超真面目なドキュメンタリーでした。 (1347本目) |
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●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt4150400/Not available from Wikipedia Not available from Allcinema |
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