|
|
●● レビュー "I'm looking for Joe Fraizer"プロに転身してからずっと無敗で無敵だったモハメド・アリ。そのアリが、1971年3月、同じく無敗だったジョー・フレイザーと対戦する事になった。アリはいつもどおり、対戦前から激しい口撃を始めるのだった。その対戦前から、そして試合の全てを撮っている記録映画。 黒人監督ウィリアム・グリーブスが監督している記録映画。ビデオやDVDなどのメディア発売の時に、アリの知名度の高さから「Ali, the Fighter」という単数のタイトルになっているが、映画自体は「The Fighters」。戦う二人の複数を追っている。モハメド・アリが変わった車に乗って街を闊歩すると、自然と人が集まる。練習風景も同じ。アリが居るだけで人が自然と人が集まっている。ジョー・フレイザーの方は、真面目に教会に通い、ゴスペルを口ずさみ、最後には高揚して席を立って歌う。アリとフレイザーがお互いに電話で会話しているが、両方でカメラが回っているので、それを観るだけでも面白い。その彼等のマジソンスクエアでの試合のチケットが高くて、黒人の人々には手がでない。グリーブス監督はそんな彼等がプロテストしているのもさりげなく映画に加えて、問題を暴いている。そして肝心な彼等の試合も最初から最後まで、アナウンサーや解説の言葉もないので、会場の声援や野次、そしてグローブが肉体をえぐる音がそのまま生々しく伝わってくる。 ただありのままを撮った記録映画なのだけど、その撮り方の技術が凄かった。2人の戦う男の生々しさを嫌でも感じる恐ろしい記録映画。 (Reviewed >> 4/17/13:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 「Symbiopsychotaxiplasm: Take One / 日本未公開 (1968)」を観たら観たくなった作品。ウィリアム・グリーブスの記録映画。これはまた凄い!他とは全く異なる記録映画だ。で、これの感想を書こうとしたら、どうも私のサイトのエントリーが変。「Ali the Man, Ali the Fighter」になっていた。IMDB観ると「The Fighters」で監督はウィリアム・グリーブスとリック・バクスターの共作になっている。うーん、分からない!色々調べたけど、どこのエントリーも変。でも映画のオープニングをまた観て調べたら、やっぱりタイトルは「The Fighters」で、監督はウィリアム・グリーブスの一人。「The Fighters」が「Ali the Fighter」というタイトルで出ていた事は分かった。で、色々と調べているうちに、なぜか勝新太郎!の名前が出てきた。そこから調べてやっと結論できた。勝新太郎がプロデュースしたのが「Ali, The Man / モハメッド・アリ 黒い魂 STAND UP LIKE A MAN (1974)」という作品。この作品が同じ時期に制作され51分と短いのもあって、アメリカでは「Ali the Man」というタイトルで、この「The Fighters」と一緒に公開されていたのだった。なのでIMDBでは、なぜか2本が1本として登録されているんです。という訳で「The Fighters」を。 モハメド・アリの知名度の高さから後にあたかもアリだけが主役のような「Ali the Fighter」というタイトルになってしまったけれど、本当のタイトルは、先ほどから書いているように「The Fighters」。戦う人達が主役。アリも主役なら、戦ったジョー・フレイザーも主役。2人をリングに上げるために戦った人達も主役で、2人の試合を見る為にプロテストした人達も主役な訳。 先に主役を書いてしまったけど、このドキュメンタリーはモハメド・アリとジョー・フレイザーの1971年3月8日にニューヨークのマジソンスクエアガーデンで行われたマッチを追っている。世紀の一戦と言われているあの対戦。アリのファンなら、それだけでこの対戦の意味が分かる筈だ。ウィリアム・グリーブスはナレーションとかインタビュー映像とか一切なしに、ただカメラで彼等の姿と言葉を追っている。同じリングで戦う二人は全く別の性格。まあアリのあのカリスマ性は特異な存在ではある。とにかく人が集まるのがアリ。物凄いボクサーであり、ファイターであるんだけど、物凄いエンタテイナーでもある。アリみたいな人が珍しい面白い乗り物に乗っていれば、誰もが気づく。それを何気に出来るのがアリ。ジョー・フレイザーも物凄いボクサーであり、ファイターであるけれど、何処となく普通の兄ちゃん。教会では高揚して席を立ってゴスペルを口ずさんでしまう、普通の田舎出身の黒人兄ちゃんなのだ。でも、そんな二人が電話しているシーンがあって、色々と口撃戦をやっているんだけど、ジョー・フレイザーの方が先に切ってしまうのが、無茶苦茶面白かった。そしてアリの周りには女性も多い。なぜかフレイザーの従姉妹まで居た!その女性とやりあっているのも面白い。 そしてこの対戦はもちろん誰もが注目している対戦。会場にはウッディ・アレンや、マイルス・デイビスまで居る!しかし、一般の黒人にはチケットは高くて試合は見れない。しかもペイパービューなのでテレビでも気軽に見れない。なので黒人の人達はプロテストを行う。チケット代を下げろ!と。その模様も残しているグリーブスはさすが。プロテストまでしない一般の人達は、町の片隅でアルコールの力を借りてぼやいている。それは白人の人もだし、アフリカから来たであろう移民の人々もだ。「アリだ!」「いや、フレイザーだ!」とやりあって楽しんでいる。 試合の様子ももちろん残している。ハンディで撮っているので、ペイパービューのTV映像よりも活気があると、当時話題になった。しかもウザイ試合解説とかアナウンスとか一切なし!なので、会場の歓声とか野次が筒抜け。そしてグローブと肉体がぶつかるその音もはっきりと聞こえる。生々しい作品なのだ。 (1109本目) |
●● トリビア モハメド・アリのドキュメンタリー映画。監督のウィリアム・グリーヴスは、俳優からキャリアを始め、監督になる為にカナダに渡り、アメリカに戻ってきたドキュメンタリー映画監督としても有名な人物。 別名「Ali, The Figher」としての方が有名。 注)IMDBでは、この「The Fighters」と、日本で制作された「モハメッド・アリ 黒い魂 STAND UP LIKE A MAN(1974)」が一緒になって登録されている。二つは別の作品。アメリカでは日本の作品の方が「Ali, the Man」というタイトルになり、一緒に公開されていた。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 |
●● サウンドトラック 1. Jesus Will Fix It2. Let's Spread the News By David Matthews Soundtracks not available |
●● 関連記事 |
|
●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt0162844/Not available from Wikipedia Not available from Allcinema |
|
|