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●● レビュー "For you it's crusade, for me it's job"(Reviewed >> 8/11/18:劇場にて鑑賞) |
●● 100本映画 大好きなスパイク・リーが戻ってきた!!!スパイク・リー久々の話題作!カンヌ映画祭でグランプリを受賞!グランプリっていう名前が1位ぽいけれど、1位に当たるのがパルム・ドールでグランプリは2位。邦画『万引き家族』がパルム・ドールを受賞したので、日本でもかなり今年のカンヌ映画祭が話題になりましたね。もちろん邦画がパルム・ドールに輝いた事は心底嬉しいけれど、正直それ以上にスパイク・リーのグランプリが嬉しかった!何ていうか、最近のスパイク・リー映画は元気も無かったし、何よりも認められる事が少なかった。何かもうダメなのかな?なんて正直思っていた所なので、そのスパイクが元気を取り戻し復活してくれた事が心から嬉しかった。そして認められた事が何より嬉しい。やっぱりこのお方が元気じゃないとブラックムービーは盛り上がらない!という訳で... 『Gone with the Wind / 風と共に去りぬ (1939)』の映像が流れ、ケネブリュー・ボーリガード医師(アレック・ボールドウィン)が現れる。ボーリガードは黒人と白人は融合すべきではなく、黒人は著しく劣っていると力説し、リトルロック・ナインやキング牧師を侮辱するのだった。時は変わり1970年代初頭のコロラド州コロラド・スプリングスの警察署で、若い黒人のロン・スタルウォース(ジョン・デイヴィッド・ワシントン)が面接を受けていた。街にとって最初の黒人警官となるロン・スタルウォース。早速、街で抗議集会を計画しているクワメ・トゥレ aka ストークリー・カーマイケル(コリー・ホーキンス)たちの集会にスパイとして潜り込めと命令を受ける。その集会で出会ったのが、地元の大学で黒人ユニオンを結成しているパトリース(ローラ・ハリアー)。2人は交際するようになる。そしてロンはインテリジェンス部に移動。刑事として活躍できるようなった。ある日読んでいた新聞にクー・クラックス・クラン(KKK 白人至上主義結社)のメンバー募集の広告を見つけ、電話すると... スパイクぽく色々と詰め込んでいる。なのでいつも通り長い。でも今回は無駄がなく、色々と詰め込んだお陰で、最後のスッキリ感とかしてやったり感とかが倍増している。もう随所にトランプ政権への批判を感じる。実は『Black Panther / ブラックパンサー (2018)』にもトランプ批判は潜んでいるのだけど、それよりも実に分かりやすく、この映画には存在している。スパイクとしてはトランプ政権になって、この物語を映画化しようと思ったというのもあるのではないかと思う。そういう部分が随所にあったからこそ、この映画のラストは悔しさで一杯になる。ちなみにこの映画がアメリカで上映開始になった日がシャーロッツビル事件の丁度1年後。観客を凄く悔しくさせる。これでいいのか!こんな奴がトップでいいのか!と。スパイクは、この映画のプロモーション中に、「この映画はKKKのデヴィッド・デュークやトランプにも見てもらいたい」と語っていた。でも、彼らは絶対に見ない。KKKの奴らだって絶対に見ない。それも実に悔しい。 主役を演じたジョン・デイヴィッド・ワシントンが実に活き活きしていて最高だった。明るいというか、天真爛漫というか、迷いが無いというか... いい意味での御曹司の雰囲気や佇まいが、この映画の主人公にピッタリだった。デンゼル・ワシントンの息子という大きすぎる看板を背負っているけれど、それだけじゃなく、彼自身のポテンシャルを最近感じる事が多くて、これからが本当に楽しみ!デンゼル様、DNAレベルで「優秀で持ってるわー」と思いました。 ところで、私が劇場で見た後、長い映画だったので速攻でトイレに駆け込んだのですが、そこで50代・60代であろうご婦人2人が話しておりました。デンゼルの息子なのよねーとか色々。そのうちの1人が「2時間ある映画だから寒さ対策でパンツにした!」と仰っており、流石長年スパイク・リー映画を楽しんできた達人、分かってらっしゃる!と思いました。 そして、いつも行く劇場だったのですが、チケット切る所でいつもは無い荷物検査がこの時だけありました。最初戸惑ったけれど、席についた時に「そういう事か」と分かりました。凶器チェックだったんですね。そしていつも通り前の方の席を陣取っていた私は、「私が一番最初に殺されるわ」と思い、初めて劇場で怖い思いをし、ゾッとした。そういえば、うちの近所のNAACP(全国有色人種向上委員会)の事務所に、つい先日「出ていけ、ニ×ー!」という落書きが見つかったばかり。KKKがまだまだアクティブな情けない州に住んでいるんです。彼らは見に来る訳じゃなく、攻撃しにやってくる可能性があるという事だ。悔しい。実に悔しい!! (1651本目) |
●● トリビア 黒人刑事が捜査の為に白人至上主義秘密結社クー・クラックス・クラン(KKK)に潜入捜査を試みて、果てに地方支社のトップにまで登りつめ、最高幹部のデビッド・デュークにまで近づいた男の実話をスパイク・リーが監督。主演にデンゼル・ワシントンの息子でTVシリーズ『Ballers』などで活躍する俳優ジョン・デヴィッド・ワシントン。『ゲット・アウト』のジョーダン・ピールが制作。2018年のカンヌ映画祭でプレミア上映された。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
●● 関連記事 *『ブラック・クランズマン』マスコミ向け試写会用プレスにスパイク・リーについて寄稿。(12/19/18)*Fridayデジタルにて「激ヤバで面白い『ブラック・クランズマン』はトランプへの挑戦状!」というコラムを寄稿。(3/20/19) *映画秘宝 5月号にてブラックムービー、スパイク・リー、『ブラック・クランズマン』、『ヘイト・ユー・ギブ』を寄稿。(3/20/19) *ENGLISH JOURNAL (イングリッシュジャーナル) 6月号にて「ブラックムービーとアカデミー賞」の記事を寄稿。(5/7/19) *ユリイカ5月号のスパイク・リー特集にて2本の記事を寄稿。(4/27/19) |
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●● インフォサイト https://www.imdb.com/title/tt7349662/https://en.wikipedia.org/wiki/BlacKkKlansman http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=366031 |
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