2106
Cast >>Allen Iverson
Director >>Steve James
Writer >>
Producer >>Arunima Dhar
Genre >>Documentary
Country >>USA

 総合ポイント 4.75点/5点満点中
内容 >>5 演技 >>N/A 演出 >>5 音楽 >>4

 レビュー
No justice
後にNBAのスーパースターとなるアレン・アイバーソンは、ヴァージニア州ハンプトンのべセル高校でフットボールとバスケットボールチームに属し、その両方を州チャンピオンへと導く活躍を見せていた。まだその高校に居た時の17歳の時のバレンタインデーの日に友達とボーリング場にいたアイバーソンは喧嘩に巻き込まれてしまった。白人の若者達と喧嘩になったが、逮捕されたのはアイバーソンをはじめとする黒人ばかりだった。同じハンプトン出身の映画監督スティーブ・ジェームスは、当時の町の様子を振り返る...

スティーブ・ジェームスと言えば、バスケットボールのドキュメンタリーの最高作品「フープ・ドリームス」の監督である。そのジェームスが撮るアイバーソン。ジェームスのドキュメンタリーの面白さは、ジェームス自身がドキュメンタリーの題材に対しての関係性ゆえの心の入れようなんだと思う。今回は自分が生まれ育った町で起きた事件ともいえる題材に迫る。アイバーソンのこの高校生の時に起こした事件のせいで、アイバーソンは素行が悪いという印象だった。普段の態度や服装も品の良さは感じない。私もそこらの表面しかみないオヤジ達と同じだったのだ。ジェームスが追うと別の角度のアイバーソンが見えてくる。彼も被害者だったのだ。マスコミは罪のない女性を殴る悪いアイバーソンを印象付ける。しかしそこには、アイバーソンが才能あった為の陰謀だったのかもしれないと、ジェームスは面白い方向に話を持っていって核心に迫っていた。たとえ白人の若者達が「Nワード」を先に発していたとしても、喧嘩両成敗。黒人側だけが逮捕されているのはどう冷静に考えても不公平である。それによってハンプトンの町が真っ二つに分かれていく。

あれからスーパースターとなり多くの物を手にしたアレン・アイバーソンは当時の事を忘れようと今でも必死だ。最後の彼の涙がそれを物語っている。確かに彼は弱さを持っていて、それに流されてしまったかもしれない。人々の欲望ゆえの陰謀。彼は未だに傷つきもがき苦しんでいる。
(Reviewed >> 9/1//11:DVDにて鑑賞)

 100本映画
アレン・アイバーソンのドキュメンタリーだからというよりも、スティーブ・ジェームスが監督という事で私のボルテージは上がる。そうだ、泣く子も黙るバスケットボールのドキュメンタリーの名作「Hoop Dreams / フープ・ドリームス (1994)」の監督がスティーブ・ジェームス(同姓同名の黒人アクション俳優がいるね)。アカデミー賞は逃したが、それ故に次の年からアカデミー賞のドキュメンタリー部門の選別基準を変えた程の名作ドキュメンタリー。ジェームスは4年間も2人の少年を撮り続けた。そのジェームスが撮るのがアレン・アイバーソン。正直なんで?って思った。バスケットボールと言えば、やっぱりマイケル・ジョーダンだろうし、マジック・ジョンソンも居るし、ラリー・バードだっていいじゃないか!なんで、アレン・アイバーソン??と思いながら見ていたら、なるほど!スティーブ・ジェームスとアレン・アイバーソンは同郷。スティーブ・ジェームスの父が町では有名な高校時代のフットボールの選手。その後は黒人移住地区でカーペット会社を経営していた。スティーブ・ジェームスもアイバーソンと同じ高校でバスケットボール部に入っていた。もちろんアイバーソンみたいな活躍してないけど...っていう自虐的なデータも映画で発表していた。

でもアレン・アイバーソンはコーンロウ復活の立役者ですよね。スヌープか、アイバーソンか... 彼がNBAに入ってコーンロウにしたあたりから、またコーンロウが流行りだした。日本人だって未だにマネするもんね。でもうちの夫に言わせたら、コーンロウはあまりいいイメージがないらしい。お金の無い人がやる髪型との事。日本でやるコーンロウは高すぎでそんなイメージないかもしれないけど。アメリカの黒人の人はコーンロウを編める人が多いので無料で出来る髪形。でも今じゃオシャレの1つになってますからね。アイバーソンのお陰でしょう。マイケル・ジョーダンがスキンヘッドをオシャレにさせた感じですかね。やっぱりアイバーソンがかっこよかったからみんな真似した訳ですよ。

1993年2月14日。バレンタインデーで浮かれていた時に、アイバーソンは友人とボーリング場に出かける。そこで遊んでいたら、白人の若者に言いがかりを付けられて、しまいには「Nワード」を言われてしまう。そこから大乱闘。イスが投げられたりと凄かった。この場面がなぜかホームビデオで一瞬残っている。しかし今みたいな技術やクォリティがあるビデオでもないし、一瞬だった為に法廷でも誰が誰だか分からない映像だった。しかし警察官に逮捕されたのは、アイバーソンを含めた4人の黒人少年達だけだった。白人の女の子をイスなどで暴行したのが罪。しかもみんな高校生なのに、なぜか少年法ではなくて、大人として裁かれる事になった。アイバーソンはもう当時からNBAに行くだろうといわれていたので、町の人気者だった。これには黒人コミュニティ側から反発を受ける。黒人達はすぐに支援団体を作る。「Free Iverson(アイバーソンを自由に)」というTシャツを着たり、集会を開いたりと凄かった。同年の9月には判定が決定。なんと懲役15年の有罪。もうアイバーソン終わったーと思っていたが、州知事が黒人に代わった事で事態は急変。アイバーソンは釈放された。先の判決で4人のうちの一人は先に無罪で釈放となっていた。でもアイバーソンが釈放されても、他の2人は中々釈放されなかったらしい。しかもアイバーソンが収容されていたのは割と警備が緩い農作業をする施設で、他の2人は大人と同じ警備の厳しい刑務所だった。アイバーソンの才能が優遇されていた事が分かる。と、まあここまではウィキでも分かる事実。ここからジェームスは話を面白い方向に持っていく。元々、ハンプトンはアイバーソンが居たべセル高校とハンプトン高校のライバル対決があった。ハンプトン高校には町の名士達が集まっていた。アイバーソンが当時付き合っていた女の子のお父さんがアイバーソンの判決の判事だったりもした事が明らかになった。

そしてジェームス自身も高校時代を振り返り、「私も黒人のチームメイトの家に遊びに行った事もないし、いつも人種で分かれていたね」と。この映画を撮っていたカメラマンが黒人の人。ジェームスはその彼に「白人になりたいと思った事あるかい?」と聞けば「よくあるよ」と。ジェームスはジェームスで「黒人になりたいとは思わなかったけれど、バスケットをやっている時には黒人のあの才能が羨ましく思ったね」と正直に2人で会話する場面も面白い。そして当時ハンプトンには黒人ジャーナリストが居なかった事も、町をさらに二分化してしまう事になった。面白いのは黒人側もこの映画のインタビューに躊躇する人も多かったという事。でも失望のアレン・アイバーソンを献身的に支えたのも白人である。卒業できなかったアイバーソンの家庭教師が白人の女性。そのお陰でアイバーソンはジョージタウンに入学して、NBAにまで入る事が出来た。

「フープ・ドリームス」もそうだったけど、大人の欲望って怖い... 少年達の夢が見事に壊されていくんだから。

 トリビア
ESPNが製作の「30 for 30」スポーツショートドキュメンタリーの1作品。NBA選手のアレン・アイバーソンがプロ入り前に起こした事件についてのドキュメンタリー。「Hoop Dreams / フープ・ドリームス (1994)」のスティーブ・ジェイムスが監督。

 その他

 受賞歴

 サウンドトラック


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 インフォサイト
http://www.imdb.com/title/tt1509850/
http://en.wikipedia.org/wiki/30_for_30
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Last Modified: 2010-03-14
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