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Cast >>KiKi Layne (Tish Rivers), Stephan James (Alonzo 'Fonny' Hunt), Regina King (Sharon Rivers), Colman Domingo (Joseph Rivers), Teyonah Parris (Ernestine Rivers), Michael Beach (Frank Hunt), Aunjanue Ellis (Mrs. Hunt), Brian Tyree Henry (Daniel Carty), Diego Luna (Pedrocito), Pedro Pascal (Pietro Alvarez) ...
Director >>Barry Jenkins
Writer >>Barry Jenkins (screenplay), James Baldwin (novel)
Producer >>Barry Jenkins, Megan Ellison, Dede Gardner, Jeremy Kleiner, Adele Romanski, Sara Murphy
Genre >>Drama
Country >>USA
Release (US) >>12 / 25 / 2018
Release (JP) >>02 / 22 / 2019

 総合ポイント 5点/5点満点中
内容 >>5 演技 >>5 演出 >>5 音楽 >>5

 レビュー
Every black person born in America was born on Beale Street.
(Reviewed >> 1/24/19:劇場にて鑑賞)

 100本映画
愛によって生まれた『ビール・ストリートの恋人たち』

Moonlight / ムーンライト (2016)』でアカデミー作品賞に輝き、瞬く間に注目監督となったバリー・ジェンキンスの最新作。黒人文学だけでなくアメリカ文学を代表するジェームズ・ボールドウィンの「ビール・ストリートに口あらば」の映画化を次回作にジェンキンス監督は選んだ。監督は人に薦められて読んで決めたという。監督自身が一番注目を集める中で、この原作を選んだこと、それ自体が私にはもう勝者に思えた。なぜなら絶対にまたジェームズ・ボールドウィンの原作を手にする人が増えるからである。そしてこのティッシュとフォニーの物語に初めて触れることになる。それじゃなくても、熱烈な映画ファンならば、この映画をバリー・ジェンキンス監督作品として観る。そしてこの物語を知る。それだけのパワーを今、バリー・ジェンキンスは持っているのである。

「ビール・ストリートとは、ニューオリンズ<正しくはテネシー州メンフィス>の通りの名前で私の父<養父>やルイ・アームストロング、そしてジャズが生まれたところである。アメリカで生まれた黒人全員は、ビール・ストリートで生まれたのだ...」ジェームズ・ボールドウィン。1970年代ニューヨーク、フォニー(ステファン・ジェームズ)とティッシュ(キキ・レイン)は手を繋ぎ歩いていた。視線を交わし「心の準備は出来た?」とフォニーに聞くティッシュ。画面が変わって、刑務所の面会室でガラス越しに受話器でフォニーに妊娠を伝えるティッシュ。フォニーは刑務所にいるはずのない人物だった。職業訓練校で用具の使い方を学び、普段はレストランで皿洗いなどの仕事をこなしていたフォニー。2人は小さい頃からの幼馴染。だからティッシュには分かる。フォニーがあのような犯罪など決して行わないことを。フォニーが語りかけるフォニーとの固く結ばれた愛について...

< >は私が付け加えました。そうなんです。ジェームズ・ボールドウィンは間違えていたのです。ボールドウィンが語ったルイ・アームストロングが生まれたところを基準にすると、If Bourbon Street Could Talkが正しいのです。でも実はそれはポイントじゃない。ボールドウィンが語るように、ビール・ストリートはアメリカどこにでも存在する、つまりこれは普遍的なメッセージであり物語なのだと。この間違いにはジェンキンス監督も、もちろん知っていて、「それがポイントじゃない、ビール・ストリートはアメリカ黒人の生活を美しく描き出したとともに、黒人への不正を映し出した小説なんだ。フォニーが経験したことが黒人にとってとても身近なことなんだ」と語っている。確かに、今でも冤罪で捕まる黒人は多い。そんな話を今でもニュースでしょっちゅう見るし、私もツイッターでその手の話を書く。その度に私が憤るのは、冤罪で捕まった人たちにはこれだけの物語があるからだ。ティッシュという可愛くて奥ゆかしく、そして忠実な恋人は居ないかもしれないけれど、無償の愛で寄り添うティッシュの母のような存在や、息子・義息のために何でもやる2人の父親みたいな存在や、妹を守るティッシュの姉のような存在が被害者に居るかもしれず、残された彼らの気持ちを考えると心が痛むのだ。愛にも色々な形があることを知る。

そのようなボールドウィンのメッセージを、バリー・ジェンキンス監督は繊細に美しく描き出す。時には、ニコラス・ブリテルの美しい旋律とともに、そして魂をゆさぶるビリー・プレストンやニーナ・シモンの曲に合わせたり、ステファン・ジェームズとキキ・レインの視線だけで描いてみたり、『ムーンライト』でも組んだジェームズ・ラクストンのカメラに頼ってみたりして。正直、ジェンキンス監督の初長編監督作品『Medicine for Melancholy / 日本未公開 (2008)』の時には、セピアの映像美が圧巻でしたが、そこまで感情を揺すぶられない感じだったのですが、『ムーンライト』からは感情が揺すぶられる。しかもかなり。『ムーンライト』も『ビール・ストリート』も、主人公が脆いからだと思う。脆いとは弱いということでは決してなく、儚いとかそういう意味の脆さ。そういうのを捉え、美しく見せるのが、ジェンキンス監督の巧さ。『ムーンライト』でも、同性愛者というマイノリティの苦悩を捉え、そして彼らの愛の姿を美しく見せた。今回は若いカップルが直面する困難を描き、そしてまた彼らの愛の姿を美しくそして強く見せた。

この映画で語られる様々な「愛」。しかし今テレビで流れてくる悲惨なニュースに「愛」など全く感じない。虐待にテロに人種や国をターゲットにした誹謗中傷ばかり。時代に逆行しているからこそ『ビール・ストリート』のメッセージを儚く、そしてそこに多様な愛の強さを感じたからこそ、美しく感じるのだ。

 トリビア
ジェームス・ボールドウィンの「ビール・ストリートに口あらば」が、『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督により映画化。『グローリー/明日への行進』のステファン・ジェームスと新人のキキ・レインが主役に抜擢。『レイ』などで知られるベテラン女優レジーナ・キング等が共演。
2018年トロント映画祭にてワールドプレミア。
全米公開が、11/30/2018→12/25/2018に変更。限定公開は12/14/2018から開始。日本公開は2/22/2019から。

 その他

 受賞歴

 サウンドトラック


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*映画秘宝 4月号にて『ビール・ストリートの恋人たち』&『グリーンブック』レビューを寄稿。(2/21/19)

 リンク
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 インフォサイト
https://www.imdb.com/title/tt7125860/
https://en.wikipedia.org/wiki/If_Beale_Street_Could_Talk_(film)
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=366278

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Last Modified: 2018-08-03
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