1946
Cast >>Quvenzhane Wallis (Hushpuppy), Dwight Henry (Wink) ...
Director >>Benh Zeitlin
Writer >>Lucy Alibar, Benh Zeitlin
Producer >>Josh Penn, Dan Janvey, Michael Gottwald
Genre >>Drama
Country >>USA
Release (US) >>06 / 29 / 2012
Release (JP) >>04 / 2 / 2013

 総合ポイント 5点/5点満点中
内容 >>5 演技 >>5 演出 >>5 音楽 >>5

 レビュー
"Beast it!"
アメリカ南部のルイジアナのバイユーにある”バスタブ”と呼ばれている小さな離れ小島に住んでいるのが6歳のハッシュパピー(クヴェンザネ・ウォリス)と父のウィンク(ドワイト・ヘンリー)だった。2人は別々のトレイラーに住み、父ウィンクはハッシュパピーに厳しい自然の中で生き抜く為に、女の子というよりも男の子を育てるように厳しくハッシュパピーを育てていた。ある日、父が消えてしまう。帰ってきた時には変は服を着ていた。ハッシュパピーは小さな学校で”オーロックス”という島で恐れられている怪物から身を守る事を教わる。そんな時、島には嵐がやってきて、住民の殆どは避難したが、ハッシュパピーとウィンクを含む、数名が島に残った。しかし嵐の後は、堤防のせいで島全体が浸水し、数名残った住民達の食料が次第に底をついてきて...

サンダンス映画祭に出展し大賞を受賞、そしてカンヌ映画祭でも数々の賞を受賞した作品。南部の架空の島を舞台に起きる奇跡。信じられない位厳しい父親。女の子である事を許さないのだ。たった6歳の女の子は、そんな父を憎み、母親の優しい残像だけを心の支えとしている。しかし父は島の環境から、甘やかして育ててはいけない事を知っていた。そして自分が居なくなった時、ハッシュパピーは一人で生活していかなくてはいけない。自給自足の環境では、父親としては止むを得ない躾だったのだ。ハッシュパピーは、生き物は心臓が鼓動しているのを、島の自然から学ぶ。鼓動しているという事は生きている証拠。父の傍で寝ることも許されなかったハッシュパピーは、初めて父が生きている事を知る。
ハッシュパピーを演じたクヴェンザネ・ウォリスは、奇跡的だ。プロの俳優を使わないと決めた監督は撮影したルイジアナでオーディションを決行した。そこにたまたま住んでいたウォリス。彼女はハッシュパピーを自然にそして完璧に演じている。父親を演じたドワイト・ヘンリーもたまたま撮影クルーが滞在していたオフィスの前にパン屋を経営していた料理人の素人なのだ。あの2人が見事に父と娘を演じるとは奇跡としか言えないのだ。

醜い環境で不恰好な父。しかし娘はそんな父の本当の心の美しさを知った時に成長を果たす。それを観た観客も自分達の激しく鼓動する大きな心に気づかされる事になるだろう。
(Reviewed >> 12/11/12;DVDにて鑑賞)

 100本映画
これは今年一番観たかった映画!私の映画臭覚が鈍っていなかったら、絶対に面白い筈だと確信していた程。鈍ってなかったねー。サンダンス映画祭で大賞を取り、カンヌ映画祭でも様々な賞に選ばれた作品。まあそういう賞に選ばれたから凄いんじゃない。嗚咽とか号泣じゃなくって、心の底から泣いてしまった。あんな感じで泣いたのはこの映画が初めて。

ルイジアナのバイユーの架空の「バスタブ」と呼ばれている所が舞台。バスタブは、堤防によってアメリカ本土と切り離されている。そこで暮らしているのが、6歳の女の子ハッシュパピー。バスタブの大自然の中で自然と生き物には心臓があって鼓動している事を知る。お父さんのウィンクと共に暮らしている。お母さんは居ない模様。それでもハッシュパピーの記憶には、優しい母の残像が残っている。お父さんは、ハッシュパピーに厳しい。父はなぜか別のトレイラー(簡易家)に住んでいて、ハッシュパピーは一人暮らし。いつもチキンを焼いてハッシュパピーに食べさせるが、犬と共用しないといけない。ハッシュパピーが女の子でいる事をお父さんは許さない。だからお父さんはハッシュパピーの事を「お前は立派な男だ!」とかクイーンじゃなくて「キング」とか「ボス」なんていう風に呼んだりする。遊んであげる時にも腕相撲。別の男が優しくカニの食べ方を教えているようものなら、お父さんは「違う、もっと豪快に獣のように食べろ!」と怒る始末。でもそんな父がある日居なくなってしまう。そんな時、ハッシュパピーは一人でも生きていこうと逞しい。それはもちろん、それまでの厳しい父の教えがあったからこそ。学校みたいな所で、オーロックスという獣から身を守らないといけないと教わる。お父さんが戻ってきたけれど、何か変なガウンとブレスレットをつけている。我々にはそれが病院から抜け出してきたというのが分かるんだけど、ハッシュパピーには分からない。一人で置いていかれたのもあって、ハッシュパピーは相変わらず厳しい父に反発し、火事を起こす。追いかけてきた父に向かって「死んじゃえばいいのに!」と、心臓にパンチ。父は倒れてしまう。お父さんが何か変化している事を察するハッシュパピー。そしてそんな時にバスタブには大きなハリケーンがやってくる...

6歳の女の子が一人で暮らしていくという状況をどう受け入れるのか?お父さんは、それがいずれやってくる事を知っていたからこそ、娘には厳しかった。お父さんは不器用にハッシュパピーに「俺はお前の父ちゃんなんだ、お前が死なないようにするのが俺の役目」と話す。「バスタブ」で暮らすという事は、大自然の雄大さと時には気まぐれとも共存している。ハリケーンで全滅したバスタブ。人間が作った堤防が、バスタブの人達の全てを奪ってしまった。それを目の辺りにしたハッシュパピーは、6歳ながら、頑固にバスタブに固執している父の気持ちと意思を理解していく。

という事で主役のハッシュパピーを演じたクヴェンザネ・ウォリスへの絶賛の声が凄い。監督は6歳から10歳位の女の子を探していた。オーディションの時、クヴェンザネは若干5歳。年齢を偽ってオーディションに挑んだのに、4000人の中から選ばれた。もし万が一オスカーにノミネートされたら、主演女優賞部門では最年少のノミネートになる!でもゴールデン・グローブ賞などでは選ばれていないのが残念。SAG賞では組合を通していない作品だった為に資格がなかったらしい。ちゃんとした演技を学んでいないので、若干9歳の彼女が受賞したらバックラッシュが起きるなんて言われているけど、彼女はハッシュパピーそのものだった。安ぽく言えば、ハッシュパピーを演じる為に生まれてきた女の子。子役が大人っぽい台詞回しをした所で、なーーーんも面白くない。このウォリスは子供が少しずつ成長していく様があまりにも自然で面白かった。計算されていない自然さがあった。お父さん役のドワイト・ヘンリーも自然。見事な娘と父親。所でこの2人、全くの演技経験がない。ヘンリーはこの映画撮影クルーがオフィスにしていたガソリンスタンドの廃墟の前で、たまたまパン屋さんをしていた料理人。今はニューオリンズに移っている。この2人がこの映画で演技している事自体が奇跡!しかもベン・ザイトリン監督も長編監督は初めて。凄い奇跡。2人は今度、スティーブ・マックイーン監督の「Twelve Years a Slave」で再び共演する。ブラット・ピット制作、キウェテル・イジョフォー主演、ミヒャエル・ファスベンダーが共演という凄い作品。

ルイジアナの架空の島が舞台だけど、ニューオリンズの事を描いている。ハリケーンなどの激しい自然に破壊しながらも、住民達は自分達の住んでいる所を好きでいる事を諦めず、文化を守ろうとする。私の大好きな批評家デビット・ウォーカーはこの映画を「不清潔好きのポルノ」と呼んでいた。確かに惨めで不清潔ではある。確かに黒人の俳優は特にこういう映画で主役となり、なぜかそういう作品に限って賞賛される。彼の指摘通りである。でもそれって西洋的な考えだからじゃないかな?この物語では、ハッシュパピーは自らそこに戻っている。戻らないという選択も出来た上である。たった6歳の子がそれを「選択」した訳じゃないと言われるかもしれないが、ちょっとクレイジーで厳しい父はそのように躾けた。だからこそこの物語は普通とは違って感動するのだ。そしてこの物語の主人公が黒人であるというのは、大きな意味があったように思えた。そういう西洋的思考への挑戦。黒人は奴隷として連れてこられ、自由を迫害され400年も経っている。その彼等が自らその地を選んで生活しているのだ。それだけで大きな意味がそこにはある。

母とは離れ離れになっているハッシュパピーの最後の父への抵抗と優しさが、母の作ったワニのフライを父に食べさせる事。やっぱり子供にとって、父と母が一緒になってくれる事を願うものである。ワニのフライでハッシュパピーはまた家族を一つにさせようとした。

この映画に対して、自分の貧相な言葉しか並べられないのがもどかしい。私は見終えてから3日位、気がつくとずっとこの映画について考えていた。なんていうか、映画ってたまにこういう事してくれるから大好きなんだよねー。こういう考えされられる映画にゾクゾクしちゃいます!!

 トリビア
アメリカの南部デルタ地区に住んでいる6歳の女の子ハッシュパピーと父の物語。サンダンス映画祭に出展し、最優秀作品賞となるグランプリを受賞。

 その他

 受賞歴
* The BEST OF SOUL
2012 Won Best Movie of the Year (Drama)
2012 Won Best Female Performance of the Year : Quvenzhane Wallis
2012 映画秘宝 私が選んだベスト10 2012年度1位
2012 映画秘宝 私が選んだベストガール : クヴェンザネ・ウォリス

 サウンドトラック


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 リンク
US Official SiteJP Official Site

 インフォサイト
http://www.imdb.com/title/tt2125435/
http://en.wikipedia.org/wiki/Beasts_of_the_Southern_Wild
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=344537

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Last Modified: 2012-01-28
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